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二話 異変

「えぇ...」


俺は生け贄なんて求めてないし、生け贄を贈られても困る...と思ったが、ふと「これは役得なのでは?」と気付いた。

ダンジョンマスターは現代社会で何かしらのの欲求を貯めている人物がなる。 

俺が性欲を溜めていたタイプだと誤解してくれているなら、勝手に向こうは俺に女を貢いでくれるってことじゃないか?

以前の俺なら、こんなこと考えもしなかったが今の俺はこの状況を肯定的に受け止めていた。

一度死にかけたせいか、エキストラスキル「狂気」を手に入れたせいかもしれない。

とにかく、俺はその勘違いを正すつもりはなかった。

ダンジョンにいるゴブリンにダンジョンの中に連れてくるよう命令させる。

念の為、ゴブリンシャーマンに危険物を持っていないか確認させたところ、盗聴器が仕込まれていた。

人間サイドもダンジョンマスターの情報を取ろうと必死なんだろう。

もしかすると罠の可能性もあるので、結晶のある奥の部屋までは連れてこない。だからといって檻のような部屋を用意しているわけではなかったので、奥の部屋の手前のフロアに放置することにした。

次、DPが手に入った時に檻の部屋を用意しておこう。

ふと、今に気になったことをナビゲーターに聞いた。


「DPってどうやったら追加で獲得できるんだ?」


「質問にお答えします。DPを受け取る手段は二種類あります。

一つは日に一度、日付けが変わる頃に担当地区に住む魔物や人の数や質に応じてDPが支給されます。

もう一つはあなた様が所持する魔物かあなた様自身が、魔物か人を殺した時になります」


「なるほどな」  


DPが欲しい連中は担当地区を増やすために隣接するダンジョンを攻めたり、魔物や人を積極的に襲うわけだ。

俺は特段DPが欲しいってわけではないが、生き残るためにはどうにかしてある程度のDPは確保しなければならないだろう。


それはさておき、俺は贈られてきた生け贄の女と向き合う。

ダンジョン内では結晶の力を使うことで、遠隔でダンジョン内のどこにでも話しかけることができるため、その力を使って隣の部屋で寝転がっている女に遠隔で話しかけた。

 

「おい、起きているか」


「はい!この声は...ダンジョンマスター様ですか...!?」


その女は怯えた様子でそう返事を返した。


「そうだ、俺はダンジョンマスターだ。お前は俺の生け贄か?」 


「...はい、そうです」


女は落ち込んだ様子でそう返事をする。ただ、次の瞬間には力強い目をして顔を上げた。


「ただ、代わりに私たちの街を守って欲しいのです」


「守る?」


「はい、近くには人々が魔物に殺されている街があります。ダンジョンマスターのひどい要求に苦しんでいる町もあります。しかし、この町のダンジョンマスターはそういったことをされておりません。

私が生け贄になり、その代わりにこの町を守っていただけませんか?」  


その女はそう言った。

俺は別に町に何もしなかったのではなく、ダンジョン作りに勤しんでいただけなんだが、なにか勘違いをしているらしい。

ただ、DPを得る関係上この町を守ることは俺の利益にはなる。win-winの関係だった。

何より俺は、この町を守ろうとして勇んでいるこの女に異性として惹かれていた。

憂鬱な俺の人生もこんな人がいれば変わっていただろうに...

そう思わざる得なかったのだ。


「分かった、お前は今日はそこでじっとしていてくれ」


俺がそう了承すると、目に見えてその女は喜んでいた。

女と関係を持てる絶好の機会だが、今は人を入れる檻がない。

明日、DPが手に入ったら真っ先に檻を入手しよう。


...この時の俺は惹かれた女を率先して檻に入れようとする行動の異常性にまだ気がついていなかった。


その時、突然ブザーのような音がまたダンジョン内に響き渡った。

なんだと思っていると、


「担当地区に他のダンジョンマスターの魔物が侵入しました」


とナビゲーターが知らせてくる。

急いで見てみると、何人かの人間が空飛ぶ化け物に襲われて、こちらの地区に化け物と一緒に移動してきていた。

俺の担当地区に入ったことに気付いていないのか、悠々とそのモンスターは空を飛んで人間を追いかけている。

俺はその人達を助けるつもりではないが、そう簡単に他のダンジョンマスターの魔物が自身の担当地区にいるのはまずいと思い、手を打った。 

相手は空飛ぶ魔物2体だ。


「ゴブリン5体とゴブリンシャーマン1体で対処しにいけ」


戦力が過剰かもしれないが、念の為だ。もしかしたら囮かもしれない。

彼らの移動先にゴブリン共を移動させ、待ち伏せさせる。

攻撃はゴブリンシャーマンの魔法から始まった。

ゴブリンシャーマンの攻撃が空飛ぶ魔物2体に当たると、ゴブリンが追撃のために前に出る。

ただ、その時にはもうその2体の魔物は力尽きていた。


「案外、あっけなかったな...」  


それで、戦闘は終了して何もなく、罠というわけでもなかった。

助かった人間は怯えた様子でそこから逃げ出していた。


「出来たら棲みついてくれると助かるんだけどな...」


一日の所得DPが増えるし。


そんなトラブルがあったが、その後何もなくスマホで情報収集に励んでいた。

やっぱり俺は性欲タイプのダンジョンマスターということになっているらしい。

そして俺の周りにいるのが3人のダンジョンマスター。

1人は殺戮型のダンジョンマスターだったらしく、ネットも荒れている。外に人が逃げ出さないよう囲う徹底ぶりらしい。

もう1人は、とてくもなく大きなダンジョンが特徴で、そのダンジョンを建てるために下敷きになった犠牲者の数が問題になっている。

最後の1人はさっきモンスターが送られてきた方向にいるダンジョンマスターだ。

無理な要求を繰り返しては、それが達成されないと癇癪のように魔物を周りに解き放つらしい。

こうして見てみると、物騒なダンジョンマスターばかりだな。

俺に生け贄を贈ってでも静かにして欲しいわけだ。


その時、また警告のブザーがダンジョン内に響き渡った。

結晶から覗いてみると、何か手紙のようなものを持った魔物が担当地区に入ってきている。ダンジョン内でないと、遠くから望遠鏡のように覗くことしかできず、どんな手紙を持っているかはよく見えなかった。

口頭でその魔物は手紙を読み上げているが、遠くて何で行っているか聞こえない。

魔物にこんな行動を命令するなんて、かなり自己中なやつなんだな。 

読み終えた後、捨てられた手紙をゴブリンに拾わせ、読んで見たところこう書かれていた。


「こちらから奪った人間を返せ。

後、倒した魔物の分を弁償しろ。

さもないと、後悔することになるぞ」


...なかなか面倒なことになってきたらしい。

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