ー毎日に潤いがほしいだけ、非日常の危険な冒険とかいりませんからー
初投稿です。
よろしくお願いします。
短編のつもりです。
仕事が少し早く片付き、上司に許可をもらい、特別早退することにした。
俺は、早く帰れることに少し興奮し、寄り道して帰ることにする。
――――――――――――――――――――――――――
そしていつもより家から1駅遠い駅でおりて歩くことにした。
早退していなければ、無駄な時間と思うが今日は散歩気分だ。
すると見なれない本屋を見つける。
個人経営の店のようだ。
俺は漫画しか読まないが本屋自体は好きである。
町に本屋がないような田舎で育ったこともあり、
大きな本屋はゲームセンターと並んで、子供のころからテンションがあがる。
成人して上京し、都会で社会人として暮らして
子供のときより特別感はなくなったが今でも好きだ。
だがこの本屋が気になった理由はそれとは違う。
誰も客がおらずに、漫画や雑誌がまったく置いてないような店だからだ。
自分が普段から読む漫画や週刊誌の類はないのに、
なんとなく店に近づいてみる。
店内を覗き込むとそこそこ本は多そうだ。
一見さんお断りの雰囲気を感じつつ、意を決して俺は中に入る。
なにか長編小説のひとつでも買ってみようか
そう思いながら本を物色する。
そこで本のタイトル見ると中古の洋書らしき本が多い。
日本語の本もあるが昔のタイトルだけは聞き覚えが
あるような小説や、辞典等がわずかにあるばかりだ。
一通り店の中を歩いた。
(ライトノベルとかも置いてないのか…
もう帰ろうかな。)
そうして帰ろうとすると
入り口付近の横の棚に『サンデー魔法指南書』と
書いてある分厚い装飾された本が目に留まった。
まわりと似つかわしくない、本がぽつんとあるので、興味をそそる。
手に取ろうとすると
「触っちゃだめだめだよ、
触らないでください。って張り紙がすぐ下にあるだろ」
振り返ると眼鏡をした
白髪まじりのおじさんが店の奥から顔を出している。
(いたのか…店員さん)
「すみません。これは非売品か売約済みですか?」
「あーちがうんだが、
本が古くて痛んでるから、触らないでほしいだけ
早く処分したいんだけど、買わない?、勉強するよ」
とおじさんは本を勧めた。
「いくらですか?」
俺は少し興味があったので値段を尋ねる。
「そうだね、3万円だけど2万円7千円にまけてやるよ」
「手持ちじゃ足りないです。というか高くないですか?」
「この魔法指南書は元々西洋で70年以上前に作られた本なんだよね」
だいぶ安くしてあげてるのはわかるだろう……」
とおじさんが本の説明をさらに続ける。
長かったので3行?にすると
西洋で70年以上前に作られた本の復刻版として作られた本の日本語訳版らしい。
発売されたのは20年以上も前らしいが
ほんのわずかしか発行されなくて今は入手不可能であり、幻の本とのことだ。
この本は中古で保存状態はあまり良くないらしいがちゃんと読めるらしい。
「保存状態悪いなら、2万3000円にしてください。
それと本として文字が読めるか、少し頁めくらせてください。
字が読みづらく、あまり保存状態が悪いと思ったらやめますけど、
問題なしなら買います。」と値切ってみる。
「ん…わかった、いいよ。」少し渋った顔をしながらも了承してもらえた。
(でも、俺……買いますっていったぞ、
何乗せられてるの!?)
俺はそう思いながらも本を開く、中は少し黄ばんでいるが、
復刻版と聞いて少し不安だったが、
字は日本語のワープロ明朝体の文字だった。
ちゃんと文字も読める、
英語だったりするとお手上げだったが、問題なさそうだ。
ただしどこが魔法指南書なのかは疑問が残る。
開いたページをの文章を見るとただの小説に思える。
そしてスマフォを取り出し、本のタイトルをネット検索する。
ネットオークションでの売買があれば、
それを参考に妥当な値段が分かり、さらに値引きできるかな思い
ネットで検索する…するとヒットしない。
(マイナーすぎるってことか?
…でも希少性が高いともとれるな、
読み終わったら、高値で売れるかな。
ただ20年前の本でネットに情報がないとかありえるのか?)
買うかどうか少し悩む、2万3000円は今の俺の全財産となる。
FG○ガチャも引けなくなるし、夜の街に遊びにもいけない。
ただしそれ以上にいつもと違う刺激を求めていた。
ゴルフにいくよりプロ野球のS席で試合を見るより
車を借りてドライブにいくよりも手軽だと思った。
そして決心する。
「買います。」
「毎度、気をつけてね。返品不可だよ」とおじさんが今更なことを言ってきた。
「……はい。なんか早く手放したいとかあるんですか?」
「ははは、高い本だからね。
いつまでも店先に置いときたくないんだよ。
それにネットで売りたいけど苦手でね」
「そうですか……」
(呪いの本じゃないのか?)
怪しい印象を持ちつつ、俺は本を受け取り家に帰る。
早足で歩いていた、本を読みたくなっているのだ。
最近は仕事のことばかり考えていたのに
たかが本のことで、少し興奮している。
まだ当選確認していない宝くじ、
新作ゲームを前評判を調査せずに買ったようなものだろうか。
――――――――――――――――――――――――――
家について、携帯を充電器において、着替えて椅子に座る。
そしてコーヒーを1口飲んで、俺は本を開く。
冒頭の出だしを読むと……
弟が死んだ、姉が死んだ。父が死んだ。母が死んだ。
私のまわりからは誰もいなくなった。
そして私が習得した魔法について記録残すこととした。
(自伝!?、何いきなり欝展開。
この人がいう魔法ってそもそもなんなの)
挿絵も、図解らしきページはなかったし、全部文字だ。
(読まないとわからないな…)
そして俺は頁をめくった。




