改・回送電車に乗って
僕は電車に乗っていた。
窓の外を見てみると、外は真っ暗だった。
(——いつ、電車に乗ったんだろう?)
川上駅で、電車が来ることを告げる音楽が流れて、アナウンスが流れたところまでは覚えている。でも、その後の記憶が曖昧だった。
(まあ、結局こうやって電車に乗ってるんだし、いいか。よく覚えてないっていうだけで)
車内には誰もいない。こんなに乗客がいないのも珍しい。なぜだろうか。
(まぁ、駅でもひとりきりだったし……あれ?)
がたんごとん、と電車は揺れる。
(本当に、1人だった?)
なんでこんなに覚えてないんだろう?
(……まぁ、そのうち思い出すさ、きっと)
しんと静まり返った車内。がたんごとんと電車が揺れる音しか聞こえない。いつもなら流れてくるはずの、車内アナウンスさえ流れてこない。
僕が高校生になってから2年間、ほぼ毎日乗っている電車。電光掲示板さえない、天井に扇風機が付いている、僕の知る中で多分一番古いやつだ。
ふと、遠くから、靴の音がするのが聞こえた。
そしてその音はだんだんと近づいてくる。
「……」
足音を立てている誰かが、独り言を呟いた。
しかし、それは電車の音でかき消されていく。
「……でしょう?」
その声が電車の音にかき消されなくなると同時に、足音が止まった。
——そこには、誰がいるのだろう。
思い切って振り向くと、女性の車掌さんがいた。
(なんだ、車掌さんだったのか。
足音だけ立てるお化けか何かだったらどうしようとか思っちゃったじゃないか、びっくりした。
——にしても、女性の車掌さん、初めて見るなぁ。
そうか、車掌さんも女の人がいるんだ)
そんなことを考えていると、声をかけられた。
「こんばんは。涼しい夜ですね。
——あなたは一人ですか?寂しくないのですか?」
そんなことを話しかけられるとは思っていなくて、少々驚いた。
(切符持ってますか?とか聞かれるのかと思ったよ。
あれ、時代遅れかな?そんなことない?
どっちにしても、この路線ではそんなことは今までに一度もなかったはず……。
ま、いいか)
そんなことを考えながら、僕は答えた。
「こんばんは。
ええ、一人です。少し寂しいですけど、一人きりもなかなかいいですよ」
すると、車掌さんは少し考え込んだ後、言った。
「一緒に話しませんか?ちょうど話し相手が欲しくて。私、実は今、暇なんです」
車掌さんは、にこりと笑った。
(たしかに、これだけ乗客がいないと車掌さんも暇なのかも。それに、どうせ僕も暇だし)
「——いいですよ」
僕はそう答えていた。
不意に、窓の外を見た。
さっき外を見た時は、墨を流したように真っ暗だったはずだ。
でも今は、窓の外の暗闇の中で一つだけ、星が輝いていた。
「自己紹介から始めましょうか。私からしますね。
私は花籠ちりかです。ご覧の通り、この電車の車掌です。よろしくお願いします」
花籠さんは笑った。
その笑顔には見覚えがあった。あると思った。
思い出そうとするが、頭の中に濃い霧がかかったかのようで、うまく思考が働かない。思い出せない。
——気のせいだったのだろうか。
どうしても思い出せなくて、結局諦めた。
そうだ。今度は僕が自己紹介をする番だ。
「僕は高橋 優太です。
僕は高校の吹奏楽部に所属しています。部長を務めているんです。担当の楽器は……」
僕は思わず話すのをやめてしまった。
花籠さんの目はとても、悲しそうだった。
そして、その目は何かを語っていた。
——でも、何を語っているかは分からなかった。
僕達は色々な事を話した。
いや、主に話していたのは僕で、花籠さんがずっと、僕の話を聞いていてくださった。
