15 長瀬side 信頼できる奴であってほしい
長瀬視点。
「これを見ろ」
無理矢理ギルドまで連れ帰られてシクシクしていた俺に、黒崎が声をかけてきた。
「え?」
見上げると、そこには掲示板のようなものがあった。
「なになに……?」
掲示板には、沢山の紙が貼られていた。試しに読んでみる。
『新パーティ結成!!』『パーティメンバー募集中!!』『どなたか狼を狩ってきてください』『ご飯作って』エトセトラエトセトラ……。
パーティメンバー募集や、クエストの依頼、よく分からんものまで、実に多種多様である。
「これがどうしたんだ?」
「この張り紙を見ろ」
黒崎が指差したのは、掲示板の隅っこに申し訳なさげに貼られた張り紙。
『俺をパーティに入れてください。盾でも捨て駒でもなんでもやります』
「こんな感じで、パーティに入れてください、って奴も結構あるんだ。こいつ等をパーティに入れれば、一応パーティ結成できるぞ」
「うーん…。」
黒崎の提案に、俺は腕を組んだ。
「でもさ、俺的には、そんな寄せ集めみたいなのは好きじゃない、っていうか。もっと…、何て言うの、信頼できる奴であってほしいんだよね。」
必死に言葉を掻き集めて、表現する。
「……そうだな!確かにそうだ。変なことを言ってすまん」
黒崎は、珍しいことに謝ってきた。
「そうだそうだ、もっと俺を敬え」
と自慢気にバーンと胸を張ると、
「いったああああああ!?」
黒崎に脛を思いっ切り蹴られ、悶え苦しむこととなった。
☆
それから一か月後。
「599っ、600っ!!終わったー!!」
そう叫ぶと、バタリと床に倒れ込む。
「フウン、結構やるようになったじゃん!!」
エマは、何故か得意気な顔をして、俺の顔を覗き込んできた。
何でおまえが得意気なんだ。
そう思いながら、ぴょんと立ち上がる。
「まあな。息切れもしなくなったし」
エマは、「どれどれ…」と俺の腕を触ってきた。スリスリといじくり回すその感覚に、俺は思わず背中がムズムズするのを感じる。
「ふむ。たくちゃんの筋肉は、普通くらいにはなったね!!」
「これで普通かよ…。かなり筋肉ついたんだぞ」
「これでついたなんて…!見なさい!この、私の鍛え抜かれた筋肉を!!」
決め台詞のように叫んだエマは、バッと袖をまくしあげる。白い肌にできた大きな力こぶを、恐る恐る触らせてもらう。
「固っ…!!何これ?鉄?ダイヤモンド?」
「ダイヤモンド!?フッ、私の筋肉はそこまで美しいと__」
「安心しろ、そういう意味じゃない」
「くぅ…。じ、じゃあ、クロっちはどう思う?…て、あれ?」
エマの言葉に返事がない、と横を見ると、
「し、し、し、し、死んでるううううううう!?」
黒崎は、うつ伏せになって倒れていた。
「死んでねええええええええ!!ちょっと力尽きただけだよ!!」
黒崎は、ガバッと体を起こす。
「「よかった…。」」
二人して、ほっと溜息。
「クロっちの筋肉は、どうかなーっと!」
エマが、ニコニコしながら黒崎の腕を触る。
「…クロっち。あなた、余程育ちがいいのね」
「え?何で?」
「進歩はしてるけど…、たくちゃんに比べると、筋肉があんまりついてない」
「嘘…だろ……。」
余命宣告をするかのようなエマの顔に、黒崎はガックリと崩れ落ちた。
次回は黒崎side。




