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監獄のクラブチーム  作者: 八尺瓊
1年目
11/77

第十話 レギュラーチームとの試合 ハーフタイム

お久しぶりです。脩由です。


ようやく、第十話をアップできました。

自分でもうれしいです。

レギュラーチームとの試合後の展開を考えてはつぶし、考えてはつぶし、しているうちに書けなくなりました。

次のアップはできるだけ早く上げたいと思います。

 レギュラーチームの控え室で、ベニートが不満をあらわにしていた。

 

 「お前ら3軍の試合を今まで確認していたのか?」

 

 OMFでキャプテンのニッセンが返事をする。

 

 「すまない。彼らを侮っていて、最近の試合しか確認できていない。」

 「その割には、彼我のシュートに驚いていたな。奴があれを使ったのはこの間の2軍との試合だぞ。」

 「・・・・。」

 

 ニッセンが黙ると、ベニートは顔を洗ってくると控え室を出る。

 それを追いかけるようにアビラも控え室を飛び出していく。

 レギュラーチームの控え室はなんともいえない沈黙が流れていた。

 その沈黙を監督が破る。

 

 「お前らベニートに言われた意味を良く考えるんだな。例え相手が格下の相手でも全力で叩き潰す。それがサッカーだ。ピッチ上では何が起こるかわからない。番狂わせはサッカーでよく起きるものだ。」

 

 監督の言葉に顔色を返る選手達。

 監督の言葉が無ければ、まだ後半戦油断を引きずっていたかもしれない。

 副キャプテンでGKの荒川は監督の言葉にみんなの雰囲気が変わったことを実感し、後半戦は荒れるだろうと予測した。

 

 (落ち着け。ニッセン達が3軍を侮っていたことなど試合が始まる前から気がついていたはずだ。だからいまさら前半戦の結果に何を言っても終わってしまったことだ。自分をコントロールしろ。)

 

 ベニートはトイレの鏡をにらめ付けるように、今にも気持ちを爆発して周りを殴り飛ばしたい気分の自分を必死に落ち着け、メンタルコントロールをしていた。

 

 「兄貴。」

 「アビラか。」

 

 鏡越しに後ろに立つアビラに顔を向けようともせず、そのまま鏡の自分を見続けるベニートに気を使いながらアビラは聞きたい事を口に出した。

 

 「何で、あいつを気にしているんですか?」

 「彼我か?」

 「そうです。あんな素人のどこにひきつけられてるんですか?」

 「もう奴は出会った頃の素人だった奴ではない。すごい勢いで伸びているサッカー選手の一人だ。」

 「俺にはそう思えないです。」

 「サッカーのテクニックはまだ俺達とは1ランク下だろう。しかしゲームを支配し組み立てていく、ゲームメーカーの能力は俺より上だと考えている。」

 「そんな・・・。」

 「サッカーは難しいスポーツだ。時、コンディション、戦術などに大きく影響される。その中でチームに抜群のゲームメーカーがいれば弱小チームだろうが、低迷してしまったチームであろうが、ある一定のラインまでチームを引き上げる。」

 「それが彼我だというのですか?」

 「俺はそう考えている。俺はチームメイトとそこまでコミュニケーションをうまく取れない。サッカー選手としては上のほうだと言われているが、しかし、なぜか奴とならうまくいく気がする。俺の能力を引き出すには奴が必要だ。」

 「そこまで彼我を・・・。俺負けないですから!」

 

 その場をアビラは走って去っていく。

 

 「アビラお前のいい所はもっと先にあるはずだ。」

 

 ベニートからハーフタイム始まってからのイライラ感は消えていた。

 時を同じくして、3軍の控え室では興奮した様子の選手達がいた。

 

 「よし、レギュラーチームと1対1で引き分けての折り返しだ。いける!」

 

 大河が両手を前に握りながら手ごたえを感じたようにガッツポーズを作る。

 それをみていた選手達の何人かも同じ気持ちなのかいけると口を揃えるが、彼我がその中で冷めた顔をしていた。

 

 「おい、どうした彼我?」

 

 その彼我の様子に気がついた皆口が声をかける。

 

 「あいつらは本気じゃない。」

 「え?手を抜いていたようには思えないぜ?だって何度も猛攻を仕掛けてきてたし、それを凌いだ俺らの実力が上がったって事でいいんじゃないのか?」

 「確かに、あいつらは前半戦、本気だったが、100%ではなかった気がするんだ。」

 「そうは見えなかったけどな。」

 「いや彼我のいうとおりだ。」

 

