リセットボタン【hack to brain】-8
わたしは電車を乗り継ぎアパートに戻る。そして、アパートのドアの鍵を開け、部屋の居間を見て絶句した。居間には木製のテーブルが一つ置いてあるが、そこには丸い金属の球体がテーブルをぶち壊して、場違いにもほどがあるかのように存在していた。
『………(-_-;)』(なにこの物体は)←心の声
暫くすると丸い球体に扉らしきハッチが開かれた。
その中の車のシートに人が座っていた。その人物はおおよそ服装で予想が付いた。
さっき別れた相葉君?
気絶しているのか眠っているのか分からないが、わたしはそのヘルメットを取った。わたしの予想は的中した。やはりさっき別れた征服姿の相葉君だった。
『とりあえず息はしてる、つかこの機械はなんだろう、その前になんでさっき別れた相葉君が?』
30分後
『うーんカプチーノ』
『それカプチーノじゃなくてコーンスープだよ』
私はすかさず突っ込みを入れる。
『私がカプチーノと言えばコーンスープも味噌汁もカプチーノになるんだよ』
相葉君はいつも通りの意味不明な発言をする。
『どう?落ち着いた』
『落ち着いてるも誰がどうやってこの私をこの不気味な球体に乗せられた分からないよ、私はね此戸葉と洋食屋『夜明けの空』を立ち上げて、開店祝いで酔い潰れたはずなんだけどね…。』
『洋食屋ってまさかわたしと相葉君はこれの関係?』
相葉君は右手の小指を立てる。
『ああ、そうだ。』
(うわっ簡単に言い切ったよ(*_*))←心の声
『だが、此戸葉の置かれてる状況と私の置かれてる状況に大きな誤差があるな…。此戸葉はまだ学生だろう。私はもう20歳だ。だけど、何故、私は学生服を着ている?』
わたしは何かおかしな事件に遭遇したらしい事は確か。昔、SF小説で読んだ事があるこの世には異なる世界線が存在するパラレルワールド説を思い出した。
蔵人Side
『だが、此戸葉の置かれてる状況と私の置かれてる状況に大きな誤差があるな…。此戸葉はまだ学生だろう。私はもう20歳だ。だけど、何故、私は学生服を着ている?』
ついさっきまで開店祝いで二人で酔い潰れて寝たはずだった。
朝かと思ったら、ヘンテコなマシンに乗って、しかも、学生時代の此戸葉に起された。
支離滅裂とはこの事だろう。ふと、何かが頭に響く。
(可能性があるなら此戸葉を連れて必ず戻ってくる。)
これは私の声だ。でも、その意味が分からない。私と此戸葉の時系列は約二年間食い違っている。
では、二年前の自分はどこに行った?
その前に此処はどこだ?
此戸葉には家族のいる一軒家だったよな?
この私は誰だ?
この球体は何ぞ?
私はそっとその球体に触れてみた。その球体は私の手の中に吸い込まれるように消えていった。
そして、段々と記憶が戻りかけてくる。私は忘れていた、由紀さんとの約束を、此戸葉を取り戻す事を、此戸葉の脳に住む赤龍を排除するために私は
【ここにいる】