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異世界で通販生活  作者: ネオテトラン
新天地
11/11

絶対入りたくない

「ぎゃーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 戦いの音が鳴りやむとあたりに悲鳴が木霊した。

 人の声の限界を超えたような、喉が破れてしまうんじゃないかというような絶叫。

 間違いない!

 以前、ダニーの顔にミスってキンカン水入り水鉄砲でをかけた時に聞いた声だ!

 決して故意でやったわけではない。 

  

 急いでリュックサックから水を取り出し駆け付けると――。

 

「目がーーーーー!!!クッソいてーーーー!!!目がやけちまう!!」


 予想どうりゴブリンの死体の横で顔を押えて転げまわっているダニーの姿があった。

 

「あ、あらあら……

さ、さすがわハルトさんのお住みになっていた世界の武器ですわ……

こんなに惨劇を起こしてしまわれるとわ……」


 うん、やったのは君だからねエミー。

 だからあれほど人の顔は狙うなと言ったのに……

 悶え狂っているダニーに急いで駆け寄り水を渡した。


「ほら水だ、早く目を洗え」


「ック、助かるハルト。ちくしょうあの女――」


 ダニーが水で目を洗っている時に辺りを見回すが、もうゴブリンの姿は見当たらなかった。

 

「大丈夫かダニー?

ゴブリンは全部倒したんだな」


「ああ、あんなの一瞬でヤッてやったぜ。それなのによあの女ときたら――

クッソ目がいてーぜ!」

  

 どうやらゴブリンはダニーが全部倒したようである。

 ……ここでふと疑問がわいてきた、ダニーは一瞬でゴブリンを倒したと言った。

 では、援護すると言って水鉄砲を持って行ったエミーは間に合わなかったのか?

 そもそも、ダニーの絶叫がしたということは行動不能になったはずだ。

 その時にゴブリンが残っていたら目が痛くて倒せないはずだが……

 まさか、あいつ!?

 八ッとしてエミーの方を見ると――


「ローニャ!ローニャ!見て見て!この武器すごいのよ!

こう、ピュピュと中から汁が出て、これがお顔にかかると『キャー』ってなるのよ!!」


 目を輝かせながら水鉄砲の引き金を引いて、ローニャに向けて撃って実演している。

 悪びれた様子は微塵もなく、次の悲鳴の相手はローニャだといわんばかりに攻撃は激しさを増している。

 

「お、お嬢様、おやめください!その武器がすごいのはよくわかりましたから。私もあの男の悲鳴を聞いていましたので……私はあのようにはなりたくありません。」


 確信した!

 あいつ武器を試してみたくて、わざとダニーの顔を狙ったな!?

 

「おい、エミーお前……

それを、わざとダニーの顔にかけただろ?」


 ビックっと肩が震えるのを見逃さなかった。

 

「そ、そんなこと(わたくし)がするはずありませんわ、わ」

 

 声が震えてるぞ、しかも若干挙動不審で目がキョロキョロしている。

 うん、わかりやすい奴だ。


「なんでそんなことしたんだ?」


「そ、それは……

その(わたくし)最初はちゃんと援護しようと思ったのですわ。ですのに着いた時にはもう全部魔物さん達はお亡くなりになっていまして……」


「……それで武器の威力を試してみたくてヤッてしまったと」


「はい……この可愛らしい武器がどれくらいお強いのかと、この胸から高ぶる誘惑に勝てませんでしたの。

申し訳ありませんでしたわ、ダニー様」


 やはりこのお嬢様に待てま難しいらしい。

 たしかに見た目は玩具だから、可愛い感じもする水鉄砲ではあるが、武器だ。

 それを誘惑に駆られ味方に使ってしまうとは、なんて恐ろしい奴!


