ツケはいつかは払わなきゃいけないものだ
「魔国やばい」
「知らなかったんですの? 魔国のモンスターは他国に比べて強い事」
「まるっきり意識からすっ飛んでたわ」
シータさんのジト目が痛い。
いやまー、その辺は魔王の城=ラスダンと考えれば納得いくんだが……まさか飛んだ先ピンポイントでグレータービーストさんにお出迎えされるとは思わなかったぜ。トラウマ再び。
とっさにグレータービーストに襲いかかるコボルトさんとスライムさんの勇姿は、後世に残したい程だった。レベル上げて殴れば元が弱いモンスターでも輝けるんだなあ……。ちなみに俺はスライムよりもホイ◯スライム派だ
「ちなみにここ、どの辺りかわかるか?」
「山脈のちょうど反対側に出る、とリトは言っていましたが……」
「成功してたら、だもんなー」
「ですわね」
まぁ、リトを信じて歩いていくとしようか。山脈沿いに北に向かえば、かつて勇者たちが通ったという街道が残ってるはずだ。
*
街道に向かうべく進む俺たちの前に立ちふさがったのは森だった。あんまり見通しの良く無い場所は通りたくねぇんだが、迂回してる余裕はなかった。
そしてさすがはラスダン手前。モンスターの強さがハンパない。そしてどう猛。俺の威圧さんがレベル不足で仕事をしてくれません。
「なんか今までのツケをいっぺんに支払わされてる気分だ!」
叫びつつ居合斬りみたいな衝撃波。最近使えるようになった俺の必殺技だ。魔断ち君と龍の宝玉のおかげで、何とかこの辺りの敵にも攻撃が通る。居合斬り(仮)に巻き込まれて数体のモンスターが真っ二つになる。
「常々貴方が言っていたのはコレでしたのね!?」
コボルトさんやスライムさんだけでは処理が追いつかないので、自身も魔術で応戦するシータが叫んだ。
「だから言ったじゃん、平和すぎるって! 揺り返しが怖いって!!」
むしろこれが危険な荒野を旅する旅人の日常風景なのではないだろうか? とか言ってる場合じゃねー。
なんか虎みたいなのとか、ゴブリンの王様みたいなのとか、ドラゴンの子どもっぽいのとかやばそうなのがワラワラと寄ってくる。
「早く森を抜けないと……まじで死ぬ……」
「口より先に手を動かしてくださいな!」
でも倒したら倒したで血の匂いにつられて新たな敵がやってくる。だからといって倒さなければこっちがやられる。……あ、これ、ダメなパターンや。どっちが先に倒れるかのチキンレースの様相をていしてきたぞ、おい。
「うがー、死んでたまるかーッ!!」
もうヤケだ。四方八方に衝撃波を飛ばす。幸いこの森のモンスターは図体がでかいのが多いから、当てに行かなくてもヒットするので助かる。コボルトさんは機動力が高いので自力で避けてくれるし、スライムさんは……スライムさんは頑張って避けてください。
*
「……まさか驚愕のレベルアップで魔物自然撤退とか」
「もうちょっと早く発揮して欲しかったですわ!」
プリプリと怒るシータさんだが、待ってくれ。威圧は俺のレベルが上がらないと意味ないんですよ……。それにお前さんが「最高級の素材がたくさんですわー」って喜んでたの、俺バッチリ目撃してたんですが?
「か、街道が見えてきましたわよ!」
チッ、うまくごまかしやがったなコイツ。
そして街道を進み、街らしき城壁が見えてきたのだが様子がおかしい。
——既視感再び。
「……なぁ、シータ。俺の目がおかしいのかな?」
なんか街道の先に旗と横断幕持ってる連中がいるように見えるんだが……。
「私も疲れで目がおかしくなってるのかしら……?」
シータにもアレが見えるらしい。
「しかもなんか熱烈歓迎って感じじゃね?」
ちなみに横断幕にはこう書いてある。
——ようこそ邪神様!
「……………なぁ、おれガーディナーにかえりたい」
『邪神様』ってどゆこと?