幸せだったことも、辛かったこともなぜか全て打ち明けられた。彼女は、聞き上手なのだろう。
「そういえば、僕が2年生の時に、3年生の先輩がドッキリを仕掛けたんです」
「……どんなドッキリを仕掛けられたんですか?」
「暑い夏の日に、部員にアイスの差し入れをするためのドッキリです……。懐かしいです」
「それは……具体的にはどんなドッキリでしたか?」
「その日の部活終わりに、元部長の先輩が、急に体調を崩したふりをしたんです。近くにいた3年生の先輩が近寄って、口々に『大丈夫?』って声をかけていました。僕もその時、近くにいたんですよね。とても心配しました」
「……そして、どうなったのですか?」
「結果からいうと、ドッキリは大成功でした。
あのあと、近くにいた先輩が元部長の先輩に『何が食べたい?』って聞いたんですね。そしたら、元部長の先輩は『アイスが食べたい』って言ったんです。そしたら、急に近くにいた先輩が『アイス食べたいって!』って叫んだんです。すると急に、部屋の扉を開けて、元副部長の先輩がアイスを持って中に入ってきたんです。元部長の先輩が体調を崩したって言ったのは、仮病でした。けろっと元気になっちゃいましたよ。
まんまと騙されてしまいました。本当に体調を崩したのだと信じ込んでいましたよ。でも最終的には、みんなで笑いながらアイスを食べたんです」
「……素敵ですね」
花籠さんはそう言って、遠くを見つめた。
とても懐かしそうな目をしていた。
「僕は約半年前——高校2年の夏に、部長に指名されました。驚きでしたよ」
「きっとあなたが優しいせ……、優しい方だから指名したのでしょうね」
——花籠さんが、噛んだ。
一瞬、花籠さんが、言葉に詰まったように見えたのは、気のせいだろうか?
でも、花籠さんは何事もなかったかのように話し続ける。なら、気のせいか。
「——でも、不安だったのでしょう?」
「はい……とても不安でした。
でも、任されたからには、と思って今までやってきたんです。気がついたら、もう半年以上、部長を務めていたんですね。そう考えると驚きです。
——大変ですけど、やりがいのある仕事です」
「そうですね……考えてみると、クラリネットの練習と、後輩に教えるのと、部長の仕事。3つを全て両立させるのは大変ですよね」
「はい……え⁉︎」
——どうして?
なんで花籠さんは、僕がクラリネットをやっている事を知っているんだろう?
そんなこと、僕は一度も話してないのに。
「あ……」
しばらくの間。
花籠さんの目は、泳いでいた。
しかし、それも一瞬のことだった。
「……クラのリードケースが鞄からはみ出てますよ」
言われてみると、いつも使っているリードケース(練習の時には欠かせない、音を出す為のリードをしまう為のケース)が鞄からはみ出ていた。
いけない、いけない。落とすところだった。
きっと、花籠さんが僕がクラリネット吹きであることに気付いたのも、このリードケースが見えたからだ。
(花籠さん、吹奏楽経験者なのかなぁ)
そんなことを考えながらも僕は納得して、
「ありがとうございます」
リードケースを鞄の中に戻した。
そして、ついでに話も戻す。
「この間、スプリングコンサートがあったんです。今日はその打ち上げでした。今はその帰りです。
——でも、不思議ですね。人はあなたしかいないし、車内アナウンスも無いのですから」
「——当たり前ですよ。だって……」
花籠さんは、そこで言うのを止めた。
花籠さんはぼそりと何か、呟いたけど、僕には聞き取れないほど小さな声だった。
しばらくの間、沈黙が漂った。
沈黙を破ったのは、花籠さん自身だった。
「私の昔の話を聞きたいですか?
