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私は空腹です!

初作品!どうも、真田幸架です。拙い作品ですが、この作品を見て笑ったり、楽しんだり、悲しくなったり、読んでくれた方の感情を動かせたらなーと思います!

 埼玉県某所にある草臥れたアパートの一室に、ある女の子がいました。

 その女の子こそ私、幸南雲(ゆきなぐも)幸架(さちか)でございます。ぴちぴちの20歳。どこにでもいる普通の女の子だ。……普通だよ、本当に普通なんだからねっ。たまに新人類とか、未確認生物に似た人間とか、ははは女の子? 世界中の女の子に謝れっ!  なんて言う理不尽極まりないこと言われるけどね。後、20歳でも女の子になるんだからツッコミとかは受け付けないぜ、はっはぁー!

 

 グーーー!!ギュルギュルル……


 突然、静かな部屋に私のお腹辺りから出た音が鳴り響く。まるで突貫工事でも始まったかのような音に自分で騒音だと思っちゃうほどだよ。30分前まで1人カバディでフィーバーしてたからかな? 騒音と相まって隣の部屋の住人からの壁ドン(人・恋愛要素なし)が半端ないわ!



『うっせーよ、万年浪人金沢(かなさわ)さん! 今日の夕飯何ですか、お腹が減ったよ!?』


「お前の方がうっせーよ、変人幸南雲! 今日はシチューだよ! つか、さっき昼飯作ってやったんだから7時になるまでは何も作んねーからなっ」


『鬼! 悪魔! 飯ウマ!』


「飯作んねーぞ、というか最後は褒めてるよな。……止まらないようなら外行けよ、勉強に集中できないからな」


『すいまっせんでしたっ。シチュー食べたいです』



 壁ドン攻撃が終わり、素直に謝ったが私の突貫工事は終わんないよー。金沢さんも冷たいんだからー。ふん、外にいかなくても一時の飢えを凌げればいいのさ。

 傍から見たらどう見ても宇宙人(自画像)を書いていたクレヨンを放り投げる。



『やっべ、腹減った。最高に腹減った。冷蔵庫ちゃんに私の欲しい物はあるかなー?』



 のそのそと動きだし、冷蔵庫の扉を開けて中を覗き込む。しかし中に食べる物は入っておらず、あったのはリ○ちゃん人形の頭のみ。リ○ちゃん人形の目と合う。


 なぜ冷蔵庫の中にリ○ちゃん……。え、そんな切ない目で見つめないでくれます? 私は入れてないっすよ、犯人じゃないですよ。つか、胴体どこ行っちゃったんすか?



『……』



 私は静かに冷蔵庫の扉を閉めた。あれ、なんでだろう、とっても切ない気持ちになっちゃった。



『……うん、何も入って無かった。私のお腹は腹ペコよー。……ちょっと外に行ってくるよー』


「遅くなんなよ、店の物や人が持ってる食べ物強奪(ごうだつ)すんじゃねーぞ」


『わかってるよっ。いつもしてるみたいに言わないでくれます!?』



 壁に向かって怒鳴ったが、隣からは少しの笑い声が聞こえるだけだった。空腹を訴え鳴り響くお腹を押さえながらよろよろと1人暮らししているアパートを後にする。歩いて15分ほどにある実家へと食糧を強だ……、恵んでもらおう。


 実家へと向かう道中、近所の人達に声を掛けられる。



「こんにちは、さっちゃん。凄い音してるねー」

『うぃーっす。私のお腹は突貫工事中でーす』

「おまんじゅう食べるかい?」

『頂きまーす。おばさん、ありがとー』


「幸架ちゃん、悪いんだけど後で電球取り替えてくれるかい?」

『あいよー、ヨシばあ。飯食ったら行くから』

「悪いねー……。そう言えば、この先、配管工事で穴が開いてるらしいから気を付けるんだよー」

『もぐもぐ……、ふぇい』



 おばさんから貰ったおまんじゅうを口いっぱいに含みながら返事を返した。その最中でもお腹の音は鳴りやまない。見かねた近所の人達は次々と私に食べ物をくれるためにいつの間にか腕いっぱいに食べ物を抱え、ほくほく顔で歩く。