 3軍の監督が彼我と皆口の話にかぶせてくる。

 

 「お前らも良く聞け。レギュラーチーム、後半戦は3-5-2でベニートをCFにあげて、いつものスタイルで攻めてくるだろう。それが奴らの本気だ。」

 「監督どうしてそう言いきれるんですか?」

 

 大河が手を上げて発言をするのを見て彼我以外は同じような意見を持っていると顔に出ていた。

 

 「お前らにはいってなかったが、このクラブチームの基本フォーメーションは3-5-2だ。」

 「?」

 

 この意味については彼我も含めて首をかしげる。

 

 「ディフェンス陣が3人でも相手チームの攻撃陣から守れ、こちらの攻めは多くの中盤からのつないでいき最後に確実に点を取れるCFで固めるのが上からの指示なんだよ。ちなみに中盤からでも点を取れるプレイヤーの育成も目指している。」

 「じゃあ、クラブチームの代表となるレギュラーチームがフォーメーションを変えてきたのは・・・。」

 「お前らが舐められているからだ。」

 

 ざわっとチーム内で雰囲気が変わる。

 はっきりと不満気な監督の言葉に、さっきまで騒いでいた選手達は黙り込み、重く控え室の空気がのしかかる。

 

 「舐められて押されて終わるより、前に出たいです。」

 

 キャプテンの重林が代表してチームの空気を感じ取り監督に言う。

 

 「わかった。後半戦だが、こちらも3-5-2で攻めるぞ。前半のボールポゼッションはレギュラーチームに持っていかれっぱなしだったが、俺達が後半戦のボールポゼッションを支配する。そのためには、走れるディフェンス陣でいく。」

 「走れるディフェンス?」

 「ディフェンス力よりも相手に粘り強く張り付き、相手のCFより足が速いディフェンス陣を敷く。」

 

 この後監督から具体的な戦術についてレクチャーがあり、3軍選手の顔が引き締まった。

 

 -------実況解説-------

 ジュン:「さあ、前半戦の動きについてですが、喜多島さんでしょうか?」

 喜多島:「そうですね。両チームともにフォーメーションが3-5-2ではなく3軍が4-4-2で、レギュラーチームが4-5-1と言うことで、面白くなりそうかなと感じたんですが、結果だけでみれば1対1ですね。ボールポゼッション率が85:15と圧倒的にレギュラーチームがもっていたんですが、小さいチャンスを確実に仕留める彼我選手のテクニックには驚かされるところがありますね。」

 ジュン:「よくあそこから蹴りこんでネットを揺らせたものだと思いますね。」

 喜多島:「前回の試合でPKの時に見せたボールコントロールは練習をしっかりしていたから出来たものだと今回のシュートで証明された形ですよね。」

 ジュン:「レギュラーチームはよく動けているんですが、決定力に欠ける印象がありますよね?」

 喜多島:「やはりベニート選手をSBに下げている影響が印象に残りますよね。彼は前に出て真価を発揮できる選手だと僕は思っているんですけどね。」

 ジュン:「後半戦両チームどのように出てくると予想されますか?」

 喜多島:「レギュラーチームは本来の3-5-2に戻してくると予想されますね。特にベニート選手を前に出してプレッシャーをかけてくると思われます。3軍チームは今までのフォーメーションから、隙を見て前半戦と同じく中盤から狙ってくると思われますよ。」

 ジュン:「なるほど。後半戦も目が離せない展開を見せてくれそうで楽しみですね。」

 喜多島:「いや~本当に、3軍チームの選手の伸びに驚かされますからね。後半戦が楽しみです。」

 -------実況解説 終わり------

 

 トイレから戻ってきたベニートを待っていたのは、明らかに顔つきが変わったニッセン達だった。

 

 「すまないベニート。少し思い違いをしていたようだ。もう油断はない。」

 「俺もすまなかった。俺達はチームだ。点をいれられたのは誰かのせいじゃない。自分達のせいだと忘れていた。この試合勝つぞ。」

 「ふ、当然だよ。俺達のサッカーを見せてやろうじゃないか。」

 

 ニッセンと肩を叩きあい控え室を出て行くベニートを見て硬さが取れ、この試合で一番のコンディションになった。

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