6;忘れ物
あれから…サヨの声が聞こえるようになってから…どれくらい経ったんだろう。
両親よりも―
先生よりも―
友達よりも―
サヨと一緒の時間のほうが多くなった。
まぁ、私の頭の中にいるんだものね。
そして、それが原因か、はたまた全く違うことのせいか、とにかく私の中でサヨの存在がでかくなった。
「サヨ、今日も静かにしててね」
『はい、はぁ〜い』
「ママいってくるねぇ」
玄関でいつものように声をあげた。
『あ、ちょ、ちょっと待った!!ア、アレ忘れてるわよ』
「…アレって?」
『アレよ!!アレ!!えっと、ご飯…?』
「あ、あぁ!!お弁当ね。でも、なんで疑問文…」
サヤは一旦、靴を脱ぎリビングまで走った。
弁当を片手にし、また靴をはく。
「次こそ、いってきまぁ〜す」
『……』
「まだまだ、余裕ね」
『………』
家から何メートルはなれたところなのか、サヨは急に黙り続けた。
学校に多少、近いせいもあるかもしれないが…。
……何かがおかしい……
「サヨ?」
『なぁ…』
「な、なに?」
『今日は確か、体育とかあうのがあったような』
「え、うそ!?」
『…なかったような』
「どっちよ!?」
『あ、あった!!…たぶん』
「…はぁ〜」
回れ右をし、家へと猛ダッシュで向かう。
「な、んで、もっと早く言ってくれなかったの?」
『そうね、強いて言うならば…今まで考えてたの』
「あの、ね、ちょっとでも、可能性があるなら…早く言って…」
途切れ途切れに、喋っているが、これこそ体力の消費の原因だ。