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監獄のクラブチーム  作者: 八尺瓊
1年目
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第六話 入れ替え戦 後半

第5話で4-3-3のフォーメーションがありえないと表現しましたが、調べてみて、意外と使われていることがわかり、まだまだサッカーを知らなすぎると痛感しました。

勉強中の身でこれから、内容の向上に努めていきますので今後ともよろしくお願いします。

 -------実況解説 1 初め-------

 

 ジュン:「そろそろ、後半戦開始されますが、まずは前半戦の様子から伺っていきましょう。前半戦両チーム立ち上がりはどうでしたでしょうか?」

 喜多島:「そうですね。2軍チームからのキックオフと言うことで、始まりましたけど、立ち上がりの8分ぐらいまではうまくボールコントロールをしていましたよね。」

 ジュン:「そうですね~。そこから一気に動き始め、開始10分で2軍チームの先制ゴール。」

 喜多島:「佐藤選手の駆け上がりの速さと、そこから送られる正確なクロスが、ゴールチャンスを生みましたよね。」

 ジュン:「そこから2軍チームのボールポゼッション率が高くなり、何度かチャンスがあったんですが、うまく3軍のディフェンス陣に阻まれた形でしたね。」

 喜多島:「前半のボールポゼッション率が63:37で2軍優勢ですね。シュート数でいくと10:4でシュート数も2軍チームが大きく上回っていますね。最後に後半終了間際に追加点がありましたしね。」

 ジュン:「どうでしょう?前半戦と同じく2軍チームの攻勢は変わりそうになさそうですが?」

 喜多島:「確かに今のままでは3軍チームは厳しいでしょうね。攻め続けられた事でかなりスタミナを消耗している様子でしたしね。」

 ジュン:「そうですよね~。さあ、そろそろ両チームがグランドに戻ってきました。」

 喜多島:「あれ?フォーメーションが変わっているような気がしますね。3軍チームは4-3-3でしょうか?」

 ジュン:「今手元に入ってきた情報ですと、フォーメーションの変更があったようですね。」

 喜多島:「やはり変化がないと、この試合はひっくり返せないと思ったんでしょうね。」

 ジュン:「さあ。センターサークルに倉見市選手と中町選手が入ったようです。後半戦キックオフ。」

 喜多島:「まずはボールを回して、スペースを探していますね。」

 ジュン:「2軍チームはフォワード陣のプレスでボールを取りに行っていますね。」

 喜多島:「前半戦は前にいる事が多かったですからスタミナにまだ余裕があるんでしょうね。」

 ジュン:「うまくパスで2軍からのプレスから逃げて、そこからSBに変更した彼我選手に渡る。」

 喜多島:「2軍の林選手が当たりに行きますが、縦パスで中央に位置していた水八選手に渡る。」

 ジュン:「おおっと、水八選手から駆け上がる彼我選手にボールが出されて、これが通る。」

 喜多島:「2軍のセルディア選手と、檀乃選手が、うまくコースを塞いで前に抜けさせません。一旦彼我選手、カバーに来ていた池華選手にパスを送りチャンスエリアに入っていく。」

 ジュン:「そこからセンタリングで、これをアルビアル選手がクリアー。やはりこの選手がうまく、ディフェンスコントロールしていますよね?」

 喜多島:「彼我選手もうまくエリアに入っていきましたしね。」

 ジュン:「さあ、コーナーからのセットプレイ誰に合わせるのでしょうか?」

 喜多島:「現在、4人入っていますね。2軍チームはフォワード陣を残し、下がっていますね。」

 ジュン:「キッカーは、水八選手。さあボールを入れる!」

 喜多島:「これにヘッドで合わせておおおーーーーゴーール!!」

 ジュン:「やってくれました。ゴールしたのは中町選手。連続ゴール数をこれでまた増やしています。」

 喜多島:「本当に抜け出しと、合わせるのがうまい選手ですよね。あれだけマークされているのにはずしてゴールですからね。」

 ジュン:「3軍チームは歓声を上げております。」

 喜多島:「これで1点差ですからね。2軍チームがどう出てくるか楽しみです。」

 -------実況解説 1 終わり------

 

 そこからしばらく、ボールの取り合いで、後半35分うまく抜け出された2軍のアルバートと花形に、ゴールキーパーをかわされてながらのゴールで3対1になる。

 残り10分で勝つためには3点を追う事になったが、3軍チームはそれでもあせらず、まだ点を取りに来る2軍チームを相手に40分を過ぎたところで、カウンターで中央で待っていたSTの大河がミドルシュートを放ちこれが決まって3対2となる。 少しあせりが見え始めた2軍チームは自分達が攻勢だった事でうまくスタミナ配分が出来ていない事に気がつかず、走り疲れが見え初めていた。

 そして残り5分。

 

 -------実況解説 2 初め-------

 

