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例えば!  作者: ゆぅり
1/2

鈴木君の話

殴り書きです

「例えば!」


「は?」


「鈴木君が未来予知ができる人なら!」


「……」


 頭を打ったのなら、ちゃんと死ねばよかったのに。





----------鈴木君の話----------





 目つきの悪い奴、態度の悪い奴、クラスに一人はいると思う。たぶん。

 このクラスでは私、『張山 友野』がその役を演じている。

 まぁ、演じてるっていうか、そのままなんだけど。


「言いたいことがあるならはっきり言いなさいな!」


「頭を打ったのなら、ちゃんと死ねばよかったのに」


「ホントにはっきり言っちゃった!」


 で、さっきから文末に!を着けているテンション高い系女子高生が『丸井 友香』

 二人して名前に『友』って入ってるくせに友達は皆無だったりする。

 ちなみに丸井は私の友達ではない断じて。


「でさでさ!」


「テンション高いね、相変わらず」


「ありがと!」


「テンション病ってないのかな」


「なにそれ!」


「テンションが高い人が死んでいく病気」


「それあたし終わりじゃん!」


「終わってほしいんじゃん」


「ひどい!」


「んじゃ、あたし職員室行かなきゃだから」


「話聞いて!」


 ち、逃げられなかったか。


「なんだっけ?」


「鈴木君が未来予知ができるとしたら!」


「出来るわけないじゃん」


「なんで!」


「……」


 めんどくさいなぁもぉ。人間なんだからできるわけないでしょそんなこと。


「だって見てよあれ!」


「こら、人を指ささない」


「ごめんなさい!」


「で、お昼休みに机に突っ伏して寝てる鈴木君がどうかしたの?」


「今やってるんだよ!」


「なにを?」


「未来予知!」


 ……いや、寝てるだけじゃん。


「だっておかしいでしょ!」


「だから何が」


「お昼休憩なんだよ!」


「そうだね」


「誰とも話さずに寝ちゃうんだよ!」


「……」


 ……いや、……察してやれよ。

 仕方ないんだよ。話す奴がいないんだよ。でも一人でいるのが不本意だって思われたくないんだよ。自分は眠いんですよ、あえて一人なんですよって言いたいんだよ。


「お弁当食べたらすぐ寝ちゃうんだよ!」


「……眠いんでしょ」


「そんなわけないよ!」


「どうして?」


「だって鈴木君授業中もずっと寝てるんだよ!」


「……」


「眠いわけがないよ!」


 反論する余地は多分に残ってるけど、まぁ、本題はそこじゃないし、いいや。


「で、それで何で未来予知ができるってなるの?」


「他にもできることがたくさんあるのに、あの所作を徹底して行っているんだよ!」


「所作って使い方あってる?」


「つまりあれが未来予知の儀式なんだよ!」


「おいこらちょっとまて、中身をはしょって1からいきなり10に飛ぶんじゃない」


「だってだって!」


「だっては一回」


「だって!」


「だって?」


「鈴木君、成績悪いのに寝てる暇なんかないじゃん!」


「……」


 ごめん鈴木君、これは反論しちゃいけないと思った。


「それでも鈴木君はあれをやめないんだよ!」


「……うん、そうだね」


「授業中もずっと寝てるんだよ!」


「……うん、そうだね」


「つまり彼は、この授業に意味がないこともう知っているんだよ!」


「……うん?そうなの?」


「未来予知で世界が滅亡することを知っているんだよ!」


「おい、また話が飛んだぞ」


「近いうちに世界が滅ぶって未来予知で知ってるから、成績なんて悪くてもいいって思ってるんだよ!」


「世界が滅ぶってわかってるのに、学校真面目に来る意味無くない?」


「……」


「……」


 キーンコーン、カーンコーン


「チャイム鳴ったよ」


「また来るね!」


「二度と来るな」


 さて、授業の準備しよ。


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