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引きニート×2の異世界物語  作者: 夏目蛍/ 橘春流
第一章
10/16

9 長瀬side 男のロマンを邪魔するな

長瀬視点。

「「でっけえ建物〜〜。」」


 俺達は、二人揃って目の前の建物を見上げる。

 その高くそびえる建物は、ギルドの本部。まるで中世にタイムスリップしてきたような外観である。


「しっかし…、やっと異世界冒険っぽくなってきたな……。」

「だな…。」



 俺と黒崎は、ウンウンと頷き合う。

 あのオジサマ、ギルマスの勧めで、俺達は喜んで(黒崎は若干引き気味だったが)ギルドに入ることになったのだ。

 ギルド。そんな男のロマンに、飛び込まない訳がないだろ!


「おい、何立ち尽くしてんだ?さっさと入りな」


 後ろに立つギルマスから、不思議そうな声がかかる。


「へーい……。」


 男のロマンを、邪魔するなよ…。

 心の中でそう呟きながら、短い返事をすると扉を開ける。


 中に入ると、ギルマスは「こっちに来な」と、大股闊歩で歩き出した。そして、カウンターのような所で立ち止まる。


「はい、どんな御用件ですか?…って、マスター!?」


 カウンターにいたお姉さんは、ギルマスを見ると慌てて立ち上がり、ペコペコと頭を下げた。

 ああ、この世界にも上下関係というものがあるんだ…。ぐすっ……。


「いいよいいよ、そんなに畏まらなくて。…えっと、こいつ等をギルドに入れてやってくれ。面倒な手続きはさせなくていいから、俺の推薦ってことで」

「あっはい、分かりました!ではお客様…、この水晶に手をお乗せ下さい」


 ギルマスの命令を聞いたお姉さんは、カウンター脇の紫水晶を指し示した。


 何だこれ?

 そう思いながら、とりあえず水晶に手を乗せてみると。

 水晶は、勢いよく輝き始めた。


「うおっ!?何じゃこりゃっ!?」

「ギルドの団員カードを作ってるんだ。カードには、ステータスなんかも書かれている」


 驚いて叫ぶと、ギルマスに説明される。ちょっと待て、聞き逃せないものが!?


「おお!?ステータスッ!?これはこれはッ…!俺のチート能力が判明する瞬間ッ…!!異常なる値が出るかッ…!もしくは、超強い激レア能力を手に入れるかッ…!どうなるッ…!?」


 ウキウキしながら、水晶が様々な色に輝くのを眺める。


「訳の分からんことを言ってないで、そろそろ手を離してみな」

「訳の分からんことじゃねえっ!これは、ひっじょーうに重要な案件ッ…!!」


 ギルマスにそう言い返しながら、恐る恐る手を離すと。


 __ブォン…。


 水晶は赤く輝き、一枚の紙が浮かび上がった。

 なになに…。

 ワクワクしながら目を通し始めたのだが。


「読めねー!!」


 思わず投げ捨てそうになる。古ぼけたその紙には、正体不明の文字で何やら記されていた。…けど、まだ転移してきて数日の俺に、何を期待しているんだ。


「読めないのか?まったく、おまえ達の親は何をしているんだか……。では、俺が読んでやろう」


 ギルマスは呆れたように言うと、俺の手から紙を取り上げた。


「『ナガセ タクト 職業 精霊使い 火属性 HP 105 MP 500』…って、何じゃこりゃーー!!」

「え?すごいの?」


 ギルマスは俺の紙を読み上げる途中で、奇声を発する。淡い希望を抱きながら尋ねると、


「すごいってものじゃないぞ!!普通の人間なら、頑張ってこんくらいに辿り着けるか、ってくらいだ!!」


 呆然とした面持ちのギルマス。

 俺はこの現実を噛み締め、

 

「っしゃあ!!」


 大きくガッツポーズ。

 これで…、俺の異世界ライフは安泰だあっ!!


「おい、俺のも」


 いつの間にか鑑定したらしい黒崎は、ギルマスにカードを差し出す。


「えっと……」


 ギルマスは、黒崎の紙をざっと眺め回し、


「何じゃこりゃーー!?」


 またもや、ギルマス渾身の叫びがフロア中に響き渡った。

次回は黒崎side。

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