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四話 攻勢

ゴブリン5体、ゴブリンシャーマン2体、オーク1体と最低限の戦力はダンジョンにおいていき、それ以外の全戦力を相手のダンジョンを攻めるために使う。


「全軍、出発。目的地は今回攻めてきた北のダンジョンだ」


号令をして魔物達と一緒に出発し、ダンジョンを出る。

ゾロゾロとダンジョンから魔物達が出てくるのを周りにいた人間は物珍しそうにみてくるが無視だ。

俺が攻めに向かっていることを知った別のダンジョンマスターに攻め込まれることがないようにスピード勝負だった。

俺は魔物達が守ってくれる陣の中心で歩きながら、隣のダンジョンへと向かっていく。


ネットから得た情報が正しければ、隣のダンジョンは学校の体育館がダンジョンとなっているはずだ。

部活の練習中にでもダンジョンマスターになったのだろうか?

俺は道端で死にかけた時になったため、道端の真ん中にダンジョンができたけども。 

とにかく、俺はその体育館へと到着したがテープなど張り巡らされており、ここにダンジョンがあるので間違いないらしい。

体育館の入り口がダンジョンの入り口となっていて分かりやすかった。

その入り口に見張りのためか何体かの魔物がいたが、蹴散らして中へと入っていく。


中はだだっ広い草原になっており、秋明らかに体育館より広い空間が広がっている。

これは俺のダンジョンもそうだが、ダンジョンの中は完全に別の空間が広がっているらしい。

ダンジョンの奥の部屋にある結晶に触れるためにどんどんと進んでいく。

1階の草原エリアでは魔物に一匹残らずも出会わなかった。

恐らく奥の部屋で固めて待ち構えており、一斉に攻撃するつもりなのだろう。

俺の戦略を真似た形になるが、実際に有効だから厄介だ。

俺は数匹のゴブリンに先行させながら、ダンジョンを進んでいった。

そして、進んでいくと、2階の奥にあった部屋に先に入ったゴブリン達が帰ってこない。

ここが本命の部屋なのだろう。


「一斉にオークを先頭にして突き進め。全軍突撃しろ!」


俺はそう命令する。

命令された通り、魔物達はオークを先頭にどんどんとその部屋に入っていく。

俺はその様子を後ろから眺めていた。

中には恐らく、多くの魔物が待ち構えている。

そんな危険な部屋、俺が入るわけにはいかない。

中に入った俺の魔物が安全を確保するまで俺は待っていた。

そして、10分程待っていると一部の魔物が傷だらけで部屋から出てくる。


「一部の敵は逃げましたが、全ての敵を殲滅しました」


「そうか、ん?

