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引きニート×2の異世界物語  作者: 夏目蛍/ 橘春流
第一章
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15 長瀬side 信頼できる奴であってほしい

長瀬視点。

「これを見ろ」


 無理矢理ギルドまで連れ帰られてシクシクしていた俺に、黒崎が声をかけてきた。


「え?」


 見上げると、そこには掲示板のようなものがあった。


「なになに……?」


 掲示板には、沢山の紙が貼られていた。試しに読んでみる。


 『新パーティ結成!!』『パーティメンバー募集中!!』『どなたか狼を狩ってきてください』『ご飯作って』エトセトラエトセトラ……。


 パーティメンバー募集や、クエストの依頼、よく分からんものまで、実に多種多様である。


「これがどうしたんだ?」

「この張り紙を見ろ」


 黒崎が指差したのは、掲示板の隅っこに申し訳なさげに貼られた張り紙。


『俺をパーティに入れてください。盾でも捨て駒でもなんでもやります』


「こんな感じで、パーティに入れてください、って奴も結構あるんだ。こいつ等をパーティに入れれば、一応パーティ結成できるぞ」

「うーん…。」


 黒崎の提案に、俺は腕を組んだ。


「でもさ、俺的には、そんな寄せ集めみたいなのは好きじゃない、っていうか。もっと…、何て言うの、信頼できる奴であってほしいんだよね。」


 必死に言葉を掻き集めて、表現する。


「……そうだな!確かにそうだ。変なことを言ってすまん」


 黒崎は、珍しいことに謝ってきた。


「そうだそうだ、もっと俺を敬え」


 と自慢気にバーンと胸を張ると、


「いったああああああ!?」


 黒崎に脛を思いっ切り蹴られ、悶え苦しむこととなった。







 それから一か月後。


「599っ、600っ!!終わったー!!」


 そう叫ぶと、バタリと床に倒れ込む。


「フウン、結構やるようになったじゃん!!」


 エマは、何故か得意気な顔をして、俺の顔を覗き込んできた。

 何でおまえが得意気なんだ。

 そう思いながら、ぴょんと立ち上がる。


「まあな。息切れもしなくなったし」


 エマは、「どれどれ…」と俺の腕を触ってきた。スリスリといじくり回すその感覚に、俺は思わず背中がムズムズするのを感じる。


「ふむ。たくちゃんの筋肉は、普通くらいにはなったね!!」

「これで普通かよ…。かなり筋肉ついたんだぞ」

「これでついたなんて…!見なさい!この、私の鍛え抜かれた筋肉を!!」


 決め台詞のように叫んだエマは、バッと袖をまくしあげる。白い肌にできた大きな力こぶを、恐る恐る触らせてもらう。


「固っ…!!何これ?鉄?ダイヤモンド?」

「ダイヤモンド!?フッ、私の筋肉はそこまで美しいと__」

「安心しろ、そういう意味じゃない」

「くぅ…。じ、じゃあ、クロっちはどう思う?…て、あれ?」


 エマの言葉に返事がない、と横を見ると、


「し、し、し、し、死んでるううううううう!?」


 黒崎は、うつ伏せになって倒れていた。


「死んでねええええええええ!!ちょっと力尽きただけだよ!!」


 黒崎は、ガバッと体を起こす。


「「よかった…。」」


 二人して、ほっと溜息。


「クロっちの筋肉は、どうかなーっと!」


 エマが、ニコニコしながら黒崎の腕を触る。


「…クロっち。あなた、余程育ちがいいのね」

「え?何で?」

「進歩はしてるけど…、たくちゃんに比べると、筋肉があんまりついてない」

「嘘…だろ……。」


 余命宣告をするかのようなエマの顔に、黒崎はガックリと崩れ落ちた。



次回は黒崎side。

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