リセットボタン【hack to brain】-19
2014年2月8日23:08 –咲人Side
私は今、将棋をしている。だがしかし、普通の将棋とは決定的な違いがある。
それは対戦相手がいないと言う事だ。分かりやすく言えば、一人将棋だ。
ルールは簡単だ、自分と相手の立場になって全力を尽くして、対局すると言うものだ。
『これはこうだ』
自分で駒動かし相手の駒を取り、相手の席に座り、相手の思考で考えて駒を動かし、駒を取る。
『たっだーいまー、クラウドいるぅ、お酒でも飲まない?』
酔い潰れてさらにお酒を飲もうとしているミズキを無視して一人将棋に熱中していた。
『おい、クラウド、無視は酷いぜ、つか、一人で将棋とか何やってんのさ、馬鹿じゃない』
ミズキは物珍しそうにテーブルの椅子に着く。
『いや、これはですね、自分との真剣勝負ですよ。相手の立場になって物事を考える一種の神経トレーニングさ、それにこの勝負には競馬のお気に入りのお馬さんを賭けているのですよ、で、そのお馬さんに力を分け与えるのさ』
『クラウドさぁ、競馬の意味分かる?一般人にとってはお金儲けのはギャンブル扱いだよ。アンタはお金には全然興味ないでしょ、つか、お前さんはお気に入りのお馬さんの勝利が見たいだけだろぉぉ、実にくだらねぇ』
酔いが回っているのか、私に次々に暴言を浴びせるミズキだが、そんなのはどうでもいい。
【ドゥドゥドゥゥゥゥゥゥ】
いきなり、私の内ポケットの携帯が鳴りだす。
『前島君、こんな夜更けどうした?何事かな?』
【今、名古屋支部が複数の何者かに襲撃を受けて壊滅状態だ、至急、掃除屋の援護を頼みたい】
『おい!それは本当か!!奴らの目的は地下最深部にある【ケリュネイアの鹿】の首だろう。前島君は支部の電源を全面シャットダウンし、最深部のハテグ=クラに辿り着けないように、地下施設に硬化ベークライトを流し込め。危ないと思ったら、一人でも多く研究員を逃がせ、前島君は引き続きシステムの安全を図れ。』
【分かりました、後は頼みますよ、隊長】
『こっちは戦闘機で15分で援護に向かう、それまで耐え抜け』
ピッ。
『何があったのよぉぉクラウド、合コンとかの誘いとかぁぁ(笑)』
『前島君から連絡があった。名古屋支部が何者かに襲撃されて壊滅寸前らしい、酔っ払いは邪魔だから、お前は寝てろ、3時間で片付けてくる』
後ろからミズキが言ってくるが無視して、屋上のハリアーに乗り込む。ハリアーは垂直離陸が可能な戦闘機なため、使い勝手がいい。