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引きニート×2の異世界物語  作者: 夏目蛍/ 橘春流
第一章
14/16

13 長瀬side なんだか異世界の飲み屋っぽい

長瀬視点。

「おお…。」


 ギルマスの書いた地図がよく分からなかったので、すれ違った人に尋ねまくって、やっとのことで辿り着いた飲み屋。

 扉を開けると、軽快な音楽が飛び込んできた。

 いらっしゃいませ〜と女店員が近付いて来て、一番奥の席を案内される。

 ごゆっくり〜と店員は立ち去って行った。


 店内を見渡すと、沢山の人達が酒を飲みながら談笑している。そして、ギルドの本部が近いからか、冒険者風の人達も多いことに気づく。


「姉ちゃんっ!酒もう一杯っ!!」


 隣のテーブルのひげもじゃの男が、別の女店員に叫んでいる。

 いいねいいね、これ!異世界の飲み屋っぽい!!

 そう思いながら、右手をビシっと高く上げ、


「姉ちゃん!酒一杯っ!!」

「未成年は飲酒禁止」


 注文しようとして、すかさず黒崎にペシっと頭を叩かれた。







 19歳の俺達は、結局烏龍茶とフライドポテトと唐揚げらしきものしか頼めず、ちびちびとそれを食べていた、その時。

 辺りから、オオッという歓声が湧いた。


「な、なんだ?」


 顔を上げると。

 二人の少女達が、歓声を浴びながらステージに上がるところだった。

 俺等のテーブルは、ステージの真正面、最前列の、一番の特等席。ステージに向き直り、じっくりと眺める。


 一人は、黄色のリボンで結わえたポニーテール。

 もう一人は、同じく黄色のリボンで結わえたツインテール。

 二人共赤色のチャイナドレスを着ていて、栗色の髪に、赤い瞳。猫を思わせる吊り上がった瞳は、パッツン前髪とよく似合っている。

 これはまるで_。


「ふ、ふ、ふ、双子ーーーー!?」

「そうだぜ、兄ちゃん!」


 叫ぶと、横から声がかかる。

 見ると、先程女店員に注文していたひげもじゃの男。


「俺は、この為に来てるって言っても、過言じゃないねえ。あれは、この店一番の踊り子達だよ。ポニーテールが双子の姉のミラ、ツインテールが双子の妹のミアさ」

「へえ…」


 男の説明に納得し、改めてステージに向き直る。


 ミアは、あらかじめ用意されていた琴を前に座り、ミラは、ステージの中央で何やら煽情的なポーズをとる。ミラに、ステージ中のスポットライトが集まった。

 そして__。ミアの美しい琴の音色と共に、ミラが踊り出した。

 先程まで賑やかだった飲み屋に、琴の音だけが響く。

 哀しげなメロディーと共に始まり、ミラはゆったりと大人っぽい仕草をしたかと思えば、楽しげなメロディになると、ヒールの高い靴でクルリと回ったり、軽快なステップを踏んで人々の手拍子を誘ったりする。

 ミアの美しい琴の音色と、ミラの華麗な踊りに、俺は息をするのも忘れて引き込まれていた。

 ミアがポロンと弾き終えると、美しい余韻が飲み屋中に響いて、消えていった。


 途端に、ワッと拍手が鳴り起こった。何人かは、立ち上がって声援を送っている。俺も、力一杯拍手を送った。

 ステージ中にお金が投げ込まれ、店員達が袋に入れて回収していく。

 双子達は、一通り礼をした後、ステージからぴょんと飛び降りて_。


「「こんばんは、お客様?」」


 ミラが俺の隣に腰掛けると、ミアは黒崎の隣に腰掛けた。


「くそっ…!こいつ等、俺の天使達を独占しやがって……!!」


 後ろから先程の男の悔しそうな声が聞こえた気がするが、何も聞かなかったことにする。


「えっと…、こんばんは」


 俺等のテーブルに来たことを驚きながら、挨拶を返す。


「お客様は、初めての御来店ですよね。どちらからいらっしゃったのですか?」

「まあ、かなーーーり遠いところですね。それで、ギルドに入ることにしたんです」


 ミラの口調につられて、俺も丁寧に答える。


「その、『かなーーーり』というところが気になりますが…、へえ、冒険者様なんですね!確かに、そんな感じですものね」

「ちょっと待て、あいつは俺のこと『貧弱な筋肉』とか言ってたし…、つまりは、どういうこと?」

「冒険者の様に希望に満ち溢れた明るい目をしている、ってことですよ!」

「それを言うなら、あれだな、ミラは、紅いバラのように美しい瞳をしているな、そのまんまだけど」


 ミラのお世辞に真っ赤になった顔を隠すように、俺もミラに対して思ったことそのまんまを言う。ミラは、俺の切り返しにきょとんとした後、クスクスと笑い出した。



「まあ、お客様、御上手ですね!少しあちらへ行きましょう?」


 ミラは俺の手を握ると立ち上がり、歩き出した。




次回は長瀬&黒崎side。

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