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監獄のクラブチーム  作者: 八尺瓊
1年目
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第四話 入れ替え戦 前半

試合を小説で書くにあたって、サッカー知識のない私がどうすれば面白くかけるのかを考えて、実況中継で書いてみました。

今後の試合を書く場合はこの形式でいくと思います。


 15時よりキックオフの2軍と3軍の入れ替え戦。

 朝から2軍と3軍の選手は顔もあわせず、自分達のグランドで軽めのアップを行っていた。

 彼我は、ああ、だからグランドがこんなにもあるのかと納得した。

 緊張感のある試合前に自分達の手の内と気迫を見せるわけには行かない。

 そこで、グランドが分かれていれば、そんな姿を見せることもない。

 補欠選手がいるわけではないので、ポジションだけ監督から発表があった。

 後で2軍と含めて紹介するとして、昼食も2軍とは違う場所で軽めに済ませる。

 13時に集まって今日の戦術確認を行う。

 今までと違ったオーダーがなされる。

 より細かいオーダーに各選手は、質問を繰り返し、今日、自分が何をするのかを考え、監督の指示された内容に答える事とアピールを行う。

 より前に出て存在感のアピールもいいが、ポジションの役割もしっかり行わないと本末転倒である。

 各自なすべき仕事をきっちり把握した所で14時になり、試合会場であるこの施設のメイングランドに移動を開始する。

 メイングランドを使用するのは今回初めてだった。

 後シューズの着用も行うことになり、ユニフォームも配布される。

 入れ替え戦は何から何まで異例だった。

 以前の練習試合すべてシューズは着用せず素足で試合を行っていたし練習も、素足。 

 今ではもう痛みになれたのか強烈なシュートも撃てるし、逆にシューズに違和感を感じる。

 もう冬になっており、外のグランドだったら寒かっただろうが、室内グランドのおかげでかなりあったかい。

 目の前に広がるグランドは、収容人数1万人は入りそうなかなり広めのグランドだった。

 すでに2軍の選手は練習を始めており、彼我達もアップを始める。

 といっても午前にある程度済ませているので柔軟体操を30分かけて行い、スターティングメンバーの発表が電光掲示板に映し出される。

 おお~とどよめきの声が上がる。

 フォーメーションは2軍3軍ともに3-5-2。

 スターティングメンバーは以下の通り。

 

 3軍

 CF 中町なかまち 葉柄ようへい 身長170cm 体重55kg

 ST 倉見市くらみし 俊治しゅんじ 身長171cm 体重60kg

 OMF 大河たいが 智治ともはる 身長171cm 体重59kg

 SMF(左)水八みずはち 陽一よういち 身長173cm 体重59kg

 SMF(右)青木あおき 撤兵てっぺい 身長173cm 体重63kg

 DMF(左)倉石くらいし のぼる 身長172cm 体重60kg

 DMF(右)彼我ひが 大輔だいすけ 身長169cm 体重54kg

 CB(左)池華いけばな 益雄ますお 身長175cm 体重63kg

 CB(中)皆口みなぐち 雄介ゆうすけ 身長172cm 体重63kg

 CB(右)片磐かたいわ 重道しげみち 身長168cm 体重53kg

 GK 重林しげばやし 大成たいせい身長176cm 体重68kg


 2軍

 CF(右) 花形はながた 智明ともあき 身長171cm 体重58kg

 CF(左) アルバート・ロペス 身長177cm 体重63kg

 OMF シジネイ・ルシオ 身長170cm 体重58kg

 SMF(左)佐藤さとう まさ身長168cm 体重55kg

 SMF(右)はやし 茉耶まつや身長172cm 体重63kg

 DMF(左)マルニャ・アバスカル 身長175cm 体重63kg

 DMF(右)セルディア・バジョ 身長176cm 体重62kg

 CB(左)下市しもいち 庄司しょうじ身長170cm 体重56kg

 CB(中)アルビアル・ベルグラーノ 身長173cm 体重60kg

 CB(右)檀乃だんの 琴伴こととも 身長168cm 体重53kg

 GK 御津島みつじま 修三しゅうぞう身長178cm 体重65kg


 2軍は2トップで2人とも点を取れる体制で、3軍は同じく2トップなのだが、中町を主に基点とし点を取っていく体制を取っている。

 STセカンドトップの大河智治も点を取りに行くのには悪くないが、決定力が少しかけている。

 しかし、ゴール際での溜めを作る事に関してはかなりの、才能を持っており、ミドルシュートはかなり強烈で、その当たりでSTとして機能を期待されている。

 2軍のアルバート・ロペスはレギュラーチームでも通用する実力があると言われているが、1軍のフォワードがあまりに優秀すぎて、その部分で折り合いがついていないといわれている。

 本人はフォワードにこだわっており、少しほかの選手と毛色が違う。

 どうもレギュラーチームのフォワードの選手と確執があるようだが。

 彼我が柔軟をしていると、2軍からアルバートが歩いてくる。

 

 「君が彼我か。」

 「日本語上手だな。」


 急に声をかけられて、あまり驚かない彼我に笑みを浮かべ、特にトゲトゲしい雰囲気もなく、話が続く。

 

