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真珠の人魚の王子の愛の深さは海より深く血よりも赤い

作者: ねねこ

純愛とヤンデレとほのぼのは混立できるのかなと思いながら書いた。

 目の前にいる美しい人のリードに何とかついていく。なんとか脚を踏ん張って耐えているアリアに、真珠色の騎士の正装を纏った青年が手を優しく握りしめて囁く。

「大丈夫。僕に任せて」

「……はい」

 まるで海の中でたゆたうようにダンスをリードされ、アリアは心の中で大きくため息をついた。

(重いよー。早く外したいよー)

 うっとりするような視線が集まっているが、アリアが考えているのはとにかく早くこのティアラを早く外したいと言うことだけだった。



 彼と彼女の出会いは海だった。

少々おてんば、もとい元気すぎるアリアは、10才の時に初めて海を訪れた。

どこまでも続くあまりにも雄大な海に興奮して、うっかり船から落ちてしまい、その時助けてくれたのが人魚国の少年だった。

真珠色の髪に、海のように青い瞳。そして尾も美しい真珠色だった。

 お礼を、という父に

「では、お嬢さんを僕のお嫁さんにください」

と頭を下げ、人魚国はこの国の友好国ということもあり、父は喜んで承諾した。

 アリアが事の次第を知ったのは家に帰ってからで、父にどういうことですか!と詰め寄るが相手が人魚国の王子であったことを聞き、頭を抱えることになった。

 人魚国はこの国の友好国の一つで、海を制する海洋国でもある。

海の資源も力も思いのままの彼の国に、弱小国家のたかが男爵程度がどう抵抗できようか。

できれば忘れてくれないかとアリアは祈ったが、早速翌日には「贈り物」としてアリアの家に人魚国の王子、トゥーラから山のような真珠が届いた。

 真珠は、人魚国の特産で世界中から取引を熱望されているものだ。すぐに事態は王宮にも告げられ、アリアは社交界デビューもまだだと言うのに、王宮に呼ばれることになった。

正式な申し入れがあった以上、返事をせねばならぬ、もちろん了承で、ということで怒濤の勢いでアリアはトゥーラの婚約者となった。

 まあでも人魚だし、脚がないのなら陸で会うこともないだろう、王子様はきっと海で溺れるようなおかしな令嬢を面白がっただけなのだ、数年もすれば自然に婚約解消もできるだろう、と一度は立ち直ったのだが、それから何度か海を訪れることになり、そのたびに会ったが「今日は天気がいいねぇ」「これ、沈んでた海賊船で見つけたんだ」といつもにこにこのんびりしたトゥーラと付き合ううちに、それなりに婚約者としての情も沸いてきた。