 それからは、ふて腐れるダニーを勇めたりエミーから水鉄砲を取り上げようと大変だった。

 ダニーには今度美味い肉を食わせることで手をうった。松坂牛でも買ってやろう。


 だが問題はエミーだ。

 残念ながらエミーには餌もとい食い物作戦は通じなかったようで、『こんな可愛くて使いやすい武器は絶対手放せませんわ!もし(わたくし)からお取りになりたいようでしたら……』と銃口をこっちに向けてニヤリと笑われてしまってはどうしようもない。

 仕方ないのでガンベルトを出してご機嫌取をして絶対にコッチには向けないことを確約するに留めた。

 ……中のキンカンが切れるのを待つとしよう。非常に残念ではあるが、他の方達の身の安全までは確約できなかった。誰しも自分の目が1番大事なのである。




 安全も確保されたので、とりあえずエミーと水鉄砲のことは置いておいて日が暮れる前に早くダンジョンを攻略してしまうことにした。


「えー、これからダンジョンを攻略します。時間との勝負なのでみなさん協力してください。」


「わかりましたわ!警戒は(わたくし)にお任せくださいな。魔物さんがきたら一撃で仕留めてみせますわ!」

 

 ライダースーツの腰にガンベルトをつけ水鉄砲を抜きさししながら構えをとるエミー。

 エミーは早く水鉄砲撃ちたいだけだろうに、まあ警戒する奴もいるから任せるか。


「……まあそれでいい、俺は嬢ちゃんから一番離れた所にいたいからな」


「わ、私もダンジョン攻略は望むところですが、今回はお嬢様からは勇者様に任せよう。

しっかりお嬢様の護衛を頼むぞ」


 こちらは『嬢様被害者の会』でもできたのかやけに意気投合していて、エミーからは3メートルは離れている。

 ……これからダンジョン攻略だというのに前途多難なことだ。


「よし!じゃあ、ダニーとローニャはこの手袋をつけてくれ」


 通販で買った軍手を2人にわたしてつけてもらう。


「なんでこんなもん着けるんだ?」


「これは温かいですね」


 訝しがりながらも軍手をつける2人。

 槍戦士とメイド服に軍手も中々だなと感心しつつも、3メートル向こうで警戒中のエミーがまた(わたくし)も!とか言わないでよかったと思っていた。なんせエミーがこっちにくると2人が逃げるからな。


「では、これから出す物をあのダンジョンに運んで階段したへ積み上げていってくれ」


 そう言ってぽっかりと地面に穴の空いたダンジョンの入り口を指さす。

 穴へは人2人ほどが楽に降りれるような階段があり、周りを石垣で囲んであった。

 階段を降りてみると鍾乳洞のような薄暗い通路がずっと奥へと続いていっているのである。

 地の底へ引き込まれまるで、入って行った者は2度と出さないぞといわんばかりの不気味さだ。


 そのダンジョンを横目にみながら大量にコンクリートブロックを購入していく。


「は?積むのか?そんなことしたら俺たちが入れなくなるぞ?まさか魔物をこれで出さないようにしようってんじゃないだろうな。そんなこと無理だぜ」


「そうですよ、こんな物積んだとしても一時しのぎにもなりませんよ?魔物共に退()かされるのがおちだ。はぁ、島へ行くというから少しは期待していたのに……私は愚かだった」


 大量に購入したコンクリートブロックの山をみて不満たらたらな2人。

 やはりエミーの件でダニーとローニャの結束が強くなってやがる……。以前まではローニャはともかくダニーからの不満はかったのに……。


「まぁ、いつもの勇者パワーだ!不満はあるだろうがとりあえず頼む。階段の下に入り口を塞ぐような感じでお願い」


 勇者パワーと聞くやいなやエミーが目をキラキラさせとんできた。

 そのお怪我か逃げるようにブロックを両手に持ち運び出す2人。

 

「ハルトさん!(わたくし)も!(わたくし)にも勇者パワーのお手伝いさせてくださいまし!!」


 あんたは警戒しておくんじゃなかったのかよ。

 ……と思いつつもこうなってしまったエミーはもう止められない。なんせ手にはキンカン砲が握られているのである。


「じゃあ、これから出す物を一緒に捏ねようか」


 通販サイトから大きめのタライにヘラ、それから今回の重要兵器超高速乾燥セメントを購入して腕輪に発送してもらう。


「この袋に入っている物が今回の勇者パワーなるものですのね!?」


「そうだよ、これに水を加えて捏ねるとカチカチに固まって、魔物の攻撃にもビクともしないような頑丈な物になるんだ」


 もちろんたぶん!

