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監獄のクラブチーム  作者: 八尺瓊
1年目
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プロローグ:監獄のクラブチーム

初めまして、初めてじゃない方もこんにちわ。

脩由しゅうゆです。

今回不定期掲載の作品をアップすることにしました。

現在連載中の退魔医術士 左近、第2章掲載予定の”クロスロード”と短編の”おとぎのせかい”を書かせていただいており、モチベーション維持の為 不定期掲載作品を書くことにしました。

話はサッカーワールドカップを優勝するにはどうすればいいのか?

という所から考えた作品です。

2014年の今、ウィニングイレブン2008をプレイしていて、思いついた作品でサッカー知識は皆無に等しいです。

そんな人間が描くサッカーの話なので暖かく見守っていただければと思います。

R15禁にしております。

ちょっとエッチな大人の部分も後半で出てくる予定なので、ご了承ください。

後、脳内プロットにより、書いていくうちに話にずれが出てくる場合もございますのでそのあたりもご勘弁ください。

 世界から見れば小さな島国。

 しかし、世界に類を見ないほどの繁栄を誇り、国内では国は衰退していくような事をささやかれているが、まだまだほかの国から比べれば先進国であり、文化レベルは高水準を保っている。

 その国の名前は日本。

 他国の文化を吸収し、自国の文化と融合させ昇華させる。

 そうして繁栄してきた国にないものがある。

 サッカーワールドカップの優勝トロフィである。

 小さい島国のせいだろうか、日本人は世界と戦い上位であることを目指す。

 柔道、陸上、水泳など数あるスポーツで世界のトップレベルと呼ばれる人材を輩出してきた。

 しかし、いまだサッカーワールドカップのトロフィには遠く、世界と戦う為、異国の地で努力を続けるサムライ達はいる。

 しかし、今回のプロジェクトの出資者の老人達は不満であった。

 世界と戦い、その栄光を勝ち取る。

 まだまだJリーグが始まって世界から見れば、発展途上。

 老人達は答えを急ぎすぎていた。

 ”いつ優勝するのか?”

 日本人が世界のトップに立つ姿を見続けていたい。

 常に努力している選手達にとっては非常にいい迷惑である。

 プロの世界とは非常にシビアな世界。

 結果がすべて。

 日本人は”過程”を大事にする部分があるが、世界は”結果”しかみない。

 それをよく知っている老人達にとっては、非常に歯がゆかった。

 そこでワールドクラス選手育成プロジェクトを10年以上前から計画し、日本政府に認めさせるのに時間がかかったが、ようやくそのめどが立ったことで、秘密裏にプロジェクトが動き出す。

 プロジェクト名:”監獄のクラブチーム”

 今、羽田空港に22人の少年達がイタリアに向けて出発する。

 家族の見送りはなかったが、不安のようなものはなく少年達はまるで観光にでもいくような気軽な気持ちで空の旅を楽しんでいたであろうと思われる。

 しかし、それは空の上で、海を眺めていた間までだった。

 地獄を体験することになるとはこの時、少年達は思っていなかった。

 イタリアに着き、そこからバスに乗り込んだ少年達が向かった先は空港から約3時間ほど走り、着いたのは山奥にある刑務所だと思われる施設。

 バスが施設前に止まり少年達を下ろすと、別の集団が先に来ていた。

 肌が浅黒く、健康的そうに見えるが、日本人には見えない。

 その集団の数は15人。

 そのうち11人は顔から年齢を推測すると今回、日本から来た少年達とほぼ同じ年齢だと思われる。

 相手の集団の引率者だと思われる人物が、日本人の集団をつれてきた人物と話をし、施設内へと入っていく。

 少年達もわけのわからぬまま、引率者の誘導に従い、自分達に割り当てられた部屋へ移動。

 スポーツウェアに着替えを済ませ、グラウンドに集合させられる。

 靴は履かなくていいとの事で、そのままグランドに集合させられた少年達は、さっき見た集団がアルゼンチンのクラブユースだった少年達だと聞かされる。


 「俺がこの施設の館長の・・・。」


 少年たちの前に設置された壇上に上がり、30歳ぐらいの男性が、自己紹介を始める。

 施設のルールと、今後の方針を告げられると少年達の顔が見る見る変わっていき、自分達が置かれた状況をようやく理解する。

 ”ここがサッカー選手育成のために作られた監獄”なのだと。

 日本とアルゼンチンから来た少年達は、全員16歳 全員で33人。

 8年後に開催されるワールドカップを目指し、この元刑務所だった施設を利用して、まず2年間でサッカー理論と、選手を鍛える。

 18歳になれば、イタリアリーグのセリエAとセリエBのユースクラブチームが所属する”カンピオナート・プリマヴェーラ”リーグに出場することになっており、経緯はわからないが、出場の機会を与えられてる。

