9;雪
冬も終わりへと近づいてきたというのに、
空は灰色に染まっていた。
雲が覆いかぶさっているせいなのか…。
まるで、これからのことを何か、悟っているかのように。。。
そして、その時は…確実にゆっくりではあるが、近づいていた。
「うわぁ〜。また、雪が降っているよ!!」
友人が窓へと駆け寄り、ガラガラと開けた。
「ううっ、寒っ〜!!」
「見て、見て!!キレイだよぉ」
友人は、私をそっちのけで、窓の外へと腕を伸ばした。
「ん?そーだけど…寒いわ」
「でも、私、もっと近くで見たいの」
「え?」
「ね、外へ行こう!!」
友人は私の手を握り、外へと飛びでていく。
『…良いじゃない。雪、キレイだし』
サヨは、他人事のようにヘラと笑っていう。
確かに、キレイだけど…。寒いのに越したことはなかった。
「ほらっ!!やっぱり〜」
外へと一歩でれば、辺りは真っ白。
空を見上げれば、雪が止む気配もなく、降り続けている。
「ほんと…きれぇ」
白い吐息が妙に、切なさを増させていく。
そっと、手を前へと差し出す。
雪はヒラヒラと舞っていく。
私の手へゆっくりと降りてきた。
スーと、手の平の温もりで雪が溶けていく。
「あっ…」
「呆気ないものね」
サエは、手の平で溶けた、雪だったものを見つめ、ふ、と笑みを零した。
『そうかしら?』「えっ?」