 まあ、ドラゴンや大火力の魔法でも出てきてもらっては困るので、速攻乾燥タイプで穴を塞いだ後に更にその上から超強度を誇るタイプのセメントでしっかりと固めてしまおう。

 

 馬鹿正直に、こんな不気味なダンジョンには絶対に入りたくないのである。

 だいたい中にガスが溜まってる可能性だってあるし、崩落の危険もある!決してダンジョンの中に入るのが怖いわけではない!

 昔の偉い人も言っていたではないか『臭い物には蓋をすべし』と!

 

「ま~ぜ、ま~ぜ♪なんだかとってもドロドロになってきましたわ。これがカチカチに固まるのですか?」


 ヘラで楽しそうにセメントを混ぜていたエミーが、ドロドロになったセメントを前に不思議そうに聞いてきた。


「ああ、これはもうすぐ数分で固まりだすから時間との勝負なんだ。

ダニーこれもそっちに運んでくれ」


 ドロドロになったセメントのタライをダニーに運んでもらい、ダンジョンの階段を下りた所に積んである

ブロックの隙間にセメントを塗りたくっていく。

 その際にブロックの中にもしっかり流して詰めていく。


「このような、ドロドロした物で魔物共が出てくるのを防げると本気で思っているのですか?」


 あいかわらずローニャは冷めた目でみてくるがこの際無視だ。後でこの強度にビックリすることだろうから。


 ――エミーにも手伝ってもらい二人でセメントを塗りたくっていく。さらにコンクリートブロックの壁を2重3重にした所でセメントが乾きだしてきた。


「こりゃたまげたぜ!さっきまでドロドロしてた壁がカチカチじゃないか!」


「さすがはハルトさんですわ!これなら魔物さん達も出てこれませんわね」


「……」


 うんうん、セメントの壁は評判がいいようだ、2人とも目をひん剥いて驚いている。

 ローニャは相変わらずの不満顔ではあるが。


「じゃあ最後の仕上げだな、階段の上から超強度セメントを流しこんで完全に塞いでしまおう。これは今のセメントよりドロドロの時間が長い分すさまじい強度を誇るんだ!ドラゴンなんかが出てきても破られないぜ!」


 たぶん!まぁドラゴンなんぞ見たことないからどうなるか知らんが、こう言っておけばローニャの不満も少しは収まるだろう。超強度はホントだしな。


 また、エミーにセメントを捏ねてもらって階段の上からセメントを流し込んでいく。

 これで完璧だ!もうこのダンジョンからは魔物共は出てこれないのである。30分で終わったな。


「よし!これでダンジョン攻略完了だ!今日はもう夕方だからさっきの浜へ戻って飯にしようぜ」


「はい!さすがハルトさんです!最低でも攻略に1週間以上はかかりますのに、こんな短時間で済まわせてしまうなんて!(わたくし)とても驚きましたわ」


「ハッハッハ、そうだろそうだろ。この調子なら3日でこの島のダンジョンは一掃できるな!」


 エミーと意気揚々と森の中を浜へと進んで行く。


「だがよ、これで本当に中の魔物共は外へでられなくなったのか?」


「そうです!こんなの攻略とはとてもいえません!所詮その場凌ぎ!単なる問題の先送りでしかありませんわ」


 が、後ろを歩くダニーとローニャはどうやら不満タラタラなようである。

 とくにローニャからの残念な人を見るような目が酷かった。


 そういえば、入口を塞いでしまったら中の魔物共はどうなるのだろう?

 空気の循環がなくなって窒息死でもするのかな?それだと楽なのだが。

 などとダンジョンの中の魔物達の今後を憂いながら浜へと向かっていったのである。


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