第二十二章2 【アンサー・クリエイト/第10席戦4】2/応援・激励に来た者達2
続けて訪ねてきたのはまた意外な人物だった。
いや、人物かどうかは解らない。
彼は人間では無いのだから。
その名は、【内田 愛幸】。
彼もまた、【稜翔】と同じく、【芳一】も参加した第5回から第7回共同の【覇王杯/オーバーロード・カップ】の逆転参戦方式に参加し、【第10席戦】の【ショット・ストライクチーム】と【ドクター・クレイジーチーム】には参加していない。
彼は、【覇王杯/オーバーロード・カップ】の逆転参戦方式において、【神魔】となった存在の元の人間の血と汗と涙の結晶体である【内田 愛幸】ではなく、【ジャンデ】と呼ばれる怪物が成り代わった存在だと言うのが解っている。
一度退治されかけて復活した【ニュージャンデ】とも言える【新しい身体】の特徴は、【自分化】である。
仲間となった者は心が浸食され、やがて、【ジャンデ自身】になると言う特徴を持っているが、そのため、彼は【栄光主】達などから追われる立場になってしまった。
そのため、【覇王/オーバーロード】としての戦いから脱落する事になってしまったのだ。
【覇王】になれば、自分の正体を隠して仲間を増やせると思っていたが、見事に目論見が外れた状態になって行方不明となっていたが、【芳一】の前に出て来た。
【内田 愛幸/ジャンデ】は、
『やぁ・・・。
おいら、ちょっと、君に逢いに来たよ。
君達の事が気になったんでね』
と言ってきた。
【芳一】は、
「えと・・・何のご用でしょう?」
と聞くと、
『君は面白い話を作る才能に溢れている。
だからおいらの好む話を色々と作って貰えるかもしれないと思って【リクエスト】を色々書いて来たんだよ。
暇があったら短編でも作って欲しいと思っているんだけど、駄目かい?
おいらは追われる立場になったんでね。
逃亡先で読ませてもらおうと思ってね。
駄目かい?』
「いや・・・今ですか?
今、やらなくちゃ駄目なんすか?」
『いや・・・会話のきっかけが欲しかったんだ。
君は人を引き寄せる才能がある。
何かを頑張っている時、人がそれに群がる。
おいらもそれにあやかりたいと思ってね。
ちょっときっかけを探してたんだけど、やっぱり無理があったか。
今、やらなくてゃならないと言う質問にはイエスだ。
おいらには時間が無いし、君にもこんな時じゃないとおいらのためには時間は作れない。
息抜きのためでも良い。
何かおいらと話をしてくれ。
女の子以外で興味を持ったのは君が初めてなんだ。
だから、頼むよ』
と言う話になった。
そう言う事を言われるとまんざら嫌でもない【芳一】は、
「じゃあ、僕が既に作った小説のリストを送りますよ。
それを逃亡先で読むなりなんなりしてください。
今の僕にはちょっと心配事があって考える余裕がないです。
それで良いですか?」
『あぁ、それでかまわない。
おいらは君と知り合えたと言う事を希望としたかった。
悪かったね。
邪魔しちゃって』
「いえ・・・僕に好意を持ってくれると言うのであれば、邪魔ではないと思います。
こちらこそ、上手く対応出来なくてごめんなさい。
いつか落ち着いたら貴方のために時間を取りますよ。
連絡先とか交換しますか?」
『してくれるのかい?』
「良いですよ。
でも面倒事はごめんですからね。
自分の事は自分で解決してください」
『あぁ、そうだね』
と言う話になって、連絡先を交換して別れたのだった。




