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黄泉縁〜咎が縁を結ぶ〜  作者: 紡縁永遠
一章怪奇休夏縁〜壹❛死神の神隠〜
3/28

夏黄泉の島、怪縁

 終業式が終わり、港で待ち合わせをしている傀偽。と言っても彼はする必要がないのだが。

 彼を邪険にはするがそれでも集まる者達。


 「ちょっといいかい」

 「何ですか?」


 どこか知っている気配と魂に気を張る傀偽、人数はアズミーとクラスの二人、それと気になる気配を持った大人が二人


 「もしかして君、黄泉くんか?」

 「えっと」


 見えない傀偽には男性的な声が響いただろう、それでも聞き覚えのない声に質問をする。


 「流石に忘れてるか、ligerion(リゲリオン)・Pecteracだ、こっちが」

 「久愛(ひさめ)・ペクテラック、思い出したかな?」

 「……ああ、すみません気配と声だけじゃわかりませんでした」

 「いや、こっちも配慮が足らなかった、別れた時が十年も前だ、忘れている可能性のほうが高い」


 アズミーの親で仕事もそれなりに上の地位を獲得しているリゲリオンとその妻の久美。傀偽は二人には頭が上がらない。なぜなら己のせいで失明させてしまい、償おうとしたが眼の移植も反対していた。そして移植してからは謝ってくるばかり。二人の責任ではないのに自身の責任のように感じさせてしまっているから。


 「やはり眼が合わないな、」

 「すいません」

 「いや、いい目が見えない者に合わせろも理不尽だしな」

 「えっ!?」


 高校には教師しか失明したことを知らない、そのため事情を知らないから余計に避けられる。説明を任せて一歩下がる傀偽。


 「えっとじゃあアズミーが今見えてるのは」

 「うん、傀偽のおかげだね」

 「そっ…か」

 『これで少しは邪険にされないといいが、』


 邪険にされるのが少なくなるといいと考える傀偽、それでも染みついた雰囲気は簡単には拭えないと、現実をよく見る彼は楽観視はしていなかった。

 挨拶を終わらせてから船に乗り込む一同。三ケ月乗ったきりだが彼は船の方に顔を覚えられているた。



―――



 「ここが夏黄泉の島」

 「宿はこっちだ」


 久しぶりの島と言っても三ケ月、見た目は分からないが楽しみながら進んでいく傀偽。田舎なので知っている人は島の住民が九割だ。

 進んで往くとそれなりに発展した場所に出る。目が見えなくても、進めるのは慣れもあるだろう。

 宿に到着する。久しぶりに帰ってきた傀偽は我が家の変わらない空気を感じる。


 「ただいま、親父」

 「おう、着替えは部屋にあるが、先に案内しておけ、最奥の四人部屋とその反対の二人部屋だ」

 「わかった、えっと、こっちです」


 帰宅早々家の仕事を始める。案内を終わらせて着るのは島の住民の叡智の結晶ともいえる着物。

 背中に赤い糸で四つの花を結ぶような施しをされた物で宿の名前、『結縁庵(ゆいえんあん)』と、宿の四方に植えられた椿(つばき)(えのき)(ひさぎ)(ひいらぎ)の木がもととなっている。


 「ねえ、ここのスポットは?」

 「海があるが今日はなしだ移動でもう三時だからな」


 アズミーについてきた二人はまだ傀偽にあたりか強い。それでもしっかりと質問には答える。問題は起こしたくないためか、少し早めに切り上げている。

 不満は募るだろうが、友の死を間近で見た傀偽からすると心配などが勝つ

 何より、島の怪異は彼が対処しているから、面倒事は増やしたくないというのも理由だ。


 「十八時には夕食が運ばれるから、部屋にいろよ」

 「わかったわよ」


 宿のバイトとして入ってくる客を捌きながら今後を考える傀偽。夏休みのほとんどをこの島に使えるが。彼は、ほぼ不干渉を貫くと決めていた。

 そのまま十八時まで、宿の仕事をする。十八時半に、自身の飯を食べ、十九時から、温泉の案内をする。二十一時には温泉をとじ、その一時間後に彼と彼の父、そして一部の職員以外は仕事を終える。

 今日もそのはずだった。問題は島の夜間の外出を禁じる事を知らなかったな者がいたからだ。


 十九時、夏でも暗くなり始める頃、

  ガタンッ、と大きな音を立て二人の《《クラスメイト》》が駆け込んでくる


 「アズミーが、はあっはあっはあっ」

 「?!」


 なぜ夜間に外出をしている。そう思案して、自分の過ちに気がつく。確かに扉を閉める時間は指定してなかった。それに外出するものを止めれなかったと自分の非を落ち度を認める。

 でも夜間の恐怖はアズミーと彼が一番知っているはずだ。なぜそんなことにと思案をしながら覚悟を決めていく。


 「外で、鎌を持ったやつに」

 「場所は!」

 「発展したところを抜けた田んぼ道」

 「親父!!」

 「行って来い!、」


 父から塩漬けにした木刀を受け取り走り出す。夜間は、怪異と《《見鬼》》の独壇場。そして一番ヤバい気配を放つ場所に向かう。



―――――――――


 「いいの?」

 「問題ない、あいつは島の伝承から帰ってきたやつだ」


 木刀をわたして走り去る傀偽を眺めながら、飛んでくる質問に断言する父黄泉鬼願(よみきがん)。放任主義が強いが、子どもをよく信じる親だ。


 「島の伝承?」

 「この島に伝わる都市伝説みたいなものだ。…そんなことより、何かされたか?」

 「いや、大丈夫」


 島の怪異に関わったものは何か傷があると異常をきす、すぐに確認し何もないことを確かにする。後は傀偽に任せればいいと、もう一度外を見る。



―――――――――



 『忘れていた。新しい友達と、歪んだ記憶のせいで判断が疎かになっていた。ここはそういう場所だ。』


 魑魅魍魎が跋扈する。眼の前に死を押し付けるような存在がいてもおかしくはない、それが普通の島だ。

 今、何もされていないのに動けないアズミーは、この状態に覚えがあった。十年前に彼女は同じ事を感じていた。

 黒い何かが友達を掻っ切って、血肉が散らばるのを間近に見て。その時は、助けたかったのに何もできず、助けられたと自責の念をも思い出していた。


 「逃げて!」

 「でも」

 「いいから、今すぐ宿へ」

 

 過去の記憶が、金縛りのようなものを解き、それを気に他二人を逃す。

 火事場の馬鹿力か、人を助けようと言う思いが彼女を動かす。


 『二人は逃げれたのかな。そし手ごめんね傀偽。せっかく光を暮れたのに命を散らし、捨ててしまうのだから。』

 「………………」


 無慈悲にも巨大な鎌が振り下ろされる。息を呑み目を瞑るアズミーに、見知った声が届く。


 「……っつ」

 「アズミー!!」


 名前を呼ばれ振り返る。そこには、傀偽が走って来ていた。一番強い気配を追ってここに来たのだ。



―――――――――


 「大丈夫か?」『間に合ったけど、こいつはなんだ』


 傀偽の目には、巨大な気配しか見えず、死を覚悟するほどだった


 「お前らか?不安定なやつらは」

 「呪を受けたと言うならな!」


 気合一つに木刀を振るう、が避けられる。今までと比べものにならないしまともな武器もないそれでも武器を構え続けている。

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