第4話 夢(後半)
あそこで少し休むか
ベンチに腰をかけて息を整える
袖を捲って背もたれにもたれかかる
目に入ってきたのは一面の緑と申し訳程度のピンク
背景の青空と相まって葉桜の鮮やかな緑がより一層力強く感じる
こうやって見るともうすぐ夏だなって感じる
何分くらい経っただろうか
気づけば少し寝ていたようだ
「――っいさん、お兄さん、大丈夫ですか」
目を開けたら黒髪の女性がいた
「ん、、ああ、すみません少し寝てしまって」
「ああ、なら大丈夫ですけど、、、」
とまだ心配した様子で続ける
「お兄さん結構うなされてなしたよ、なにかあったんですか?」
そう言う彼女は俺よりずっと大人に見えた
片足をベンチに乗せつつ、のぞき込む様に顔色を伺っていた
目鼻立ちの整った顔で、左の目元にほくろがあるところがまさに可愛さとかっこよさが合わさっている、、、
と言うと少し気色悪いが、とにかくモデルの様に美しかった
って、まず俺はまだお兄さんって年齢じゃないじゃん
まずそこから訂正していくかと思って
「えっと、、俺はまだ中学生で、、」
と言いかけたら
「中学生!?私と同じじゃん!何年生?」
と食い気味に聞き返された
というか、さっきのキャラどこ行った
「3年です、、」
「じゃあ同学年だね!じゃあ今日は休みとか?」
「俺、今学校行ってないんですよね」
「じゃあ、私と一緒だね!」
いや、近い近い近い
どんどん近づいてくるから少し距離を取ると彼女はすぐ間を埋めてくる
と、思ったらすぐ起き上がりそっと溜息をついて
「あのね、私はね、将来の夢も無くてさ、、」
さっきの無邪気さから一転して呟くように続ける
「じゃあ、今やりたいことをいっぱいやろーって思ってね、、
ごめん、初めて話が合いそうな人見つけて浮かれちゃった、、」
そう言った彼女はこちらを向いて
「ねえ、少年A、君は将来何をしたいの?」
突然の問いかけに混乱しつつ質問の意味を考える
いや、意味は分かっているんだ
だが、この問いに対する回答が無い
俺が悩むのをみて、彼女は言う
「君に何があったかは分からない
だけど、どんな挫折があろうとも、君の人生はこれからのほうがずっと長い」
何かを悟ったような目、同じ不登校の人とは到底思えない
「って、ドラマの受け売りなんだけどね〜」
と、彼女は話をまとめた
唐突に何だったんだと想いつつ、頭の中でさっきの問いが何度も何度も反響して
気づいたら、
「高校に行きたい」
、そう言っていた
すると
「高校!?めっちゃ良いじゃん」
彼女は「じゃあさ、」と続ける
「一緒にあそこの高校行こうよ!」
彼女が指したのは道を挟んで向こうにあるベージュの校舎
西咲岳高校――市内ではトップクラスの高校だ
もともとの第1志望校で、それに向けて勉強してきた
だが、
「いや、無理だよ」
出来るだけ明るく返す
本当は行きたい
けど、今更もう一度そこを目指すのは遅すぎだ
「そんなことないよ!」
彼女の声にふと視線を上げる
「もう結果が決まったわけじゃないし、今から頑張れば絶対受かるよ」
「でも、、――」
――そんなに現実は甘くない、と言いそうになったのを飲み込んだ
目に写ったのは自信有りげな美しい笑顔だった
なぜか、彼女ならやり遂げそうに感じた
否定も肯定もしない俺をみて彼女は話を変える
「まあ、そんなことは置いておいてさ、君、名前は?」
「えっと、、桐谷遥輝」
「遥輝君か〜、いい名前だね」
なぜかしみじみとした表情を浮かべている
そしてふと、こちらを見て、
「っ!てか、遥輝君顔にすっごい汗かいているよ
そこに蛇口があるから水で冷やしてきなよ」
「ああ、本当だ、ちょっと行ってくるわ」
日差しも強くなってきて熱も籠ってきたから言われた通り頭から水を被る
軽く水を切ってベンチに戻る
「あれ?ハンカチは?」
「いや、ないから自然乾燥でいいよ」
「だめだよ、ほらハンカチ貸してあげるから」
「でも、汚れちゃうから申し訳ないよ」
「そう言われてもねぇ、、」
と、少し彼女は考えてから、ニッと笑みを向けて
「じゃあ、高校生になったら返しに来てよ」
と言って俺を顔に向かってハンカチを投げた
宙を舞うハンカチは風の抵抗で広がって顔に直撃した
顔の水滴でハンカチがくっついて前が見えない
急いで外したときにはもう彼女の姿は見えなかった
えぇ、、
そんなのありかよーーーーー
―――――――――
そんで、今の俺がいるってわけ
、と言っても高校に入ったらどんどん落ちぶれちゃったけどね、と自嘲しつつ、時計を見るともう正午を過ぎていた
スマホを見ると篠崎からの着信と樹たちからの通知で3桁を超えていた
もっとも、樹たちのスタ連が大半を占めるが、、
今更だが、一応篠崎に連絡を入れて、昨日分の風呂に入った
風呂から出てもやる気が起きずただ、窓から見える桜を眺めていた
ふと、スマホをつけると新着の通知が来ていることに気づいた
ロインを開こうとパスワードを入れてると今度は下の階でインターホンが鳴る
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