リセットボタン【hack to brain】-4
3分後-
トントン
またまた変な来訪者かと思ったが、妹の那津子だった
『おはよー♪元気にしてたお姉ちゃん』
『両親と来るんじゃなかったの?』
確かに来たのは那津子だけだった。
『それがねぇ、仕事の都合上、来れないって』
わたしは2つばかし聞いてみたいことがあった。両親の名前と仕事、ここの現在地。
『あのさーお母さんとお父さんの名前と仕事が分からないのだけれど、、わたしは記憶喪失みたいだからさー…、ちなみに今は何年なのかなぁって?』
『お母さんは香織、お父さんは優作、仕事はどっちもアナウンサー。しかも、海外専属。どっちもね、アナウンサー同志で駆け落ちしたとかの武勇伝とか覚えてない?』
つか、駆け落ちとか武勇伝とか海外専属アナウンサーとか意味不明だから…。とんでもない一家にリセットされるとかおふざけにもほどがある。まぁ名前だけは普通で良かった。
『知りませんよ、一応わたしは記憶喪失らしいですから。』
『ごめんごめん、記憶喪失じゃ仕方ないか。はい、これ忘れ物』
ブルーの携帯電話だった。とりあえず近辺の人物把握のため電話リストを見てみる事にした。
見知らぬ名前が登録されていた。しかも、全が変なニックネーム。
半分すら見てないけど、もういいや。変なニックネームで登録してるこの葵さんとやらは重度の厨二病らしい。これじゃあ、男女すら分からない。この電話リストの取り巻きさんは一体どんな人たちなのだろうか。
とりあえず、『韓流アーティスト』さんに電話をかけてみた。
呼び出し音が鳴っている。次の瞬間、電話が繋がった。
『もしもし、そちらはアーティストもどきさんですか?』
『は?意味が分からないですよ。葵さん。でも電話出来るってことは意識が戻ったんですね。よかった良かった。』
余裕で普通な方だった。敬語を使うあたり後輩か何かだろう。
『でも、後遺症か何かで記憶喪失なんですよ』
『そうでしたか。私は森下ですよ、では一曲。』
何か意味不明な韓国語の曲を歌いだした。これが今流行りの韓流ってやつだろうか。
ピッ
かなり意味不明なので電話を切った。これで大体の人の特徴は掴めた。
次はええと…。
『駄目だよ、ここは病院!電話は禁止!』
返してもらったのに妹に取り上げられた。
『話は戻らせてもらうけれど、何故、両親は来れないの?まさか、まだ海外にいるとか?』
『それそれ、なんかアメリカで核爆弾テロ事件が勃発して、その取材してるとか。』
爆弾テロねぇ…。アメリカさんも爆弾とか物騒な事件起きて限りなく迷惑な!話だ。
ちょっと待て、核爆弾!?イカレテルよソレ
『何だか、ロシアがステルス機を使ってニューヨークに核爆弾落としたらしいよ』
『マジ?』
『嘘!!ごめんごめん、本当は今頃、飛行機なんじゃないかなぁ。葵お姉ちゃんが意識を戻したって言ったら、ブラジルから急いで向かうとか言ってたから、明日には必ず連れてくるよ、あ、そういや、現在地が分からないんだよね。ここは東京の東大附属病院。家は渋谷のマンションだよ。そういや年代だっけ?今は2010年の7月20日だよ』
実にどうでも良かった。何故ブラジル!?サッカーか!?両親はスポーツ系アナウンサーなのか!?ホントどうでもいい。
『そういえば、10分くらい前に変なスーツの人見なかった?これを見て』
私はさっき貰った電話番号も住所も書かれていない名刺を見せる
『何々?時空オルタネートスイッチ(株) 社長 黒崎咲人…お姉ちゃん、コレ何?時空とかオルタねーととか意味が分からないよ。問い合わせるにも電番も住所も書いてないし、この人は何しにお姉ちゃんを訪ねてきたの?』
咲人はこのことを話すとこの世の物理法則が歪むとか言ってたけど、那津子にそのいきさつをありのままに話した。
『ふむ。これはこれは、もしかして、ボタンを押した人がお姉ちゃんの身体を支配しちゃった訳で、お姉ちゃんの記憶を戻すために注射みたいなことした訳ね』
『なんかこの事話すと物理法則が歪むとか私に言ってたけど、話しちゃ不味かった系?』
確かに咲人とかいう人は絶対に話すなとか言ってたけど、大丈夫だったのかな?
『大丈夫だよ。那津子も物理法則が歪んで、超能力とか魔術とか使いたいし。』
話すんじゃなかった…。話した後に後悔するとはこの事か。
『で、話は戻るけど、三分前辺りにこの咲人とかいうスーツの人とすれ違わなかった?』
『てか、そんな人見てないよ。ちょっとナースステーションで聞いてみるよ』