表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
監獄のクラブチーム  作者: 八尺瓊
1年目
2/77

第一話 這い上がるには?

前回のプロローグとは少し、内容のトーンが変わっていますが、ずっと暗いトーンで書いていくのもしんどいと今回明るめのトーンで書いてます。


この彼我ひが少年を中心に話が進んでいきますが、違う選手視点からも書いていこうと思っておりますので、急に”ん?”と思うことがあるかもしれませんがご了承よろしくお願いいたします。

 3ヶ月のチーム練習の後、能力別に応じてレギュラーチーム、2軍、3軍のチームが出来上がり、俺は3軍のチームで右のDMFディフェンスミットフィルダーとしてポジションを割り当てられている。

 書き忘れた 俺の名前は、彼我ひが 大輔だいすけ

 自分に当てた日記を書いている。

 現在10月のはじめで、7月にここに着てからもう3ヶ月がたった。

 俺は4月に都内の公立学校に入学し、クラブ勧誘で面白そうだったサッカー部に入部した。

 中学までは陸上をやっていて、種目は長距離走をやっていた。

 高校にも陸上はあったのだが、人生先は長そうだし違うクラブでもと入ったのがサッカー部だったのだが、今年入った1年あわせてなんと15人しかいなかった。

 先輩マネージャー2年の女子で、かわいくて決して下心があって入ったわけじゃないからな!

 自分で日記書いてて何を慌ててるんだっての・・。

 5月に練習試合があるって話で、しかも人が少ないせいか俺にもレギュラーくれるって事になって、慌ててスパイク買いにいって、色々練習とかしてたら試合日になっていた。

 相手の学校のグラウンドで試合になり、3-5-2のフォーメーションで、俺は持久力があるって事で右のSMFサイドミットフィルダーとして試合に出場。

 なんかいい具合にパスが送られてきて、走って少し遠めからシュートをしたら入っちまった。

 駆け寄るチームメイトに放心状態の俺がもみくちゃにされ、結局その試合、俺の1得点で勝っちまった。

 その日は、定食屋でどんちゃんさわぎになり、すげー楽しかった。

 6月にも試合が組まれていて、同じポジションで再度出場。

 今度は後半ロスタイムまでもつれ込み、ロスタイムも残り3分となって、みんな疲労の中まだ走れた俺のところにボールが来て、そのまま右サイドを駆け上がって、相手のディフェンダーも疲れていたのが足がもつれたので、抜いてキーパーと1対1になった瞬間どうすればいいのか経験不足の俺にはボールを蹴る以外なくて、ゴールが見えた瞬間蹴りこんだらまた入った。

 今度は考えていたキメポーズで走りながら喜びを表現し、また先輩たちにもみくちゃにされながら試合を終えた。

 多分このとき一番俺のサッカー人生で楽しい時期だったと思う。

 6月中旬に、黒いサングラスをかけた人に学校帰り声をかけられた。

 怪しさ満点のこのおっさんがサングラスを取るとやたらとキラキラした目で、なんでもサッカーをやるためにイタリアに来ないかという誘いだった。

 うさんくささがさらに増した気がしたが、とりあえず名刺をもらって後日また話をしたいとの事だった。

 2点取ってちょっと調子に乗っちゃったんだろうなと今ではこの時のことを猛反省している。

 とりあえず、会うのはOKだと返事をし、時間と日にちを決めると、おっさんはサングラスをかけ直して、去っていった。

 そりゃあんなきれいな目をしていたら、サングラスで隠したくもなるような気がする。

 親にこの話をすると怪しすぎると言う話になり、断りを入れろといわれた。

 ま~そりゃそうだわな。

 俺もここで断っていればここに来ずにすんだのに。

 結果ここに来てるって事はおわかりのとおり、俺は、このおっさんとあった。

 おっさんが親に挨拶をしたいって話になって、なんでかうちまで来ることになった。

 なんだろう?このおっさん、やたらと話がうまくて、どうしてもこの時、断り切れなかったんだよな。

 うちの親二人を前にして、激論を繰り広げ、おっさんに軍配が上がった。

 やたらと熱の入った話しをすると思ったら、さらっと違う角度から話を展開させ、そこでも熱く語り始める。

 どうも、日本サッカー協会の人間で優秀な選手を集めていると、イタリアで修行するって話で、高校の資格はどうなるって質問になって、大学の資格までついてくるとの事で、それなら将来仕事を着くときに有利かって話になって、とんとん拍子で、決まってしまった。