 「勉強したんだ。」

 「へ~。俺もスペイン語覚えないとな。で何?」

 「ベニートから君の話を聞いてね。少し興味があったから声をかけたんだ。」

 「ベニート?ああ、レギュラーチームのCFか。確かに一度だけ声をかけたことがあるけど。」

 「彼が質問を返すなんて、今までなかったし、今もない。君だけだ。」

 「そっか。確かにあいつのおかげで、大分ボールに慣れたな。」

 「今日は楽しみにしているよ。じゃあ。」


 それだけ?と顔に疑問が浮かぶが、彼我はアルゼンチンの元ユースメンバー達から興味が尽きない存在と認識されている。

 ベニートの存在は、アルゼンチンメンバーからすれば、なぜこのくだらないプロジェクトに参加したんだ?と思うほどの有名人で、ユースメンバーとしてもそうだったが、クラブチームからもレギュラー入りをもう少しで発表されるところだった。

 そんな選手がなぜここに?しかもアルゼンチンメンバー、日本人選手ともあまり接触もない。

 ただひたすら、トレーナーの指示で体を鍛え、サッカーに没頭する。

 16歳ですでにユースレベルではない。

 ここは金額も安いし、なぜ?どうして?と常に疑問を持たれる対象だった。

 そんな彼が唯一、声をかけられて質問を返したことは珍事だった。

 それを聞いたアルゼンチンメンバーは、ふ、馬鹿なと鼻で初めは笑ったが、本人に確認したところ、あっさり”そうだ”と認めた。

 それから彼我がどんな選手なのか?すごいテクニックをもっているのかなど話題にあがるが、3軍にいるため、まったく分らず、しかも試合ではそこまで活躍する場面もない。

 顔すら覚えられていない始末。

 今回の入れ替え戦で、もしかしたら入れ替えメンバーとして名前が挙がっているかもと期待されたがそうでもない。

 ベニートが何を気にしているのかさっぱりだった。

 試合の時間になったので各自持ち場に着く、キャプテンが始めに主審よりコイントスを受け、2軍からキックオフとなった。

 

 -------実況解説-------

 

 ジュン:「さあ、入れ替え戦の前半戦キックオフ今始まりました。まずは静かな立ち上がり見ていきましょう。あ、申し遅れました実況は、ジュン・カビラエルと喜多島きたしま ごうさんをお迎えしてお送りしております。さあ、この立ち上がりどうでしょうか?」

 喜多島:「いいんじゃないですか?まずは静かな立ち上がり、とても16歳の選手達とは思えないぐらい落ち着いていますね。」

 ジュン:「おおーと、倉見市選手の必要以上のチェック厳しいですね。」

 喜多島:「当たりも強いですし、レベルの高さが伺えます。」

 ジュン:「さあ、2軍選手もジョジョにギアをあげてきました。一旦下がったところから一気に前線に送られる!」

 喜多島:「しかしこれはカットされましたね。倉石選手から水八選手にパスが出されて駆け上がっていきますね。」

 ジュン:「そこからクロスを出す!しかしこれは、CB アルビアル選手が綺麗にカット。安定感抜群の選手ですね。」

 喜多島:「そんなに大きな選手じゃないんですけどね。見た目の重量感を感じさせ、味方の選手には頼もしいCBですね。」

 ジュン:「さあ、こぼれ球を、佐藤 雅選手が拾うとそのまま、前を向いて駆け上がっていく。」

 喜多島:「この選手はここにある資料では、かなり足が速いと書いてありますね。確かに早い、もうセンターサークルを抜けて、中央を突破しようと、おおっとここで彼我選手がカットに入る。」

 ジュン:「しかし、ここはパスで交わす。」

 喜多島:「おおっと!シジネイ選手が受けたパスをそのままミドルシュート!」

 ジュン:「しっかし、クロスバーの上。いや~かなりおしかったんじゃないですか?」

 喜多島:「いや~いいシュートでしたね。ドライブがかかっていて落ちそうになっていたんですけど枠を抜けていきましたね。」

 ジュン:「さあ、ゴールキックです。重林選手から右サイドの青木選手に送られるが林選手が空中で競り合う。」

 喜多島:「こぼれたところを、シジネイ選手が取り、中央を駆け上がっていく。」 

 ジュン:「後ろから、彼我選手が追いつくが、シジネイ選手が後ろも見ずに上がってきていた佐藤選手にパスを出す。そのまま駆け上がって、クロスをあげる!」

 喜多島:「おおっと!これにアルバート頭で合わせ先制ゴーーール!」

 ジュン:「まだ前半始まって10分立ったところで先制。いや~すばらしい速攻でしたね。」

 喜多島:「いや~ダイナミックでしたよ。」

 

 -------実況解説-------

 

 この後アルバートにもう1点を追加されて、前半戦が終了する。

 この試合を観客席でレギュラーチームのメンバーが見に来ていた。

 すでに彼らと2軍の試合は終わっており、興味のある人間だけが着ていて6人ほどだろうか、その中に一番こないと思われていたベニートの姿がある。

 ベニートから不機嫌なオーラが出ており、周りに誰も寄り付こうとしない。

 

 「奴のいいところをまったく活かせていない。3軍の監督はく○だな。」

 

 彼のつぶやきは誰にも聞こえることはないが、その言葉を吐いてさらに不機嫌になる。

 後半戦は15分休憩の後行われる。

 誰もがベニートが立ち去ると思っているが、彼はこの試合を最後まで観戦することになる。

 

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