なぜ、私がここで、車掌をしているのかを」
(——初めて花籠さんが、話し手に回る)
そんなことに今更気付きながらも、僕はうなづいた。
「昔、私も吹奏楽部員だったのです。
——ある日のことでした。私が高校1年の時でした。
私は部活帰りに、電車を待っていました。その時、譜面を見ていたんです」
(——ああ、やはり吹奏楽経験者だったのか)
譜面——いわゆる楽譜を見ることは、僕もしたことがある。急に花籠さんに親近感が湧いた。
「するとそこに、強風が吹いてきて、譜面が線路に飛んでしまいました」
海辺の町ですからね、風が強くて……と、花籠さんは一言添えるように言った。
「私は慌てて線路におりて拾い始めました。
……今考えると、馬鹿なことをしていますよね。何故そんな事をしたのか、私も分かりません。でも、その時は譜面を拾うことしか頭になかったのです」
結局、考えなしの愚か者だったというか……、と花籠さんは1人で呟いて、悲しそうに笑った。
「その時、電車の音が耳元で響き、身体に激痛が走ったのです」
「えっ⁉︎」
——花籠、さん?
まさか——
「そして私はいつの間にか、電車に乗っていました。後々知ったんですけど、私が乗っていたのは、かいそう電車だったんです」
——回送電車、かぁ。
きっと、回送電車では、自分以外には誰も乗っていないんだろうなぁ——
——あれ?
思考が、うまく働かない。
僕は思わず聞き返していた。
「回送電車、ですか」
「——いいえ。あの電車は、回送電車ではありませんでした」
「えっ?」
その答えに、僕は困惑する。
今、確かに回送電車と言っていたはずなのに……?
花籠さんはため息をついた。
「かいそう電車——それは時たま人の寿命を示すものになるのです」
ん……?
どういうことだろう。
「実は、電車に轢かれてしまった時、私はまだ死んではいなかったのです。もっと早く人身事故に遭ったことを思い出していれば、私はまだ生きられたのです」
がたんごとん、と音は響く。
——ああ、予想通りだった。
彼女は、人身事故に遭っていたのだ。
「しかし私は終点まで乗ってしまいました。『かいそう電車で終点まで乗る=死』だと知らなかったのです。誰も教えてくれませんし、私は部活帰りの電車だと思っていましたから」
遠くを見つめ、花籠さんは、呟いた。
「あの電車は、回葬電車だったのです」
「やっぱり、回送電車じゃ——」
「いいえ。漢字にすると、回り、葬る電車と書くのです」
その言葉に、僕はどきりとする。
花籠さんの目には、涙が。
「私は終点に着いた時に初めてそう知り、『私のような人をもう増やしたくない』という思いで、車掌になったのです。
回葬電車にに乗って来た人に、『あなたはここにいてはいけない。早くこの電車を降りなければならない』と伝えるために……」
そうだったのか——
——えっ⁉︎
僕はぎょっとした。この電車に花籠さんが乗っている、ということは……?
必死に考えるが、頭がぼんやりする。
だめだ。全然何も考えられない。思考が働かない。
「え……、つまり……」
「あなたは人身事故にあったのです。
——思い出せませんか?」
(人身事故……?)
ぼんやりする頭で必死に思い出そうとする。
(——あっ!)
——思い出した。
僕は……確かに、人身事故に遭っている。
少し前の事だった。
一つ下の後輩たちがホームで笑っていた。軽いふざけあいだ。その時、1人が線路に落ちそうになった。電車がもう直ぐ滑り込んでくるのに。
「——危ない!」
僕は叫んで、彼女をかばっていた。勝手に身体が動いていた。
彼女は無事だった。
その代わりに、僕が線路に落ちた。
「優太先輩!」
次の瞬間、激しい痛みが僕を襲った。
(きゃぁ……)
彼女のかすかに泣き叫ぶ声が最期に聞こえて、僕は気を失っていた。
その事を花籠さんに言うと、彼女はほっとした顔をしていった。
「よかったです……間に合いました。
あなたがなぜこの電車に乗ることになったのかを思い出せれば、この電車を降りられるのです。
本当に、よかった……」
彼女がそう言った、次の瞬間。
「次は、川上、川上です」
不意に、車内アナウンスが流れてきた。
それが、初めて聞いた、車内アナウンスだった。
(ん?川上って、僕のいたホームじゃないか)
僕が考えていたことを見透かすかのように、花籠さんは言った。
「だから、元の場所に戻るのですよ。そうですね、30分ぐらいですかね」
花籠さんは笑った。
不思議なほど懐かしい、笑顔だった。
ふと窓の外を見ると、ちらほらと家やマンションの灯りが見えた気がした。
星の光とはまた違う、暖かい光が。
「あなたにお守りを差し上げましょう。いつもここに来た人が元の世界に戻るとき、渡しているのですよ。……何色が好きですか?」
「水色と、黄緑が好きです」
「水色と黄緑ですね」
あとは白を組み合わせればいいかな、と彼女は呟き、その3色の糸を取り出し、突然編み物を始めた。
しばらくの間、お互い無言が続いた。
僕は気まづくなって、その沈黙を破った。
(花籠さんには吹奏楽経験があった。なんの楽器を担当していたんだろう?)