 ほかにつれて来られた奴らはどうかあまり、話をした事がない。

 何だろう?友達っていうより仕事仲間、チームメイトの意識が強くなっていて、どうやってコミュニケーションとればいいのかわからない。

 話をしてもサッカーの話ばっかりで、俺はお前と仲良くなりたいんだよ!って大きな声で言いたい。

 アルゼンチンの奴らはどうやら国がやばいらしく、日本が経済支援を理由にユースの選手を引き抜いてつれて来られたみたいだった。

 ブラジルとかドイツとかでもいいんじゃないのかと思ったが、経済支援が理由でってちょっと日本もせこいなとは思ったけど。

 それでも、どんな理由であれ、あいつらはやばい。

 サッカーはもちろんうまいんだが、サッカーに対する姿勢が俺らとはまったく違う。

 サッカー=金なんだろうな。

 試合をしててもタックルがすげーシビアで、腕も反則ぎりぎりまで使ってくる。

 絡みたくないから、足で逃げようと走っても、追いついてくるしこいつらがユース選手かと思うとプロってどうなのよって思う。

 俺も3ヶ月間遊んでいたわけではない。

 ふ、何を隠そう俺は”エリート”なのだ。

 まだ独房経験がない。

 俺が所属する3軍の奴に独房に入った奴の話を聞いたけど、あれはマジやばいわーって言ってた。

 そいつは、ちょっと別の奴と言い争いになって、そこからヒートアップしてしまったようで、喧嘩両成敗で独房入り。

 心に闇を持ってしまったと嘆いていた。

 独房に入ったことがないおかげで、3ヶ月間必死に走りこんで、今の持久力をさらにアップさせた。

 けど、チーム発表の時に3軍入りを宣言された。

 色々自己分析してみた結果、体力には自信があるが”サッカー”には自信がない。 

 こんなんでいけるのか?とメンタルトレーナーと話をしてみたが、大丈夫と笑顔で返された。

 すげー美人でできるオフィス美女的な女性で、足を組みかえる瞬間に見えそうになる暗闇の奥の園がすげー気になって、あんまり何を話したのか実は覚えていない。

 だってここすげー女っ気がなく、オカズもない。

 溜まるわけですよ!

 それはさておき、現在の3軍の課題は守備力。

 3軍のフォーメーションは俺が高校時代にやっていた3-5-2なのだが、ディフェンス陣が機能しておらず、簡単に崩されて点を許してしまう。

 と3軍チーム監督が言っていた。

 フィールド全体を見渡せる感覚を身につけることだとの話になり、コートを半分使って周りに意識がいくような練習も取り入れている。

 体力があるとの事で、俺はディフェンスを意識した中盤のプレイヤーに向いているといわれ、現在は右のDMFのポジションについている。

 この間2軍との試合をしたけど、とにかく”走る”。

 めっちゃ走る。

 しかも2軍の奴らドリブルがうまいから、足にボールがくっついているのかと思うぐらいの感覚でドリブルするやつばっかりだった。

 3軍はどうもまだまだその域ではないみたいで、俺を含めてすごいトラップも雑だし、課題が山済みである。

 なんか最近2軍の奴ら、ウキウキしてて、気持ち悪い。

 2軍に何かあるのか?

 これは確かめて見なくてはとにかく3軍から這い上がってやる。

 

 ふー日記を書き終えて、一息つくと、コンコンと扉がノッコされる。

 

 「彼我、おきてるか?」

 「その声は確か中町。」

 「練習しにいかない?」


 同じ3軍の中町。

 最近、こいつと少しつるみ始めている。

 ポジションはCFセンターフォワードいわゆる花形で、負けてはいるが、必ずこいつが1得点毎回あげている。

 今2軍に一番近い奴だとの噂されている奴で、そういった奴と一緒に練習するのは悪くない。

 ただ今は22時疲れている。

 寝たいが、ま、いいかと練習を付き合うことにする。


 「じゃあいくから先に3軍グランドで待っててくれ。」

 「わかった。すぐ来てよ。」

 「お、おう。」


 中町はちょっと茶髪で、体がひょろく見え、見かたによっては女に見える。

 催促されて、なぜかちょっとうれしくなってしまった。

 俺はそっちの気はまったくないですから!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