17;別れ
「サヨっ、ありがとぉ…私の、私の中にきてくれて…一生、忘れない」
『もう…お別れみたいね。早いわ……どうして、別れって、こんなに早く感じるのかしら―…」
腕を精一杯、空に伸ばした。
『あぁ…本当に幸せ。これから、空からみてるから…サエのこと…』
「私の声、きっと…届くよね。サヨに…サヨに…届くよね?」
『届くよ…きっと』
『あぁ…願わくば、この広大な空に…なりたい…。サヨを空からぁ、見守りたいっ…』
「ありがとぉ…サヨ…」
『私のほうこそ、ありがとう…』
そう言った瞬間、サヨの体は発光し、消えつつあった。
きっと、これが…最後の言葉になるでしょう。
きっと、これで逢うのも最後となるでしょう。
「私の相棒…サヨ。これからも、ずっと、一緒だよ」
『うんっ…』
サヨの体はスーと、色が薄くなっていった。
そして、ふわっ、という風と共に、サヨの姿は消えてしまった。
空へと向かい。
風の揺りかごにのり。
さようなら。
私の最初で最後の相棒…サヨ。
親友よりも‐…
…強い、絆。
サヨが居た場所には、桜が舞って、積もっていた。
はたかも、そこに、まだ、サヨがいるかのように。
そして、またぶわっ、という風と共に、広大な空へと桜が舞う。
それは、桜の交響曲のようだった。
空を見上げれば、サヨが笑って、見守ってるかのような、青空が続いていた。
そして、宙には、桜がひらひらと舞っている。
それは、あの冬の雪のようにキレイで可憐なものだった…。