お前らって喋れたのか?」


普通に受け入れそうになったが、ゴブリンが人の言葉を喋るとは思わなかった。

今まで返事もしてこなかったし。


「いえ、話せるのは私だけです。

ゴブリンリーダーに進化することで可能となりました」


そのゴブリンはそう話す。

証明するかのように「ステータス」といって出てきた半透明の板を俺の方に見せてきた。


ーーーーーーーーー

ゴブリンリーダー

|ーレベル 5

|-HP 20

|-MP 3

|-ATK 5

|-INT 1

|

|-スキル

|-狂気耐性 レベル1

|

|-称号

|-ダンジョンマスターの魔物 イレギュラー


今回の戦闘でレベルが上がって、ゴブリンリーダーへと進化していた。

ここにくる前は確かにゴブリンだったはずだ。

そういや、こいつらも狂気耐性のスキルを持っているんだな。称号のイレギュラーも。

なんでだろうな。まあいいか。


「それはさておき、よくやったぞ」


言葉を理解できるなら、とりあえず褒めとけばいいだろう。


「ありがとうございます」


そいつは律儀に礼儀をした。

頭を下げて礼をするゴブリンリーダーを見ていると、まるでゴブリンじゃ無いかのように見えてくる。

ただ、意思疎通できることはいいことだ。

今後も目覚めるなら、積極的に魔物の進化を目指してみよう。


安全が確保されたとのことで、俺もその部屋に入っていく。

中は色々な魔物の死体が転がっており、まるで地獄の様相だった。

相手の魔物達はほとんど殲滅したとのことだが、俺の魔物は半数ほどが削られている。

いくら有利だとはいえ、相手が待ち構えている所に攻めるのは少し無謀だったらしい。

危ない、危ない。今後は気をつけよう。


敵の主力も潰したし、悠々とダンジョンの中を進んでいく。

ずっと前に進んでいくと、3階のある部屋の扉の前に逃げたであろう魔物達がたむろしていた。

恐らく、ここがこのダンジョンの最終地点だ。

俺は残った魔物の殲滅を命令する。

俺は、その魔物達を珍しいものを見る目で見ていた。

第一、ここがそいつら魔物が守るダンジョンだってのに逃げるのがおかしいんだ。

逃げたってこうなることは自明なのに何故逃げたのか俺にはわからなかった。

そいつらは俺たちを化け物でも見るかのような目で見てくる。

そいつらは1匹残らず、命令通りにとどめを刺されていった。

これで全てのこのダンジョンにいる魔物は倒したはずだ。

俺はゴブリンリーダーに奥の部屋へと入るよう命令し、安全かどうか確認させる。

帰ってきたゴブリンリーダーによると、中には失禁しているダンジョンマスターしかいなく、戦力は待ち伏せに全て使ったようだった。

俺は安全を確認した上で、最後の結晶のある部屋へと入っていく。

そこには聞いていた通り、女のダンジョンマスター1人だけがおり、


「なんでよ!なんでよ!どいつもこいつ役立たずばっか!どいつか1人くらい役に立ったらどうなのよ!」


癇癪を起こしていた。

俺はその女を無視して結晶に触れようと部屋の中央に向かうが、その女に話しかけてしまった。


「あんたもなんなのよ!私の住民を奪ったと思って、取り返しにいったら逆に私のダンジョンを攻めてくるなんて正気じゃ無いわ!」

 

やっぱり話の通じるやつではなかったらしい。


「あなたの魔物、目がイッてて何かおかしいし、私の魔物より強いなんてゲームとして成り立ってないわ」


俺の魔物がおかしいなんて心外だ。みんな命令を聞いてくれるいいやつだっていうのに。

俺はさすがに対応するのが面倒だったため、無視して結晶へと触れる。


「このダンジョンは他のダンジョンマスターへと統合されました」


いつものナビゲーターの声がダンジョン内に響き渡る。

結晶に触れている俺にはダンジョンの様子が詳細に確認できるようになっていた。


|-草原ダンジョン

|-1F 大草原

|-2F 直線草原

|-3F 洞穴

|

|-0DP

|

|-所持魔物

|-


「さっきから黙ってないで何かいったらどうなのよ!頭のおかしいやつ!」


さっきから面倒だな、ゴブリンの餌にでも


「ダンジョンと統合したことにより、ダンジョンマスターのレベルが上がります」


ーーーーーーーーー

|ーレベル 2

|-HP 20

|-MP 10

|-ATK 9

|-INT 6

|

|-スキル

|-暗黒魔法 レベル2

|-狂気耐性 レベル2

|

|-エキストラスキル

|-憂鬱 狂気

|

|-称号

|-ダンジョンマスター イレギュラー


あれ、さっきまで俺は何を考えていたんだ?

レベルアップした途端、視界がクリアになった気がした。

ステータス画面を見てみると狂気耐性のレベルが上がっている。

もしかすると...

これ以上考えるのはよそう。


俺は魔物に命令した。


「こいつをダンジョンの檻に入れてこい」


「な!?」


すばやくゴブリンリーダーが命令通り、その女を拘束して外の部屋へと連れていった。


これで今回の騒動は完了した。

俺は魔物達にゴブリン5体とゴブリンシャーマン2体の最低限の戦力だけ、このダンジョンに残るよう命令し、元いた俺のダンジョンへと帰っていった。


俺は今日一日色々とあり、早く休みたい気分だったが、最後に捕まえてきたダンジョンマスターの様子だけでも見るかと思い、檻の部屋を訪ねる。

そこには暴れたせいなのか、一発ゴブリンリーダーに殴られた跡があるおとなしくなった元ダンジョンマスターがいた。

屈んでじっとしており、話しかけても返事が返ってくるか分からないため、明日まで放置しておこうと心に決める。

元々対して話したい相手でも無いしな。

その時、突然横から声を掛けられた。


「あの、ダンジョンマスター様」


そこには生け贄になりにきた女がいた。

色々あったせいでしばらく放置してしまっていたらしい。

その女が突然こんなことを言ってきた。


「私のことを、抱かないのですか?」

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