12 黒崎side 武器選び
黒崎視点。
俺は今、真剣に考えている。
「おい、黒崎ーー?早く選べよー!」
……隣で急かすこいつとは違い、真剣に考えている。
何に悩んでいるか。それは、武器選びについてだ。
武器屋に連れてこられた俺達は、エマに「何でもピンときたの一つ選んでね!値段は気にしなくていいよ、どうせマスターの奢りだから」と言われ、選んでいたのだ。
長瀬は、すぐに武器を決めたみたいだが。やたらと煌びやかな双剣にしたそうだ。長瀬らしいといえば長瀬らしい。
俺も、剣にする、というのだけは決まっている。だが、剣にも色々な種類がある。
さて、どうするか…、と思ったその時。
「__あ」
なんとなく、そう、なんとなく、1つの剣に目が止まった。引き抜いた剣は、青い柄の刀。異世界に刀なんてあるのか、とか思ったが、日本みたいな国もあるのだろう。
よし、これにしよう。軽いし、格好いいし、斬れ味も良さそうだ。何より、一目見てピンときたのだ。直感で、この刀が俺に一番合っている刀だと解った。
……少し、厨二臭いけど。
俺は、武器屋のオッサンと談笑するエマのところに渡しに行った。ついでに砥石もあったら買って貰おう。
☆
「…っ…ハァっ…ごひゃっ…くぅっ……終わった…!!」
俺は、「腕立て伏せ500回」という苦行が終わったとばかりに、練習室の床に倒れ込む。やばい、結構辛い、鬼だ……。
「ハイ、クロっち!こんくらいで満足してないで、次はスクワット200回!!」
容赦はせんとばかりに、すかさずエマの声が飛んでくる。
「……鬼。」
溜息をつきながら、筋トレを再開。
現在、俺等はエマの監視下の下、体力づくりとやらをしている。
エマが言うには、「魔法だって剣だって何だって、まずは体力づくりが大事!そんな貧弱な筋肉じゃ、何にも出来ないよ!!」らしい。
それで今、この筋トレを課せられている、という訳だ。
「…にっ…ひゃくぅっ…!終わった……!!」
バタリと床に仰向けで寝っころがる。ヒンヤリとした床が、火照った体に気持ちいい。
横を見ると、長瀬もちょうど終わったところらしく、床に倒れこむところだった。
すると、エマが俺等の顔を覗き込んできた。
「ウフフ…、なかなか頑張ったじゃないの!今日はこれで終わりにするね!!」
と、エマはウインク。
「「よっしゃ!!」」
俺達は、大きくガッツポーズをつくる。
「たくちゃんとクロっち、ちょっと汗まみれだから…、とりあえず」
と、エマが俺達の頭上に手をかざした。何をするのか分からない俺は、エマに何をするのか聞こうとした、のだが。
「「うおあああああああああ!?」」
決して心地よいとはいえないシャワーが、俺達の体に直撃。水は、俺等の汚れを流していく。
エマが手を閉じると、地獄のシャワーは止まった。
「ゲホッ…ゴホッ……寒っ…」
盛んに咳き込む俺達。と、同時に。
「「うおあああああああああ!?」」
今度は、俺達の体に熱風が直撃。ごうごうと勢いの良い風は、俺等のビショビショの髪と服を、あっという間に乾かしていく。
やっと止まった、と恐る恐る目を開けると、エマの満面の笑顔。
「ね?綺麗になった!!」
「「ふざけんなーーーー!!!!」」
☆
「それで?今日1日目の練習は、どうだった?」
またもやギルマスの部屋に連れて来られた俺達は、ギルマスに質問される。
「まあまあ、じゃね?……1回死にかけたけどな。」
長瀬はそう答えると、エマを睨む。
「ははー、ごめんごめん」
エマは、ニコニコしながら頭をかいた。ごめんで済まされる話じゃねえよ……。
「そうかそうか。で、練習も結構だが、パーティのことも、考えて欲しいんだ」
「「パーティ?」」
全く不本意ながら、長瀬との二重奏で聞き返す。
「ああ。ギルドのクエストを受けるには、パーティに所属してないといけないんだ」
「ああ、それなら、俺と黒崎のパーティでいいよー」
長瀬は、これで決まりだ!とでもいうように、俺の背中をバシバシ叩く。痛い。
「そうもいかない。パーティの人数は、四人以上と決まっている」
「四人…」
4人必要。ということは、あと2人連れてこなければならない。そのことに気づき、俺等は黙り込む。
「まあ、急がなくてもいい、ゆっくり考えてくれ。今日は初めてで疲れただろ?いい飲み屋の紹介してやるよ」
ギルマスは、長瀬に手書きの地図と一枚の金貨を渡した。
「飲み屋?」
「ああ。あそこはいいぞ、綺麗な踊り子さんが沢山いる。飲み代は俺の奢りってことで、金やるよ」
「よし行こう、黒崎!!」
夢見心地なギルマスの言葉を聞くが早いか、長瀬は俺の手を掴むと部屋を飛び出した。
次回は長瀬side。




