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グレードダウン



 城と思しき石造りの廊下をかなり歩かされて案内された部屋はそこまで酷くはなかった。最低限の掃除が行き届いた、小綺麗な部屋。ビジネスホテルの一室くらいの広さに、ベッドとサイドテーブルだけのシンプルなチョイス。……うむ、悪くない。てっきり蜘蛛の巣でも張った物置に放り込まれるのでは? とか思っていたので、ホッとした。そこまでは腐ってないんだなと。


「じゃあオレはこれで……」


 一通りの施設の場所と利用方法を説明すると使用人の男は去っていった。


 ——さて、ここからどう動くべきか。居丈高だが、一応俺たちの面倒は見てくれるらしいこの国。最初は世話になっても問題はないだろう。慰謝料ってやつだ。俺たちを無理やりこっちに連れて来たあいつらには、ある程度まで俺たちの面倒を見る義務がある……はずだ。すくなくとも使い物になるくらいには鍛えないと、あいつらの目的であるという魔王討伐なんて叶うはずがない。いくら職業適性があるっつっても俺たちは戦いに関しては素人だし。

 まさか何処ぞのゲームみたく木の棒と雀の涙ほどの小遣い渡して「旅立て!」なんてことは無い……よな? ……まあ生産職もいるし、それはねーか。



 ……そういや『旅人』の特殊技能ってなんぞや?





 色々考えていたらメシの時間になった。腹時計が鳴ったから間違いない。それに厨房が近いのか、めちゃくちゃ美味そうな香りが漂ってきている。肉の焼ける匂いとかこれだけでご飯三杯はいけるな。育ち盛りなので、栄養は満遍なく摂るべきなのだろうが……無理だ。肉食いたい。あと米。……というかこの国に果たして米はあるのか? 百歩譲ってパンでもいい。なんかすげー腹が減ってきた……!


「旅人さん、食堂まで案内するっスよ」


 ナイスタイミングだ! 使用人改めヴァルさん。実はあの後、地味に交流を図り普通に話せるレベルまで持っていったのだ。やる事がなくてヒマだったともいう。

 他のクラスメートたちはどうしたかって? みんなは衣装合わせがあるとかで誰一人部屋に居なかったゼ。やけに遠い道のりを歩いてたどり着いた彼らの部屋は、贅の限りを尽くされた貴賓室だった。おれまじカースト最底辺じゃねーかと再認識させられた。しかもやっと辿り着いた部屋はもぬけのカラ。割と本気でいじめだと思った。

 捕まえた使用人に事情を聞いた瞬間は、現場に乱入してやろうかと思ったが自重した。そんな事しても悪目立ちするだけだからな。


 それはさておき、重要なのは食事メニューのラインナップだ。これの良し悪しで今後の俺のやる気が左右される。


 どうやら食事はブッフェ形式のようだ。銀のでかい皿に山盛りになった料理が所狭しと並んでいる。こんなの中学の修学旅行以来なんですけどー!? テンション上っがるぅ!! 

 他のみんなも俺と似たり寄ったりの反応をしている。こんな凝ったご馳走クリスマスとか正月でも並ばねーよレベルだったので。


「おーう、神山ー。お前衣装合わせ来てなかったけど大丈夫なん?」


 聖騎士にされてしまった石田が気を使って聞いてくれた。


「そもそも呼ばれてねーし大丈夫だろ」

「まじかよ?」

「まじまじ。んで、衣装合わせとやらはどんな感じだったん?」

「いや、それがめっちゃキツくてなー」


 針子さんにキュッと締められたり、ちょっとでも動くと怒られたり大変だったらしい。呼ばれてなくてまじ良かった。とはいえ、いつまでも学ランのままってのもアレだし、近々ヴァルさん辺りに無心してみるか。


 旅人に仰々しい服なんて似合わないし、城の中で生活するぶんには普通の服で十分だろ。


 ちなみにメシはめちゃくちゃ美味かった。調味料やら香辛料やらいろいろ使ってたみたいだ。



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