表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/30

リセットボタン【hack to brain】-14

2014年2月5日4:02 –此戸葉 Side


辺りはもうすぐ夜を迎える準備をしていた。太陽が陰り景色は夕暮れ。流石に三回の電車の乗り継ぎはあまり電車をのらないので精神的にわたしは疲れ切っていた。帰宅ラッシュ寸前なにのにやたら人が多いせいか相葉君も疲れているみたい。お互い無言の沈黙が訪れる。

その気まずい雰囲気を破るためにわたしは相葉君に声をかけた。

『その研究所はどんなとこ?』

多少、居眠りしていた相葉君は少し戸惑っていた。

そして、数秒後に返答が返ってくる。

『此戸葉のお母さんが作った福島県の猫魔ヶ岳にある小さな研究所だよ。東京で此戸葉の事故死について調べてたら、偶然、亡くなってるはずの此戸葉のお母さんと出会って、ビックリして、そこで三年間、此戸葉を助けるため、そこで過ごしたんだよ。』

わたしには相葉君が何年もわたしを助けるためにどれほどの時間と苦痛を背負って来たか、わたしはそれが心に深く深く突き刺さる。

『わたしのために相葉君は…頑張ってくれたんだね…』

わたしの瞳から涙が流れる。相葉君はとっさにハンカチでわたしの頬に流れた涙を拭いてくれた。

『変わってないなぁ。どの此戸葉もやっぱり可愛くて泣き虫で、私はね、そこに惚れたんだよ』

『泣き虫じゃないもん。わたしはただ…』

何故か言葉が出ないのは、世間体で言うツンデレフラグが立ってしまうからだ。

『ただ?』

もういいや、現実世界じゃわたしはこんなキャラ設定なんだし、私は心の奥にしまっていた言葉が出た。

『ただ、相葉君がここまでしてくれたから泣いたんだもん』

わたしは泣きながら相葉君の胸を叩いた。

そして、そこで到着駅のアナウンスが流れる。

『此戸葉行くよ。ほら』

半泣きのわたしに手を差し差し伸べてくれた相葉君。その手にわたしは手を繋ぐ。わたしはとっても幸せものだなぁと感じました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