「今、自分で真珠を育てているんだ」

「真珠をですか?」

「うん。綺麗にできたらアリアにあげるね」

トゥーラからの約束に何故かとてもときめいたことを覚えてる。

 そしてアリアが国の学園に入学した16歳の時、トゥーラも入学してきた。留学、という名目でもちろん、自分の脚で。



「アリア、これおいしいねぇ」

「……ですねぇ」

 ここは、学園の応接室だ。

トゥーラがアリアを呼んでいる、と教室に迎えが来た時のざわめきから早々に逃げてきたのだが、明日以降が怖い。

トゥーラはアリアの好きなお菓子をたっぷり用意してくれていたので、文句は飲み込んだけれど。

 しばらく会わないうちに、ますます美しくなったが、のほほんとした間の抜けた空気は濃くなったんじゃないだろうか。

入学式で留学生としてあいさつした時は少し凛々しく見えたのだけど、こうして二人になると、やっぱりアリアの知っているトゥーラだった。

「トゥーラ様」

「だめ」

「え?」

「二人の時はトゥーラって呼んでくれる約束でしょ?」

 約束と言うか、呼び捨てにしないと口きかないと拗ねるから仕方なくなのだが。

不敬罪で首が飛ばない様にだけしてください、と念押しはしたけれど。

「トゥーラ、今日はびっくりしました」

「ふふ、内緒にしてたからねぇ。アリアのびっくりした顔を見られただけで入学して大正解」

「内緒にしてたのはいいですけど。あの、脚どうしたんです?つけたんですか?」

「つけてないよ!これは僕の脚だってば」

ぽん、と太ももを叩いてみせる。あーこれを自慢したかったのかと笑顔を見てすぐに分かるのはもうそれなりに長い付き合いだからだ。


「魔女に尾を足にする薬でももらったんですか?」

「違う違う」

「じゃあどうして?」

「アリアとダンスを踊るためだよ」


 いや答えになってませんが?というツッコミは疲れるのでやめにしようと思い、代わりにクッキーを口にする。

「これも美味しい」

「うん、アリアに気に入ってもらえるように美味しいの集めたからね」

「はあ、じゃあこれからは毎日美味しいお菓子食べられます?」

「もちろん。アリアに毎日美味しいお菓子持っていくよ」

「やっぱり毎日は困ります。ドレスが入らなくなったらお母さまに叱られるので」

「うーん……」

トゥーラがおもむろに立ち上がると、アリアに歩み寄りひょい、と抱き上げる。

「ちょ!?いきなり何するんですか!?」

「大丈夫、軽い軽い。僕が抱き上げられるうちはいっぱい食べても大丈夫だよー」

「おろしてください!ここ学校ですよ!」

「誰もいないのに?」

「誰もいなくてもです!」

仕方ないなー、と呟いて下ろされたアリアは眉を寄せて、トゥーラに指を突きつける。

「トゥーラ。あなたはお国元の留学生としてここに入学したのでしょう?だったら、留学生として、国に恥ずかしくないように振る舞ってくださいな」

「……疲れるのになぁ」

「それでもです」

「アリアも、僕にきちんとしてほしいってこと?」

「はい。ついでに学園内では私を特別扱いしないで下さい。ここでは私も一人の生徒なのです」

「分かった」

 本当にできるのか?と思ったアリアだったが、それからのトゥーラは見事だった。

のほほんとした本性を見事に王子様スマイルで隠し、のほほん、が物静かで高貴、という評判になるのを見てアリアは感心したものだ。

 アリア自身も、トゥーラの婚約者として振る舞ってきた年月がそれなりに長かったから、猫かぶりはお得意で、学園では物静かでおとなしい令嬢としての評判を確立した。

 早々にアリアがトゥーラの婚約者であることはバレたのだが(というより先生方から学園中に知らされた)アリア本人が「まだ婚約中ですので、先の事は決まっていなくて……」とはにかんで言う態度と(本人はあまり騒ぎ立てられたくないだけである)トゥーラ自身がアリアに学園では特別な扱いをしなかったことで、割と平和な学園生活であった。


 

「分からないんだよね……」

 一年後、進級パーティを控えた前夜、アリアは幼いころから一緒にいる侍女がトゥーラからの贈り物だと言うドレスを持ってきてくれたところでとうとう長年の疑問を口にした。

「何がですか、アリア様」

「いや、トゥーラが」

「ちなみにトゥーラ様の何がアリア様には疑問なんですか?」

「トゥーラは私の何がそんなに気に入って長年婚約してるのかなって。さすがにそろそろ破棄されるかと思ってたんだけど」

「……アリアお嬢様、それ本気でおっしゃってます?」

「本気だけど?」

「はあ……。トゥーラ様もお可哀想に……」

「え?え?」

「まあまだまだ先は長いことですし……。それよりアリア様、早くお休みになってくださいな。明日は朝から準備が忙しいですよ」

「はぁい」

 どうやら答えは得られないらしいと分かったアリアは早々に床に就いた。

元々あまり深く考える性質ではないのだ。

 侍女からすれば、のほほんとした王子様と、鈍感なお嬢様は割とお似合いだとずっと思っているけれど。



「……これ、重い。いや重すぎない?頭重い。ドレスも重い……」

 ドレスにもティアラにもこれでもかと真珠を散りばめられ、ぶっちゃけ重い。綺麗な分だけ重い。せめて靴だけでもと思ったが、靴にも真珠が敷き詰められていて、踊ってるうちに真珠が落ちてしまうのではないだろうか?

