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日常≠非日常【リセットボタン】-間奏-

2012年8月6日-0:22

薄暗い研究室で男はあるプログラムの解析を行っていた。カタカタとキーボードを叩く音と共に苦笑する。

『っ・・・これも駄目だ』

声質をから見れば年齢は20前半だろうか。彼はとある一家の事故と見せかけた殺人事件が起きてから、その事件を約五年近く追っている。そして、その若き男に世界を救う重大なターニングポイントが握られているのは誰も想像しないだろう、いや、それは彼自身すら、分からない。

例えるならば恐竜が何故滅亡したのか、分かる人はいるだろうか。有力な説は隕石落下説。火山噴火説、海退、海進説、伝染病説、原因は複数挙げられるが、でもそれは仮説上の話だ。多くの科学者が研究しようと真実は不明だ。

彼は、知っている、これから起きる事を。それでも恐竜滅亡と同じく、過ぎ去ってしまえば、誰も知る者はいない。だから、仮説だ。

彼は無数の未来を見た。いや、正しくは、夢。睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる予言。

彼の言葉は誰も信じないだろう。それでも、彼だけは知っている。きっかけは些細な事だ。バタフライ効果のように一羽の蝶が羽ばたけば、地球のどこかで嵐が起きる。

それほど、その男の近い未来の行動は現代の物理法則を歪めようとしている。

『少しは休憩したらどう?はい、紅茶』

年齢は30代後半のショートカットの女性が私に話しかける。

『ありがとう、しかし、この脳の解析には意味があるのだろうか。ましてや、どこぞの研究機関に眠っている脳にハッキングをかけて、記憶を送り込むなんて。まぁこの未来のシステム機材の凄さは認めるが』

『安心して。あれを使って、脳にダイレクトに君の記憶をデータとして侵入させられる。通称【ブレインハックマシン】。だけど、そのブレインハックの原理は、一人の脳のネットワークをハックするために、何百億ある人の脳のデータベースから、目的の脳を割り当てて時間と場所の座標特定しなければならない。そして、初めてそのブレインハックが通用する。しかし、これは公式のマシンじゃない。デメリットとして、君のコピーが複製されるわ。姿、形は同じだけど、彼は間違いなく君を抹殺目的で行動する殺人鬼でしょうね』

彼女はあれを指を指す。指の先にあるものは車のシートとそれと頭部に被るヘルメット染みた脳波を送信するヘッドギア。これら全ての機材は彼女が設計し、現代のパーツで組み立てられたものだ。未来の機材は現代では開発不可能、それらは代用品でしかない。それ故、このマシンは完璧ではない、つまり非公式。これらは彼女に何十回も聞かされた事だ。

『難しい話はよく分からないが、この解析を完了させれば良いって事だよな。後、一つ聞いていいか?あんたは一度死んでいるんだよな』

『ええ、私は一度交通事故で死んでるのよ。その死体は民間自衛組織volcano ocean、火山の海が回収して、半機械人間に再生された、で隙を見て脱走し現在に至る、当然ながら私の脳はデジタルと化して記憶媒体はこのハードディスクにある』

彼女は後ろ首の付け根からケーブルで繋がれた箱型のハードディスクを見せる。

『母親は機械人間、娘は機関の未来予知を持つ培養液で生かされてる脳か。話は変わるが2015年、つまりあと約三年で火山の海とやらがその脳の解析で第四の次元【時間】を世界を統治する。それはあんたの家系が持つ未来視で見たものか?』

彼女は回る椅子に腰かけ、コーヒーを飲みながら当然のように言い切った。

『ええ、そう。四年前、私たち一家が交通事故に見せかけた犯罪があったように。7年前、あなたは私の娘を好きになった。それと同じ。すべては運命論。あなたがこの脳にいる娘の座標特定するのも決まりきっている。』

『で、俺がその脳にブレインハックする。それも運命論てか(笑)』

彼女は砂糖とミルクを異常なほどたっぷり加えそれを一気飲みした。

『あばばばばばばばばばくぁwせdrftgyふじこおおp、甘いものはイイネェ。まぁそういうこと。私はマシンの調整に戻るから、あなたは引き続き解析に戻って。私の未来視で言うと二年後には解析が完了する。そしたら私と同じようにあなたは誰にも負けない最凶の半機械人間の記憶に改ざんして、脳に送り込んであげるわ♪』


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