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リセットボタン【hack to brain】-13

2014年2月5日-10:00-由紀Side-


『ふぅー煙草はイイネェ』

由紀は研究所で自家栽培をしている煙草を吸っていた。

折月由紀は約10時間前に相葉蔵人をブレインハックマシンで娘の此戸葉の脳に送り込んだ。

ブレインハックマシンのあったところには姿形も何もない。

『さて、脳内世界で相葉君がここに来るまでに完成させないとね』

由紀は煙草を地面に捨て、靴で火を消す。

ブレインハックマシンの代わりに置かれてるのは、パソコン電話のように脳内世界にホログラムを通して、脳内世界と現実世界が繋がり会話できるシステムだ。

これは、私の脳、つまり電子のハードディスクにかかればどんなモノさえ作れると自信を持っている。

由紀は今のハードをこのマシンと繋ぎ、マシンのケーブルを自らのケーブルを差込口に差し込む。

『準備完了っと』

私はこの差し込んだ瞬間気づいた事がある。

『えっ!!現実世界と脳内世界は同じ時間で動いている!!』

私の計算では現実世界と脳内世界は同じ時間で動く事はありえない。脳内世界は現実世界と比べて【遅く】なければいけない。寝ている時、見る夢は現実世界の時間とは異なるため、脳内時間と現実世界が食い違うように、同じ時間で流れると言うはエラーが発生したと言う事だ。

つまり、ボルケーノオーシャンが未来視を手に入れる一年後の2015年2月5日には此戸葉の脳は廃棄処分される。つまり、此戸葉も相葉君も死ぬ、と言う事だ。

けれども、私はどんな状況でさえ対応する携帯もどき、相葉君にその【ADA】を渡した。

これでセーブポイントを作れば記憶を維持した状態で何度も何度もリセット、もしくはループ出来る。

いわゆる【強くてニューゲーム】だ。

その∞携帯を使いこなせば、脳内世界では神に匹敵する能力を得る。まぁ肝心は使いこなせばの話だがな。

『まぁいい。もうじき相葉君はここに来る。』

煙草を吹かして、携帯を操作して、脳内世界にいる相葉君にメールを送る。


2014年2月5日4:02 -蔵人Side


時刻はもう夕方に差し掛かっていた。辺りはやや夕焼けが広がっている。私と此戸葉は1時に電車を乗り継ぎ、新幹線で弁当を買って食べて、磐梯町駅への電車に乗った。

流石に電車は人ごみが多いせいか、お互い疲れ切った様子で無言の時間が暫し、私たちは少しだけ気まずい雰囲気が流れた

『その研究所はどんなとこ?』

此戸葉の唐突な質問で私はたじろいだ。

『此戸葉のお母さんが作った福島県の猫魔ヶ岳にある小さな研究所だよ。東京で此戸葉の事故死について調べてたら、偶然、亡くなってるはずの此戸葉のお母さんと出会って、ビックリして、そこで三年間、此戸葉を助けるため、そこで過ごしたんだよ。』

『わたしのために相葉君は…頑張ってくれたんだね…』

此戸葉の瞳から涙が流れる。私はとっさにハンカチで此戸葉の頬に流れた涙を拭いた。

『変わってないなぁ。どの此戸葉もやっぱり可愛くて泣き虫で、私はね、そこに惚れたんだよ』

『泣き虫じゃないもん。わたしはただ…』

『ただ?』

『ただ、相葉君がここまでしてくれたから泣いたんだもん』

現実世界でも意外なとこで泣いたり、怒ったり、ツンデレ系の女の子だった。その偽物世界でもツンデレだったとはね。

そこで到着駅のアナウンスが流れる。

『此戸葉行くよ。ほら』

半泣きの此戸葉に手を差し伸べる。その手は柔らかくて温かかった。



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