過去
『サエ…私が、自分の過去を知ってる、と言ったの覚えてる?』
「う、うん」
『私はね…何百年前かは忘れたけど、と、ある町の村人だったの。そこは、とても平和で…豊かではなかったけど、人々が温かい心の持ち主だったの。そして、それから、何年も平和だったの』
「平和…だったって…」
私が、そう言うとコクリと頷き、また口を開いた。
『そう…。何時の日か、作物は枯れ、病が流行りだした…。そして、何処からか得体の知らない噂までもが、流れてきたの。…この町がこうなったのは、魔女達のせいだ、って』
「ま、魔女!?」
『驚くのも無理ないわ。今の世の中に、魔女を信じてる人なんて、そうそう、いないもの』
『その噂と共に、“魔女狩り”が行なわれた。でも、それは名だけ…作物や病と魔女は無関係なの。だから、魔女なんているわけがなかったのに……少しでも、怪しい行動をすれば、直ぐ様、魔女と決め付けられた。そして…私も、その一人』
うそ。。。
サヨに魔女の疑い?
何かの間違えよ。
『魔女狩りで捕まった子は、次々と火あぶりにされていった。私は、それを毎日腐る程、見てきて…気が付いたら、恐怖のあまり、逃げてたの。だけど、結局、殺されて……』
「そんなっ、ひどい…。でも、なんで、今、サヨは私の中にいるの?」
『私と…サエがどこか共通してたから…かもね』
「…共通―――?」
『この世界は、いつも一つなのよ。きっと』