「アリア」

控室に入ってきたトゥーラがアリアを見て嬉しそうに笑う。

「わぁ、似合うねぇ」

「……すごく重いんですが。首に力入って痛いんですが」

「パーティの間だけ頑張ってよ。今日は君を僕がエスコートするんだから」

今日は、進級のお祝いパーティということで、学園側、トゥーラはもちろん、アリアの家も気合いを入れて準備に協力したのだ。

ただ、あまりにもこれは苦しい。

「せめてティアラを外したいんですが」

「一曲踊った後ならいいよ。そのティアラは新しく作らせたものだから、どうしても君に着けてもらってお披露目する必要があるからね」」

「ほんとに?外していい?」

「うん」

ならいいか、とアリアは肩と首に力を入れた。

「では行きましょうか、アリア嬢」

「はい、トゥーラ様」

 きっちり余所行きの顔を作って、控室を出るとトゥーラがアリアが歩きにくくないようにリードしてパーティ会場へと向かう。

廊下ですれ違う招待客たち、生徒たちの見惚れる様な視線をすり抜けて会場に入ると騒めきが二人に集中した。

「……目立つね」

「当然でしょう。あなたは王子様なんですから」

「うーん、アリアが綺麗だからじゃない?」

「ドレスとティアラは綺麗ですけど」

「はあ、アリアはほんとに綺麗なんだけどなぁ」

「十人並です。さ、それより一曲踊りましょう。そろそろ私の首が限界です」

「うん。あはは、一緒に踊るの初めてだね」

「まあ今までそんな機会もありませんでしたから……。あの、先に申し上げておきますが、私ダンスは下手ですので」

「でも今日のために練習はしてくれたでしょ?」

「バレてました?」

「君は負けず嫌いだから」

 会場の真ん中へ導かれるようにして進むと、トゥーラがアリアの手を取る。

華やかな音楽が始まり、トゥーラに腰を支えられ軽いリードでダンスを踊る。

(うん、楽に踊れる)

トゥーラのリードは申し分のないもので、ティアラとドレスの重さも忘れそうだ。

 優しく微笑みながらリードしてくれるトゥーラを見て、あーもう長い付き合いになったなぁ、あの時溺れなかったらこんなことにはならなかっただろうなぁ、としみじみ想いを馳せる。