 ジュン:「一進一退の攻防が続いておりますが、まさかここまで、3軍チームが引っ張ってくるとは予想できてませんでしたよね?」

 喜多島:「確かに前半戦の動きからは、想像できない追撃劇ですからね。3軍のディフェンス陣がうまく攻めに対してプレスでつぶしていますからね。あれだけ数で押されるとどうしても、抜け出すのが難しくなりますからね。」

 ジュン:「ディフェンスラインで見るとDMFを合わせて6人でうまくプレスコントロールしてますからね。」

 喜多島:「前半は、彼我選手を中心に回っていたようですが、今は彼がサイドから上がるので皆口選手がディフェンスリーダーとして機能しているようですね。」

 ジュン:「確かにオフサイドトラップを仕掛けて3回オフサイドを取っていますからね。」

 喜多島:「無駄に走らされるて2軍のオフェンスがうまくスタミナを削られた状態になってますからね。」

 ジュン:「さあ、2軍チームここからどうするのでしょうか?」

 喜多島:「後5分ですからね。ここで守っても正解ですし、もう一点取れば止めを刺すことになるので、監督も難しい判断をせざる得ないですね。」

 ジュン:「どうやら2軍チームはパスをまわして、時間を見ているような印象を受けますね。」

 喜多島:「しかし、3軍の選手は前半あれだけ走らされてよくスタミナがもちますね?ボールを回し始めた2軍チームにまだプレスをかけるスタミナがあるようですし、あ!こぼれたボールをカット。水八選手がセンターサークルより少し上で少し中央右に位置している大河選手に縦パス。」

 ジュン:「これを取りにいくマルニャ選手とセルディア選手が詰め寄って、マルニャ選手のファールになる。ここでフリーキック。位置として約20mほどでしょうか?狙える位置です。」

 喜多島:「キッカーは2人ですね。水八選手と青木選手が手で口を隠して話あっています。」

 ジュン:「さあ、どちらが蹴るんでしょうか?水八選手がボールをスルーして蹴ったのは青木選手!うまい!中央で構えていた大河選手に渡る!シュート!これをアルビアルに阻まれますが、ボールはまだ生きています!これを後ろから走ってきていた彼我選手がキープしてそのままチャンスエリアに切り込んでくる!」

 喜多島:「対応しにいった、下市選手がああーーーと、ファール!PKです。PKになりました。」


 -------実況解説 2 終わり------


 PKペナルティキックの選手を3人が話しあう。

 中町、大河、彼我の3名。

 ここで入れれば同点。

 ラストチャンスに3人は30秒ほど話をして、最後のキッカーが彼我になる。

 少し助走を長く取り、前を一度だけ見ると彼我はボールを蹴る。

 右斜めにボールは走っていき、誰もがはずした!と思った瞬間、ものすごい角度で曲がって右斜め上に決まる!

 GKの御津島が一歩も動けず、曲がった事もそうだが弾丸と呼ぶに相応しい強烈な速度で、2軍チーム、3軍チームも、ものすごいインパクトにまだ試合が終わっていないはずなのに、”終わった”とそう思わせる。

 駆け寄る3軍チームのメンバーにもみくちゃにされながら、自分が放った事だと信じられそうにない彼我を見て、観客席で見ていたレギュラーチームのベニートが笑みを浮かべて席を立つ。

 

 〔そうだ。それでいい。俺のところまで早く上がって来い!ヒガ。〕

 

 心の中で、そうつぶやくとグランドを後にして、ベニートが放っていた不機嫌オーラがなくなっている事に試合を見に来ていたレギュラー選手は、彼我を意識する。

 ロスタイムに入り、2軍チームの猛攻を受けるが、何とか守りきり、延長戦がない入れ替え戦は終了する。

 悔しさで下を向く2軍選手と、同点だが、やってやったとうれしそうにピッチを去っていく3軍選手。

 同じ得点を入れたのにこの差は、今後の入れ替え戦に大きな波が押し寄せてくる予感の前触れだったのかもしれない。

 彼我が2軍選手とピッチ上で握手を交わしていると、最後にアルバートが握手を求めてきた。

 

 「今日はやられた。」

 「俺だけの力じゃねーよ。みんな、ハーフタイム中、どこかやばそうな空気も出てたんだぜ。けどなんとか盛り返してチームの力で同点に出来た。」

 「彼我それは、謙遜だよ。君がチームの支えだった。あれだけ走ってもまだ、走り続ける君を見て、何も思わない人間はここにはいない。」

 「確かにすげー疲れたよ。見てみろ。この足。急に震えだしたし。」

 「はははは。早く君とチームでプレイがしたい。あがって来い。」

 「ああ、そういえばお前らも”仲間”なんだよな。」

 「いまさら気がついたのかい?」

 「なんかずっと”敵”だと意識しすぎて忘れてたぜ。」

 「そうだね。僕も忘れてたような気がする。」


 がっちりと握手をして二人は抱き合うと、笑いながらピッチを去る。

 