 さらにリーグで2年間成績が優秀であれば、セリエDリーグのクラブチーム登録が認められる事になっている。

 あとはセリエA昇格に向けて毎年上位入賞が最低条件となる。

 まさに夢物語だった。

 日本から来た少年達は全員、高校サッカーから引き抜かれた。

 アルゼンチンから来た少年達はクラブチームのユースから引き抜かれている。

 レベルに差がありすぎて、レギュラーは全員アルゼンチンの少年達にもっていかれるのではと聞こえてくる。

 しかし、ここは日本人選手を育成する場所であり、ある意味日本人の少年達はラッキーである。

 3チームにわけ、必ずアルゼンチンの少年達は、各自ばらばらにチームに所属しないといけない。

 半年間、3チーム内で練習を行い、チームの熟練度をあげながら選手を育成していく。

 各チームには監督が1人づつ配置されており、日本人監督の育成の場としても考慮されている。

 後、施設にはドクター、フィジカルトレーナー、メンタルトレーナーなどがおり、人材は充実していた。

 しかし、試合にシューズの使用禁止、施設からは出ることができない、携帯電話の所持が認められていない、ケンカなどの事件を起こした場合、独房入りなどがこの施設でのルールとして決められており、現代っ子の日本の少年にとっては苦痛の何モノでもなかった。

 相部屋というわけではなく、各自部屋を与えられている。

 殺風景な部屋で、セパレートにはなっているが、トイレとシャワー室、備え付けのベット、服を入れるためのクローゼットとサッカーボールのみがはじめに支給され、始めの3ヶ月は月に1万円が給料として固定で支給。

 練習試合が始めると、その評価について別途給料が支給される。

 しかし、まだ別途支給される金額は安く、”カンピオナート・プリマヴェーラ”リーグに出場するまではかなり厳しいと話が出ている。

 支給された給料で買い物をする事ができ、ネットルームにいくと備え付けのパソコンを操作する事ができるが、あくまでイントラ内のローカルネットワークだけでグローバル接続はできなくなっている。

 つまり”外”との連絡はできなくなっており、家族との連絡はつかなくなっている。

 家族との連絡は、所員が行っており国際電話はお金がかかるからとメールのやり取りになっているようである。

 契約は24歳まで。

 ここでの自由はサッカーのみ。

 己を鍛えることに関しては自由が与えられ、練習をサボると独房に入れられる。

 独房は、トイレとベット、ボールのみ。

 あとは壊れた水道から”ピチャ、ピチャ”と水の漏れる音を24時間聞き続ける事になり少年達からは、まだ自分の部屋のほうがいいと恐怖の対象になっている。

 音を紛らわすためにボールをひたすら蹴り続け、気がついたら、独房あけでも自室でボールを触って心を紛らわしていることがある少年がほとんどだった。

 独房に入っていない者たちを”エリート”と呼び、33人中、8人いているかぐらいの人数だけである。

 3ヶ月のチーム訓練が終わり、各チーム11人MAXでレギュラーチーム、2軍、3軍のチームメンバーが発表される。

 この3チーム内でリーグ戦を行い、各試合ごとに、評価がつき選手の入れ替えが行われる。

 今まで支払われていた給料にも差が出始めており、少年達の目つきが変わってきていた。

 特にアルゼンチンの少年達は家族に仕送りもしており、上位チーム入りをすることにこだわり、試合中当たりが激しくなる。

 まだまだその辺りがシビアではない日本の少年達は、余裕がどこかにあるようだが、レギュラーチームでアルゼンチンの少年が入れる枠6人のうち6人全員に入られており、2軍チームでもトップクラスの実力で5人が存在する。

 3軍には誰一人アルゼンチンの選手がいない中、ようやくエンジンがかかり始めた日本選手たちの話で始まる。

 


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