13;桜
今年も…桜は満開だった。
ひらひら、と舞ってくる桜は可憐だった。
雪のようだ。
「サヨ、知ってた?」
『何が?』
「あのね、舞ってる桜を両手でつかまえて、お願い事をすると叶うって!!」
『ジンクスでしょ?で、何をお願いするの?』
「えっと〜先輩と…」
『また、先輩?アンタ、先輩のことしか頭にないの?』
「いいのっ」
『止めときなよ。きっと、苦しいだけだよ』
わかってた。
手が届かない人だって。
桜が掴めた時点で、私が一歩踏み出さなくちゃ意味がないのも。
『サエ…あのね』
「あ、先輩よ!!すっごい、偶然!!」
サエは足を止め、先輩の方を凝視した。
「…女の人と歩いてる」
「……彼……女……?」
もう、一度。
先輩の方を見てみる。
確かに、女の人と歩いてる。
手を繋いでる。
そして…抱き合っていた。
「あは、やっぱり、彼女いたんだ…でも、お似合いだな」
嫌だ、いやだ、イヤだ!!お似合いだから見たくない。
私が惨めになる!!
「ふふ、彼女、可愛いかったなぁ」
足がゆっくりとであるが、後退り出来た。
「……っ」
サエは走った。
途中、何人もの生徒の肩に打つかった。
桜の並木道も、終わりに近づいていた頃になり、ゆっくりと歩くのを止めた。
「はぁはぁ、はぁ」
息を洩らし、呼吸を整えた。
『サエっ、危ないっ!!』
私の耳に入ったのは、サヨのその声と、甲高いブレーキ音、それに…鈍い音。
――――ドン。