リセットボタン【hack to brain】-29
2014年2月11日 3:00 未来Side
圧死もと西条未来はどこぞのお嬢様に買ってもらったお気に入りのブラックのひらひら服に着替え、ボルケーノオーシャン本部にマイカーである真っ赤のフェアレディZで時速100キロで一般道を走っている。
『クラウド・アイバークねぇ…。ホントにタイムマシン開発の鍵を知る者か知らないけど、実験者大好きっ子の圧死をwktkさせてくれんのかねぇ。それにしても偽名乙!』
30分後
本部に着いた圧死はカウンターでクラウドの手紙を見せる。
『クラウドさんは地下三階の談話室にいます、こちらのエレベーターをお使いください。』
とカウンターの嬢ちゃんにそう言われ、エレベーター使えと言われたが、気に食わないから、階段で地下三階の談話室に向かった。
談話室には一人の男がいた。
『初めまして、未来教授。私がクラウド・アイバークと言う者です。では、こちらの椅子にお掛け下さい。』
圧死はその椅子に腰を掛け、本題に移った。
『で、いきなり本題に移させてもらうが、タイムマシンの鍵ってやつは何だ?』
次の瞬間、クラウドの口から出たものは予想外のものだった。
『君のADAさ。君がペンダントとして身に着けているものだよ。使い方が分からないだろう。簡単に使い方を説明してあげよう。』
1時間後
圧死はクラウドが言った事に腹を立てていた。奴は魔術だか龍だか超能力とか馬鹿げた話ばかりする。科学者なるものは、証拠もクソもないトンデモ理論など論外だ。科学者とは、実験に実験を積み重ねて初めて、その理論は世間に認められる。だが、しかし、奴は、ぬけぬけと、この圧死にくだらない話を聞かされた。それも、奴の一方的な会話で、一般人にすら理解不能な一方通行な語りでしかなかった。終いには、圧死は15分程度聞いていたが、イラつきが限界に達し、残りのコーヒーを奴の顔面にぶちまけてやった。それでもなお、奴は平然とニコニコと気味の悪いスマイルを浮かべていた。
時間を返せと言ったら、キャリコM100と言う実銃をくれた。
『魔術か。うーん、銃弾の魔術師ってのも悪くないな。って現実的に考えて無理っしょ』
圧死の先祖は確か魔術で悪魔を造り上げたという伝説があるが、そんなものは有り得ないと圧死の中では完全否定していた。でも、そんなものが存在すると言うのは、近い将来に知ることになる。
『それはそうとひらひら服を買ってくれたあのお嬢ちゃんにはもう一度、礼をしないとな。福島とか言ってたっけ。今から行ってみるか。東大の学生共には今期の授業は全部、自習させよう。』
圧死の脳医学の授業では試験と言う方式は取らない。人間の本質を見極めるのは、問題を解く事ではない。その問題を発見することだ。試験は問題で回答者を試すものではなく、その問題提供者を試すものだと、一体、何人の人間が気づいているだろうか。
だが、今はそれどころではない。夜明けの空に向かって、果てしなきドライブを楽しみたい。とりま、夜が明ける頃には福島に着くだろう。
圧死は一枚の紙を取り上げる。それが、名も知らぬ嬢ちゃんの住所である。
『猫魔ヶ岳ねぇ。いかにも面白そうじゃん!ぶっ飛ばすぜ!』
圧死のフェアレディZは高速道路でさらに限界まで加速させる。エンジンが、けたましく唸り声を上げる。これでもかと言わんばかりに未来は夜明けの空を走らせていた。
この時、フェアレディZのメーターは150キロを軽くオーバーしていた。