リセットボタン【hack to brain】-10
ボルケーノオーシャン【研究施設地下3階談話室】
『これでキミのナイトは落ちたね』
『おい、汚ねーぞ、囲碁クラウド。なら最凶クイーンで白黒玉を取り巻くってやる。』
真夜中の零時に三人は囲碁VS将棋VSチェスと言う三つのボードゲームを組み合わせたゲーム楽しんでいる。
『結構結構、ふふふ、私の神の一手に敵うかな?ミズキ、そこ動かせば王手だよ』
『オーライ、はい、王手、凶志狼のキングは貰ったよ、ゲームオーバーですよー、凶志狼、残念WWW』
ミズキと呼ばれた女は凶志狼の王手を付く。
次の瞬間、クラウドと呼ばれた男は何やら鞄からフラスコを取り出して、お酒を盤面に振りまく。
『何しやがる酒振りまいてどーすんだ。バカかテメーは』
『燃えて無くなれ』
クラウドはジェットライターで盤面に火をつける。よほどアルコール成分の高い酒なのか、一瞬で駒が燃えていく。そして、その酒を飲みながら不敵な笑顔で笑っている
『ああ……駒が燃える~!!!楽しいねぇ♪』
『笑ってんじゃねえよ』
キレる凶志狼を全員がそれをスルーする。
『クラウドねぇ…なんでも酒を振りまいて燃やすもんじゃないよ。まったくアンタの頭はイカレてるわ』
『それは最高の褒め言葉だ。感謝』
『おい、俺のこの囲碁と将棋とチェス代弁償しろや、骨董屋で10万で仕入れたもんなんだ』
『10万だって(笑)さっきの聞いたクラウド、アンタもイカレてるけど、凶志狼、アンタもかなり思考回路ぶっ飛んでんじゃない。そんなもの100均で売ってるでしょ(笑)』
『五月蠅い。とにかくだ。金よこせや』
クラウドはまたしても鞄を漁る。
『ほい、10万』
それを受け取った凶志狼はその10万の札束を数えながら文句ありげに言った
『・・・・チっ、ならいい。』
『おいおい、チっって何だよ、追加で10万やろうか?』
『んな、問題じゃねえんだよ、このセットはもう廃盤でもう何処にもうってないんだよ』
『ふむ。キミは一度、山奥で修行した方がいいね』
『つか、誰だよこんなイカれたゲーム始めようとしたのはよぉ、クラウドさんよぅ』
『やはり私にはカプチーノよりもお酒の方が性に合うのかもしれない』
『だったら、さっさと10万よこせ』
クラウドと凶志郎の会話がかみ合ってないことを見て、ミズキは大爆笑していた。
『あははははははははははははははははは、何この会話ぁ!全然会話になってないじゃん』
『おい、笑ってんじゃねーよ。ミズキ。』
『戯言だ』
クラウドがお酒を飲み呟いた。
『では、本題に移ろうか?』
クラウドはいきなり真剣な顔つきに変わる。
『私のオリジンがついさっき目覚めた。おそらく奴らの目的は未来視、いや、正確には赤龍打倒の方が正しいかな』
凶志狼もマジな口調に変わる。
『つまり、奴らが赤龍を倒せば、俺たちのデータはこの脳から消えると。』
『そうそう、つまりあいつら殺っちゃえばいいんでしょ?』
ミズキが苦笑いをする
『いや、ただ殺すだけじゃダメだ。奴らの脳をデータドレインしてリアルの受肉を手に入れなければならない』
『あんたのオリジンは相葉だっけ、奴がハックマシンを持ってるんだよな』
『それは間違いない。この映像を見ろ』
クラウドはケータイを凶志狼に見せる。
『何この変な球体。もっと機械染みたマシンの方が面白いのによぉ。』
『でも、凶志狼、アンタのオリジンは使えないわ。奴は受肉を捨て、この世界で変な企業立ち上げて金儲けしてる飛んだバカヤローだわ、殺っちゃうならまずそいつでしょ?』
凶志郎はクラウドから酒を横取りしてがぶ飲み。
『ぐははははははははははははははは、口が燃えるぅぅぅぅぅ、いや、俺の本体はちょっと厄介だ。奴は炎の能力者だ。ハァハァ、口が熱いぜ…。』
『何ソレ、そんな度のきつい酒飲んでんの?(笑)どれどれ、アルコール濃度90%!!!!!これ割って飲むもんじゃない!!!!クラウド、アンタ最高にイカレテルよ。話は戻るが、あいつはただの一般市民の社長さんじゃないの?』
『確か、黒崎家は火の魔術の家系、魔眼ファイヤーエンブレム、つまりパイロキネシス。』
クラウドは全てを知り尽くしてるかのように能力名を明かす。
『うーん、困った。あたしたちは化学集団で対魔術戦には向いてないよ、あっそうだ、赤龍さんに力を貸してくれるかどうか頼んでみない?』
『だが、肝心の赤龍はどこにいるんだ?場所が分からなければ探しようがない』
『俺もそれには同意だ』
暫しの沈黙が流れ、それを破ったのはクラウドだった。
『まぁまぁ二人ともこの作戦はまだ今すぐって訳でもないだろう。まだ夜は長い、ジェンガでもやろう。そうしよう。』
またしても鞄から何でもあるかようにジェンガを取り出す。
『なんでもあるんだな…この鞄には』
凶志狼はそれを物欲しそうだが、すでに疲れ切った顔だった。
『無限鞄だ。』
こうして三人は夜が明けるまで談話室で静かに夜を楽しんでいた。