鈴木君の話
殴り書きです
「例えば!」
「は?」
「鈴木君が未来予知ができる人なら!」
「……」
頭を打ったのなら、ちゃんと死ねばよかったのに。
----------鈴木君の話----------
目つきの悪い奴、態度の悪い奴、クラスに一人はいると思う。たぶん。
このクラスでは私、『張山 友野』がその役を演じている。
まぁ、演じてるっていうか、そのままなんだけど。
「言いたいことがあるならはっきり言いなさいな!」
「頭を打ったのなら、ちゃんと死ねばよかったのに」
「ホントにはっきり言っちゃった!」
で、さっきから文末に!を着けているテンション高い系女子高生が『丸井 友香』
二人して名前に『友』って入ってるくせに友達は皆無だったりする。
ちなみに丸井は私の友達ではない断じて。
「でさでさ!」
「テンション高いね、相変わらず」
「ありがと!」
「テンション病ってないのかな」
「なにそれ!」
「テンションが高い人が死んでいく病気」
「それあたし終わりじゃん!」
「終わってほしいんじゃん」
「ひどい!」
「んじゃ、あたし職員室行かなきゃだから」
「話聞いて!」
ち、逃げられなかったか。
「なんだっけ?」
「鈴木君が未来予知ができるとしたら!」
「出来るわけないじゃん」
「なんで!」
「……」
めんどくさいなぁもぉ。人間なんだからできるわけないでしょそんなこと。
「だって見てよあれ!」
「こら、人を指ささない」
「ごめんなさい!」
「で、お昼休みに机に突っ伏して寝てる鈴木君がどうかしたの?」
「今やってるんだよ!」
「なにを?」
「未来予知!」
……いや、寝てるだけじゃん。
「だっておかしいでしょ!」
「だから何が」
「お昼休憩なんだよ!」
「そうだね」
「誰とも話さずに寝ちゃうんだよ!」
「……」
……いや、……察してやれよ。
仕方ないんだよ。話す奴がいないんだよ。でも一人でいるのが不本意だって思われたくないんだよ。自分は眠いんですよ、あえて一人なんですよって言いたいんだよ。
「お弁当食べたらすぐ寝ちゃうんだよ!」
「……眠いんでしょ」
「そんなわけないよ!」
「どうして?」
「だって鈴木君授業中もずっと寝てるんだよ!」
「……」
「眠いわけがないよ!」
反論する余地は多分に残ってるけど、まぁ、本題はそこじゃないし、いいや。
「で、それで何で未来予知ができるってなるの?」
「他にもできることがたくさんあるのに、あの所作を徹底して行っているんだよ!」
「所作って使い方あってる?」
「つまりあれが未来予知の儀式なんだよ!」
「おいこらちょっとまて、中身をはしょって1からいきなり10に飛ぶんじゃない」
「だってだって!」
「だっては一回」
「だって!」
「だって?」
「鈴木君、成績悪いのに寝てる暇なんかないじゃん!」
「……」
ごめん鈴木君、これは反論しちゃいけないと思った。
「それでも鈴木君はあれをやめないんだよ!」
「……うん、そうだね」
「授業中もずっと寝てるんだよ!」
「……うん、そうだね」
「つまり彼は、この授業に意味がないこともう知っているんだよ!」
「……うん?そうなの?」
「未来予知で世界が滅亡することを知っているんだよ!」
「おい、また話が飛んだぞ」
「近いうちに世界が滅ぶって未来予知で知ってるから、成績なんて悪くてもいいって思ってるんだよ!」
「世界が滅ぶってわかってるのに、学校真面目に来る意味無くない?」
「……」
「……」
キーンコーン、カーンコーン
「チャイム鳴ったよ」
「また来るね!」
「二度と来るな」
さて、授業の準備しよ。