 アリアはトゥーラが嫌いではない。

だが、愛しているかと言われれば分からない。

何というか腐れ縁というか、ほうっておけないというか、そういった感情のほうが濃い。


手を合わせて、体を合わせて、笑みを誰よりも近くに見て心を重ねるように踊る。

踊る。

初めて二人で踊る。


とても心地良い。


今なら聞ける気がして、アリアは真っ直ぐにトゥーラを見た。

「ねえトゥーラ」

「ん?」

小声は音楽に紛れて誰にも聞こえない。

「……すごく今更だけど、なんで私と婚約したんです?」

「ほんとに今更だね」

「だって婚約自体唐突だったですから」

「ふふ、そうだね。もう言ってもいいかな」


これは初めてのダンスと初めての告白。


「溺れる君を見つけた時、びっくりした。天使が海に落ちてきたのかと思った」

「え?」

「天使じゃなくて人間だ、ってすぐに気づいて急いで引き上げた。幸い、水も飲んでなかった君は怪我もなかったしすぐに気づいたね」

「びっくりしました。もちろん人魚国のことは教えられて知っていたけど、本物の人魚に会ったのは初めてだったから」

「あのね、僕はあの時君に一目ぼれしたんだ」

「はい?」

 あまりに予想してなかった言葉にきょとんとしてしまう。

脚も手も止まったが、トゥーラのリードでちゃんと踊れている。

「だから、あの場で僕のお嫁さんにください、って君の父上にお願いしちゃった」

「お、お願いしちゃったって……すみません、私、一目惚れされるような容姿でもなかったと思うんですが」

「容姿で一目惚れしたわけじゃないよ。魂っていうのかな。あ、この子だ、って思ったんだ」

「……トゥーラってひょっとして私の事かなり好きなんですか?」

「それこそ今更でしょ、アリア」


いや本当に知らなかったです。

一応婚約者なので、それなりに仲良くしてきたけど、そういう熱は感じなかったというか。


「僕ももうちょっとのんびりいこうと思ってたんだけど、脚が変化した時、やっとかぁって思ったんだ」

「やっとって?」

「人魚が人間の脚を得るには、愛した人に愛されることが必要なんだ」

「え、えと……?」

「あーやっとアリアが僕のこと愛してくれたんだぁ、って分かったら嬉しくて、どうしてもこの脚でアリアに会いに行きたかったし、今まで一緒に過ごせなかった分、一緒にいたかった。学園で一緒に過ごしたこの一年はとても楽しかったよ。アリアは?」