「そう言えば、花籠さんは何をふ——」
「ちりかって呼んでください。私は、私は……」
彼女の声は、少し震えていた。
僕は思わず、花籠さんを見た。
「——私は、永遠に高校1年生のままなんですから」
花籠さんの服装はいつの間にか変わっていた。
もう、花籠さんは車掌ではなかった。
そこにいたのは、僕の通う高校の女子高生だった。僕の一個下の学年の色の校章をつけている(ちなみに、僕の学校では学年ごとに校章の色が少し異なっているため、校章で学年が分かる)。
そっと何かが僕の腕に触れた。
ミサンガだった。3本の編み込まれた紐を3つ編みして作られた、美しいミサンガ。花籠さんがそれを僕の腕に結ぶ。
「優太先輩が、二度とここに来ることが、ありませんように」
彼女は笑った。
懐かしい、笑顔で。
見覚えのある、笑顔で——
その笑顔は、そう。
僕の大好きだった笑顔。
いつも部員を笑顔にしてくれた、笑顔。
やっと……
やっと思い出せた。
花籠ちりか。
僕の一個下の、ファゴットの後輩。
僕が部長になった一ヶ月後に、電車の人身事故で亡くなった、後輩。
僕の記憶は、あの日へ飛んだ。
とある秋の日。僕が部長になってから一ヶ月ぐらいの時だった。突然の訃報を部員につたえなければならない辛さに、僕は耐え切れなかった。
「突然の訃報ですが……、花籠ちりかさんが、人身事故により、亡くなりました」
声が震えたのは、緊張しているせいではなかった。
オーボエ・ファゴットパートの新パートリーダーが、大声で泣き出した。他の人も、悲しげだった。
泣いている人がほとんどだった。
気づいた時には、僕も泣いていた。
あの出来事から、約半年が経っていた。
「ちりか、久しぶりだね」
僕はそう言って、笑った。
「まさか、先輩がここに来るとは思いませんでした。
……もう二度と、ここにきてはダメですよ?」
「わかってるって。このミサンガがあるんだもん。きっと大丈夫」
「そうですね」
2人で笑った。そして、お互い思い出を語り合った。
『まもなく、川上、川上。降り口は、左側です』
プシューッっという音とともに、扉が開いた。僕はホームへ降りた。ちりかの声が、僕を追いかけてくる。
「約束ですよ。みんなには内緒にしてくださいね」
「うん、もちろん」
最後に2人で微笑みを交わした。
「優太先輩を止める事ができて、よかったです。もう会う事はないでしょう。
あと半年、引退まで頑張ってくださいね」
「ちりか、元気でね!」
扉がプシューッと音を立てて、閉まった。
回葬電車は、がたんごとんと音を立てて出て行った。
そのあとに待っていたのは、何の音もしない、静けさだけだった。
僕は誰もいない、暗い夜のホームで立ち尽くしていた。
(ねぇ、聞こえる⁉︎ ねぇ、優太!)
ふと、遠くから同級生の吹奏楽部員の声が聞こえた気がした。
(優太先輩!)
