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異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件  作者: ぽて
冒険者ギルドに入ってみる件

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イメチェン会議



 ソロンさんにヒュプヌーン草の採取のコツ——先達の知恵すげぇ——を教わりながら収穫。一緒に街まで帰ることになった。帰り道は俺が切り拓いて来たのがあるので迷う心配はない。


「あんまり乱獲すると良くねえから、この辺にしとくべ」

「なんだかんだ言って、ソロンさんに会えて助かったよ。イロイロ教えて貰えてるしな」


 地味にヒュプヌーン草以外のアドバイスもいただき、初心者の俺らにはありがたい事この上ない。


「オイラも人里まで案内してもらえるだから、ウィンウィンってやつだぁよ」

「それはともかく、ソロンさんはマジでイメチェンすべき!」

「まーだ引っ張るだかぁ?」

「このままですと、野生のオークとして討伐されるのもそう遠くはないかと……」

「……わかっただあよ。街に着いたら取り掛かってみるだべ」


 とか言いつつ「やっぱ面倒いからやーめた」ってなりそうなんだよな、この人の場合。お節介ではあるが、最後まで見届けるべきか? この人は失うには惜しすぎる人材だと思うんだよ。教え方上手いし。正直、旅人やめて教師になったほうが良い気がする。そしたら魔物に間違われて退治されちまう危険もグッと減るしな。……こっそりギルドのおばちゃんに推薦でもしとくか。





「——おかえり。初の採取依頼の結果はどうだい?」


 いつものように食器を拭きながら聞いてくるおばちゃん。


「おう、おばちゃん。大漁だったぞ!」

「バッチリでしたわ」


 そういってヒュプヌーン草が入った袋をカウンターに乗せた。熟練の旅人ソロンさんのお墨付きの一品たち。これなら文句のつけようも無いだろ! ……いや、おばちゃんにイチャモンつけられた事とかねーけどさ。


「ほうほう、初めてにしてはなかなかだねえ。後ろの御仁のお陰かい?」


 さすがおばちゃん。ソロンさんを見ても動じねえ。まだイメチェンしてねーのに!


「どうもぉ。ソロンと申しますだあ」

「こりゃまたご丁寧にどうも。それにしても随分と個性的な格好だねえ……」

「よく言われますだぁよ」


 あ、おばちゃん動じてはないけど顔が引きつってやがる。そしてソロンさん、その返事はねぇだろ。額面通りの意味じゃないぞ、絶対ぇ。


「じゃあ、オイラはこの辺で……」

「おう、ソロンさんありがとなー——なんてなる訳ねーだろ!! イメチェンするまでは離れねーぞ!」

「このまま単独行動されると、間違いなく街がパニックになりますわ!」

「二人とも心強いったらないね」


 もうこれは使命みたいなもんだ。やってやんよ!



「——とはいえ、どういう方向性が良いと思うよ?」


 お誕生日席にソロンさんを迎え、シータとの作戦会議が始まった。


「カツラと服は必須ですわ。特に上着!」


 だよなー。つかなんで上半身裸なんだよソロンさん。最大のオークポイントである。あとこの世界でも、街中を上半身裸で練り歩くのは十分に犯罪の域だ。


「俺的にはオーバーオールに麦わら帽子で呑気さをアピールするのが良いと思う」


 農家のおっちゃん的な。きっと野生のオークにそんな呑気な奴はいないはずだ。無害アピールにもなる。上着着なくても辛うじて裸じゃない。


「……いいですわね。野生のオークなら絶対にしなさそうな格好なのがポイント高ですわ」


 シータさんも乗り気である。この路線で確定か……?


「あのー、オイラの意見は……?」

「「却下で」」


 おずおずと切り出すソロンさんに二人揃ってノーを突きつける。あんたに任せたら野生のオーク新バージョンにしかならんだろ! それじゃあ意味が無ぇんだよ!!


「しかし! リュージの案も捨てがたいですが、ここは他の可能性も模索すべきかと!」



 そうしてこの日。俺とシータは割と遅くまでソロンさん改造会議を続けたのだった。




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