『む、これは旨い。流石田中のおばさんが作った漬物。こっちは中村のお姉ちゃんが作ったサンドイッチも旨す。もぐもぐ……。』




 お腹はまだまだ満たされないため、未だに私は食べ物に夢中だ。だからこそ、数m先に置かれたコーンにも、「この先注意」「行くなよ? 行くなよ?」の張り紙にも気がつかない。コーンに囲まれた中には2m程の穴があった。黒い穴は底が見えない。


 私は気付かずに真っ直ぐ穴に向かって歩いていった。が、後数歩で穴に踏み込みそうになった時、その穴を埋めるために派遣された土木作業員のおじさん達が正面から現れた。彼らは私を見て慌てて声を掛けていたようだが私はその時、「どうやって実家にある食糧を強だ……恵んでもらうか」を考えていた。母親と言う名の冷蔵庫の番人と脳内で熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げ、ちょうど負けた時だった。



『ふぁっ!?』



 足元の地面が消え、前のめりになる。突然の喪失感と浮遊感にやっと意識を周りに向けると、まるでスローモーションを見てるかのように、こちらに必死に手を伸ばして叫んでいるおじさんたちがいた。それらの顔が段々と見えなくなり、黒色の景色が広がったのを見てやっと状況を理解する。あぁ、落ちたのだ……、と。



『……落ちたーーー!! 浮遊感やばすってエレベーターの比じゃねーーっ』



 叫んでいる間も落ち続けている。いつ来るであろう衝撃にしばらく身構えていたが、数秒経っても数分経っても衝撃は来ない。

 穴ってこんなにも深いものなのか。そもそもどうして落ちてしまったのか。


 私は落ちたまま、考える人のポーズをしながらリンゴを食べる。実家に向かうのを察知した母親の罠か? それとも父親のスラックス全部をファスナー壊して社会の窓を常に全開にしたことへの恨みか? 爺ちゃんの入れ歯をポスカで緑色に塗ったことへの罰か?



『……ふっ、心当たりがあり過ぎるぜ!!』



 ドヤ顔して言ってみた私だが内心では少し怖かった。いつまで落ち続けるのか、底に着いたとしてこの早さでは間違いなく大けが、もしくは命も危ないだろうこと。一応人並みの恐怖心や感情を持っている。このまま死ぬのだろうか? と嫌な汗が流れたが、いい方に考えよう。

 きっと大丈夫、大丈夫。


 動物園で逃げだしたチーターやライオンに追いかけられた(これはただ単にじゃれたかったらしく、よだれまみれになった)時も、バンジージャンプの紐が切れた時(下が川だったから事なきを得た上、すっごいお金を貰った)時も、オオスズメバチの大群に襲われた(何とか逃げて、無蜂になった巣を売り払った)時も他etc……。死にそうになったことは多々あったがこの通り健在だ。そしてなんでかその後に良いこともあるから、自分の運が悪いのか良いのか困っちゃうところだ。今回もなんとかなるだろう。


 気持ちが緩み、眠気が襲う。瞼が重くなってきてこの状況で眠気が襲ってくる自分の神経を伺っちゃうな。呆れちゃうところだが、ここで寝たら‘最終的な結果’の時に立ち合わずにいいんじゃないかと思ったら余計に眠くなった。


 よし、寝よう! すぐ寝よう!


 落ちたままでうつぶせの状態に変えて、目を閉じる。薄れゆく意識の中でこれからの私の人生が辛くて痛くて悲しくて寂しくて、楽しくて面白くて不思議な日々を歩んでいくなんて思ってもいなかった。







 ある少女は夢の中の不思議な世界に迷い込んだ。私はどんな世界に迷い込んでしまうのかしら?

(Some girl crowded lost in a strange world in the dream.I wonder crowded hesitation in what world?)



誤字脱字、感想よろしくです。

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