後輩が泣き崩れる声も聞こえる。
空耳じゃない。みんなの声が聞こえる。
(優太先輩、早く戻らないと)
どこかでちりかが、くすっと笑った。
(みんなに会いたいと強く願えばいいだけですよ)
声も続いて聞こえてきた。
「ちりか、ありがとう」
僕は呟いた。
ふと空を見ると、あんなに暗かったはずの、1つしか星がなかったはずの空に、沢山の星が輝いていた。
僕は、その星たちに向かって、強く願った。
(みんなに会わせてください。もうみんなに心配をかけたくないです。お願いですから……)
次の瞬間、僕は気を失った。
ふと気がつくと、そこは病院だった。
窓から差し込む光は、間違いなく朝のものだった。
(——さっきまで夜だったのに?)
僕は驚いて起き上がろうとしたが、身体が痛くて、思わずうめき声をあげた。
その時。
「——優太、先輩?」
パートの後輩、中野優菜ちゃんが寝ぼけながら呟いた。僕がかばった後輩は彼女だった。
「夢かなぁ……きっと、夢だよね……こんなに眠いんだもん、先輩の事考えていたから、きっと……ふわぁ……眠いなぁ……」
近くに時計があるのを見つけらそれを見ると、今の時刻は朝の8時。
彼女はもう一度ふわぁ、とあくびをして、もう一度寝ようとした。睡眠不足らしい。
彼女はもしかしたら、つきっきりでここにいてくれたのかもしれない。そう思った僕は、嬉し涙をこらえながら、出来る限りの笑顔で、彼女に言った。
「——優菜ちゃん、おはよう」
その瞬間、彼女の目は大きく見開かれた。
目も覚めてしまったらしい。
「——嘘じゃ、無いですよね?」
「嘘じゃ、無いよ」
「夢でも、無いですよね?」
「夢でも、無いよ」
「……」
「おはよう、優菜ちゃん」
その途端、彼女の目から涙が溢れ出した。
「優太先輩、ごめんなさい!無事でよかったです……!」
「もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
彼女はしばらく、なきじゃくり続けた。
しばらくすると、 部員がやってきた。1人部屋だったので、来た人全員が部屋に入れたのだ。
「みんな!」
僕が思わずそう声を上げた瞬間、
「あーっ‼︎」
「優太!無事でよかった!」
部員が一気に叫んだ。泣き出す人もいた。
「心配かけてごめん。——ただいま」
「もうっ!全く、部長がみんなに心配かけてどうすんのよ!」
と副部長に怒られてしまったが、
(でも、戻ってくることができてよかった……)
どこかでほっとしている自分がいた。
ふと、そこに何人の部員がいるのかが気になって数えてみた。そして、あることに気がついた。
——まさか……部員全員が来てくれたなんて!
いつの間にか、涙が流れていた。
「みんなそろって、部員全員で来てくれて、ありがとう。早く部活に戻れるように、頑張るよ」
「うん!」
「待ってるよ!」
「またいろんなこと教えてください!」
——みんな、ありがとう……
その日の夜、ふと思い出した。
そういえば。
いつだったか、ファゴットパートの友達が教えてくれた。
「ねえ優太、ファゴットの音は『死者を蘇らせる音色』だと言われているんだって!」
ファゴットの音は死者を蘇らせる音色……
死者って……ちりかの事?
それとも。それとも……
ふと、あれは夢だったのではないかと思った。
回葬電車に乗って、亡くなったはずのちりかと話したなんて、夢だったのではないか?
でも、すぐに夢でない事を悟った。腕にちりかが作ったミサンガが付いていたからだ。
不思議な事に、そのミサンガは月の光に反射し、光り輝いていた。
ファゴットの音は死者を蘇らせる音色……
もしかしたらその『死者』は、
僕だったのかもしれない。
いかがでしたでしょうか?
評価、感想等を頂けますと幸いです。
2018/05/08 2:15 改稿済みです。