 -------実況解説 3 初め-------

 

 ジュン:「さあ、今日の2軍と3軍の入れ替え戦どのように見られましたか?」

 喜多島:「両チームともすばらしい、いい動きでしたよね。同点という結果でしたが大満足の内容でした。」

 ジュン:「では少し、試合内容を見ていきましょう。前半戦は2点を2軍が取ったわけですが?」

 喜多島:「アルバート選手が光ってましたよね。本当、攻め続けてシュートのほとんどが枠に行ってましたからね。しかし、2点取られましたけど、3軍のGK 重林選手もよく止めていましたよね。」

 ジュン:「確かに点を取られておりましたけど、ディフェンス陣の崩れた穴に攻め込まれながらも、すっごいセービングをしていました。」

 喜多島:「点を入れられているせいで、軽く見られている部分がありますが、そこまで攻められて2点で抑えた所は、甘いと言われるかもしれませんが評価できる所ではないでしょうか?」

 ジュン:「確かに。では続きまして後半戦ですが、後半戦でも前半はよく2軍選手が動いていたんですがコーナーキックからの失点。」

 喜多島:「中町は身長はそこまでないんですが、ヘッド角度調整でうまくボールを捕らえてましたよね。」

 ジュン:「それから35分2軍のアルバート選手と花形選手のうまいパスでGKを交わしてのゴール。」

 喜多島:「あれはかなりの屈辱じゃないでしょうかね。今リプレイで見てますけど、綺麗に抜かれてますからね。ディフェンス陣の連携がうまくいかず選手達が固まった事がこの状況を生んでしまったんでしょうね。」

 ジュン:「40分の3軍 大河選手の強烈なミドルシュートよかったですよね?」 

 喜多島:「あの位置から蹴って、入るとは本当に驚きですよね。将来が楽しみな選手です。」

 ジュン:「最後に彼我選手ですが、ゴールエリア内でファールをもらってからのPK。」

 喜多島:「はずしたと思ったんですけどね。まさかあそこまで曲がるとは誰も思ってなかったんでしょうね。本人もびっくりした顔をしていましたし。」

 ジュン:「ではチーム詳細です。ボールポゼッションが試合全体で55:45。2軍がやや多いですね。」

 喜多島:「見ていてボールのキープ、コントロールはまだまだ2軍が上だと思いましたね。」

 ジュン:「シュート数でも18:10。2軍が多いですね。」

 喜多島:「さっきも言ったんですけど枠にいっていたんですよ、GKのナイスセーブでしたね。あの気迫は大切だと思います。」

 ジュン:「本日の試合は3対3スコアレスドローに終わりました。本日の解説は喜多島 郷さんをお迎えしてお送りしました。ではこれで解説を終わります。さようなら。」

 喜多島:「ありがとうございました。さようなら。」

 

 -------実況解説 3 終わり------

 

 現在ヒーローインタビューが始まっていた。

 同点ということで2軍の選手1名と、3軍選手1名がインタビュー室でインタビューを受けていた。

 2軍からはアルバート・ロペスが。

 3軍からは中町 葉柄が呼ばれていた。

 二人とも試合後で疲れていたが、笑顔でインタビューに答えていた。

 入れ替え戦は特別だという印象をつけるために、インタビューを行っているのだが、これも今後”使うかも”しれないと言うことでプロを意識した形でビデオカメラと写真カメラが入って、”本物”さながらの雰囲気の中行われていた。

 そこで中町は3軍の入れ替えメンバー筆頭についてどう思われているかなどを質問され、アルバート・ロペスは今回の試合で印象に残った選手を質問された。

 アルバートが彼我の名前を出し、2軍のみならずレギュラーチームの選手からも注目を多いに集めることになった。

 ここで、3軍がここまでやるならレギュラーチームとの入れ替え戦もやってみては?という話が持ち上がる。

 ちなみにレギュラーチームと2軍の試合は4対1。

 圧倒的強さをレギュラーチームが見せ付ける。

 最後のロスタイムで気を抜いたディフェンス陣がアルバートに抜かれてゴールされた事以外は完璧な試合内容だった。

 そんなレギュラーチームと3軍の入れ替え戦は、レギュラーチームの監督からすれば、ありえないと判断した。

 レギュラーチームの監督は彼らこそ、”カンピオナート・プリマヴェーラ”で活躍する選手だと確信しており、2軍選手はその、補欠。

 3軍選手など見向きもしないような選手だと思っていた。

 レギュラーチームの監督がそこまで”盲目的”は意識を持つほどに彼らは輝いており、その中で特に、ベニート・ミロはすでに”原石”ではなくまさに輝くダイヤモンドだった。

 下手な選手と試合をして怪我でもしたらどうする?と考えていたのである。

 しかし、ベニート自身がその3軍との対戦を熱望した事で、これが実現することになる。

 誰もが彼が、まさかありえないと口をそろえたという。

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