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異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件  作者: ぽて
冒険者ギルドに入ってみる件

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異世界は体が資本!



 さあ、ギルドへの登録も終わった事だし、さっそく依頼を受けるとしようか! さあ受付のおばちゃんよ、俺たちが受けられる依頼を見せるのだ!!


「き、急にテンションが上がりましたわね」

「まあ男の子には良くある事だねえ」

「殿方の心理はよくわかりませんわ……」


 シータの感想とか今はどうでも良いので依頼はよ。


「そんなにがっつきなさんなって。彼女さんに愛想尽かされるよ?」

「……むぅ」

「おばさま! かっ、彼女だなんてそんな!」


 クネクネと体をくねらせるシータからは色気すら感じたが、いまは色気より食い気、花より団子である。


「いまのあんた達に出せる依頼は——こんな所かねぇ……」


 そうして出された数枚の紙束。……文字はまだ勉強中だから読めねーんだってば! 森羅万象さん、頼んまっす!


「あ、もし文字が読めないなら言っとくれ。代読するからね」


 実はこの国の識字率はそんなに高くない。なので、おばちゃんの言うようなサービスもあるのだが大抵は有料である。ただでさえ借金のある身。出費は抑えたい。


「いえ、これも勉強なんでギリギリまで頑張ってみるっす」


 俺がそう言うと、おばちゃんは「そうかい。頑張りなよ」と言ってコップ拭きに戻っていった。


 それじゃあ見てみるとしよう。


「なになに……雑貨屋の荷下ろし要員募集に、中央通りのレナードさんちの草刈り、街外れのドナルドさんの買い物代行……」


 他のも似たり寄ったりだった。冒険者ギルドへの依頼なのに冒険が無い。……いや、初っ端からフルスロットルでも困るが。


「お手伝いやお使いみたいな依頼ばかりですのね」

「……まー俺たち登録したばっかのひよっこだもんな、そりゃお使いクエストからのスタートだわ」


 基本はだいじ。とはいえ、採取とか討伐クエストをしてみたかったのも事実。じーっとおばちゃんを見つめてみたが……首を振られて終了。ですよねー。地道にがんばるか。


「買い物代行系は俺らの知識的に難しそうだから、草刈りか荷運びが妥当かもな」

「あら、買い物くらい私でもできますわ」

「……生粋のヒッキーが挑戦するには敷居が高くないか?」


 シータの場合、文字通り『初めてのおつかい』である。見守り役の俺もこの世界は初心者なので、フォロー要員が居ない。イコール……惨劇の予感。もうちょい慣れてからにした方が俺は良いと思うんだがなぁ……。ちびっ子だって最初は親に着いて行って覚えてくモンだぞ? 全くの初見で行くようなもんじゃない。そもそも買い物の仕方知ってんのか、シータさんよ?


「決めました。私、買い物代行依頼を引き受けますわ! 貴方は草刈りでも荷運びでもお好きなだけやっているといいですわ!」


 どうやらお嬢様のご機嫌を損ねてしまったようだ。シータはぷんすかと古典的な怒り方をしつつ依頼の紙を持って、行ってしまった。


 ……あーあ。どうなっても俺はシラネ。


 俺は無難に肉体労働と行きますか。うまくいけば筋トレになるからな。





 ——まさか荷物が重すぎて手伝いすら出来なかったとかまさかそんな——


 というわけで絶賛草刈り中である。草刈りはいい。力が無くてもできるからな………………体力トレーニングにはなるが、筋トレにはならねーよ!!


 くそぅ。この世界の住人の基礎能力舐めてたわ。そりゃ身体が資本だもんな。もやし——あくまでもこの世界では、だ!——な俺はこの先生きていけるかめっちゃ不安だ。シータみたいに買い物代行してれば良かったか? いや、あそこまで反対した手前だと依頼を受けづらい。


 そうだ! 草刈りついでにナイフ使いの練習をしよう。草も刈れてナイフの扱いも上手くなる。うん、一石二鳥だな。ちなみにナイフだが、ダンジョン攻略決定後に配布されたマジもんの実戦用ナイフなので、草が刈れないという事はあるまい。


 よーし、サクサク刈ってやるぞ草ども!



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