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異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件  作者: ぽて
冒険者ギルドに入ってみる件

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紛らわしいわ!



 こちら現場の神山です。

 某ヒュプヌーン草採取スポット付近からお送りしています。スポットを占拠しているオークですが、お昼寝中のようであります! あ、ちょうちょが飛んでら……オークの鼻先にとまった。けど起きねぇ! 鼻ちょうちんだして呑気に寝てやがる! くそ、なんか戦闘意欲が減退するな、コイツ!!


「なあ、どうするよコレ……」

「倒す他、無いのではありませんか?」


 この、いかにも呑気なヤツを、か? 罪悪感半端ないんだが……?


「ちなみにこの世界のオークって、みんなあんな呑気者なのか?」

「——まさか。女子の敵ですわ」


 この世界のオークもどうやら、各種様々な媒体のオークと同じくエロい意味でエゲツないヤツらしい。シータさんの声が絶対零度になるくらい。

 でもなあ、あいつ見てるとそうでも無い気がするんだよなあ……。あいつが特殊なだけかもしれないが。


「……なあ、一回だけチャンスをくれないか?」

「……言葉の通じる魔物は少ないですわ。それでも?」


 シータもあいつを見ていて思うところはあったらしい。……念のため、遠くから森羅万象さんで調べてみよう。万が一、俺たちでは敵わないヤツだったら大変だからな。



レベル:45

種族:ハイオーク

クラス:旅人(上級)

詳細:通りすがりのよく魔物と間違われる不幸な獣人さん。通常のオークとは違い紳士。殺ったらダメ、絶対。



 ——うん。森羅万象さん試して良かった。二重の意味で。


「紛らわしいっ。危うく殺人犯になる所だったわ!」


 俺の叫びでビクッと飛び起きたハイオーク氏。とっさに武器を構えてしまった俺たちを見てパニックになった。シータは目を白黒させている。


「なんだぁ!? オイラ魔物じゃねぇよ!?」

「それは確認したから問題無い。それにあんたの方が俺らより強いから怯えなくてもいい」


 俺の言葉でなんとか落ち着くハイオーク氏。人間……かどうかはアレだが、余裕が生まれると落ち着くもんだ。


「——で、あんた。何だってこんな所で昼寝なんかしてたんだ?」


 聞けばハイオーク氏。道に迷って森を彷徨っていた所でこの場所を発見し、休んでいたそうな。……上級の旅人でも道に迷うのな。


「ヒュプヌーン草の群生地に魔物は近寄らんから、安心して休んどったら……あんた達が来たってわけだぁ」


 おおう、意外な豆知識。だがしかし。


「ヒュプヌーン草云々ってのは有名なのか?」

「旅慣れたモンなら知っとるけど、初心者は知らんかもしれんなぁ」


 ですよねー。無意識に自殺志願とかあるんじゃねーの? ハイオーク氏よ。俺らが強かったら問答無用で殺ってた所だぞ……。


「あんた、もう常に『魔物じゃありません』て書いたカード吊るしとくか、大幅なイメチェンしたほうが良いと思う」

「初対面でそこまて言うだか!?」

「初の採取クエストで目的地に着いたらオークが!? と、恐れおののいた初心者がここにいるんだよ!!」

「…………あー、そりゃすまんかった」


 オークに間違われる自覚はあるのな。


「——あの、お話のところ済みませんが……その方、魔物では無いと言うことでよろしいんですの?」


 あ、そうか。森羅万象がある俺はともかく、シータには判別の方法が無いんだった。彼女にはかくかくしかじかと説明しご納得いただいた。


「ところで——ええっと……」

「オイラはソロンっていうだよ」

「ソロンさんは街の出入りなんかはどうなさっておいでですの?」


 当然っちゃ当然の疑問だ。遠目にはオークにしか見えないもんな、この人。


「毎回ギルドカードかざしながら何とかしとるよ。あとは他の旅人さんに合流させてもらったり」


 苦笑いしつつシータの問いに答えるハイオーク氏改めソロンさん。いやいや、苦笑いする前にやっぱイメチェンしたほうが良いと俺は思うナー……。



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