「……お菓子美味しかったから」

「あはは、じゃあ明日からも美味しいお菓子用意しなきゃ」


……それでいいのか?と思ったけれど、これがトゥーラ曰く愛の力だと言うのなら、もう少し頑張ってみてもいいのかもしれない。


「トゥーラ」

「ん?」

「私はまだトゥーラを愛してませんよ?」

「でも僕の脚は変化したよ?」

「だとしたら、どうやらまだ私の自覚が足りてないってことなのでしょう。だから、私に頑張ってあなたへの愛を自覚させてくださいな?」



曲がそろそろ終わる。

初めてのダンスと初めての告白が終わる。



「……そんなにあなたが私を好きだなんて、今日まで知りませんでしたから」

「……みたいだね。じゃあ今日からもっと頑張ります」

「ふふ、私も頑張ってみますね。私、あなたのことは大好きですけど、もっと頑張って好きになっていけそうです」


 深い熱でなくてもいい。

 じんわりとした温かなものでいいのかもしれない。

 この海のような瞳に見つめられることの心地良さは、もうきちんと知っているから。


「さあ、もうこれ外してもいですよね?」

 ティアラが重くて、本気で首がもげそうだ。

「ああ、いいよ。一度控室に戻ろうか?」

「一人で戻れます。ここにはあなたにご挨拶したい方がたくさんいるんですから、私は1人で大丈夫です」

「……それを外したら、早めに戻ってきてね」

「はい。私もあなたの婚約者として、ご挨拶が待ってますから」

 お辞儀をして広間を辞すると廊下を歩いて控室へ向かう。

 控室で待機していた侍女に頼んでティアラを外すと一気に首と肩と頭が軽くなり、腕を回して先ほどまでの重みから解放されたことを実感する。

「アリアお嬢様。急いで広間へ戻らないと」

「分かってるって。この後はご挨拶が待ってるもの。でもお茶の一杯くらいはいいでしょう?」

「きっとそうおっしゃると、トゥーラ様に仰せつかって、お茶とお菓子の用意はこちらに」

「トゥーラが?」

「はい。さすがですね。お嬢様が戻る前に一息つきたい気持ちを理解してくださってます」

 楽になった肩と首を実感しながらお茶とお菓子をいただき、トゥーラの気遣いをありがたく思う。

 早めに戻ってきてほしいと言いながら、こうして体調と気持ちを気遣ってくれる婚約者でありがたい。

「よし、美味しかった。戻ろうかな」

「あ、お待ちください、お嬢さま」

 侍女がティアラを外したアリアの髪に、赤い真珠の髪飾りをつけてくれる。

「トゥーラ様がこれなら重くないだろうからと、お預かりしてました」

「うん、重くないし綺麗。ありがとう」

 小さな赤い真珠が幾つも房になったような花を模した髪飾りはとても髪に映えて眩しいくらいだ。

「海の向こうの国の花を模した髪飾りだそうですよ」

「こんなたくさんの房になるような赤い花があるのね。見てみたいわ」

「トゥーラ様に願えば叶えてくださるのでは?」

「おそらくね」


 きっとトゥーラなら腕いっぱいの花束をくれるのだろう。


「私の婚約者様は私のことが好きすぎるわね」

「お嬢様だってトゥーラ様のことが大好きなのでしょう?」


 そう、いまさら否定もできない。


「愛とか恋とかよくわからない。でもトゥーラは私を世界一大事にしてくれるってことは信じられるわ」




 広間に戻ると、人に囲まれてたトゥーラが即座にアリアを見つけ歩み寄ってきた。

「アリア!」

「遅くなりました、トゥーラ様」

「いや、全然大丈夫だよ。それよりその髪飾りつけてくれたんだね、思った通りだ、赤真珠がアリアにはよく似合う」

「こんな色の真珠初めて見ました」

「とても貴重なものでね。でもどうしてもアリアの髪をスグリの実に見立てた赤い真珠で飾りたくて、何年もかけて集めたんだ」

「花ではなくて果実なのですか?」

「ああ。酸っぱいけれど、砂糖で加工したらとても美味しいジャムになるんだ」

「へえ、興味あります。そのジャムでクッキー作ったら美味しそう」

「アリアが興味があるのならさっそく取り寄せようか。それとも新婚旅行で、その国に行ってみる?」

「私、異国には行ったことがないのでぜひ」

「ではそうしよう。卒業後に結婚式をしたら異国においしいものをたくさん食べに行こうね」

「はい」


 卒業後はアリアはトゥーラの花嫁になるが、海の底で暮らすことはできないので、基本的にはこの国で一代限りの爵位を得て外交官の仕事をして暮らしていく予定だ。トゥーラは王位継承権を弟に譲り、アリアと地上で暮らす。

 だけど結婚式だけはあちらの流儀に従う必要があるため、かの国のことはいろいろ勉強中だ。

 トゥーラはアリアの髪に揺れる赤い真珠の髪飾りを見つめながら、この先の未来に想いを馳せる。



 あの日、海に落ちてきたアリアを見て、天使が落ちて来たのだと本気で思った。

 一目ぼれしたその天使と結ばれるためにありとあらゆる手段を用い、相手の国の国王にねじこんで婚約に持ち込んだ。

 そのために、アリアの国だから、と言う理由だけでずいぶんと優遇もした。

 人魚の恋は海より深く一途なのだ。


(絶対にはなれないからね)


 この足が人間のモノになった時の歓喜をトゥーラはきっと生涯覚えているだろう。

 人間に恋をしたら、恋をした相手に愛されないと足はもらえないという言い伝え通りだった。つまり自分はアリアに愛されたのだと。

 アリアに愛を返さなければ、と考え、何年もかけて赤い真珠を集めた。

 遠い国の赤い果実を模した髪飾りを作るために。それを選んだのは、スグリの実の花ことばが刺さったからだ。



 あなたに嫌われたら私は死にます



 文字通り、アリアに嫌われたら死んでしまうであろうこの恋の深み。

 こんな想いをアリアに見せる気はないけれど、少しだけ、ほんの少しだけ、アリアをこの深い恋の色で飾りたくて彼女の髪を赤い真珠で飾った。




 そして卒業後、結婚した2人はいつまでも仲睦まじく暮らしました、と人魚の国では言い伝えられるおとぎ話になった。



 終

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