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あと一歩で、魔王を、倒す瞬間に、城に召喚させられ、皆殺しにしてしまったのだが帰してほしい

その剣は、鋼でありながら、漆黒の嵐の中

青く光を放ち、勇者の手から、黒煙纏う魔王の胸元へと、向けられた

飛びかかるその速度は、名だたる、魔王軍護衛柱の屍の中

それらが、復活を遮られ、ただ、滅亡を、人間のしゃれこうべの顔を、有する、その玉座の前に立ちはだかる無縁魔法の使い手と恐れられた赤き魔王ドルトレイクの胸元へと、獄円十魔方陣を、突き破りながら、進んでいく、幾人もの犠牲を伴った、その最果ての旅路

ただ、その無限の屍の砥石で磨かれたその人たちは、揺れる魔王の衣を、嵐のように、拭き揺らしていた

「いっけーぇー」

背後で、半ば倒れるように、事切れかけた仲間が、最後の遺言のように叫ぶ

ただ勇者は、無我の境地、すべてを、脳ではなく、感覚により、突き進んでいた

そう、それは、その時だった

天空を切り裂く、光、幾重をも重ねられた魔方陣

他に、魔法抵抗力を持たないほど、すべての魔法使いは、力を使い果たし

勇者は、その一撃に、帰りのない一撃必殺に、その生命のすべてを、捧げていた

「うっあぁあああああー」

祭儀の雄たけびは、あたりを、一閃に、まぶしく白く染め上げた

目の前の、王座が、ばらばらと、吹き飛び

辺りの家臣神官護衛などは、すべてが、吹き飛ばされちりじりの肉片も、燃え尽き小さな丸しか残らない、真ん前に、立っていた、王は、跡形もなくそのすべてが消し飛ばされ

そこには、屋根の残らない王城だけが、ぽつりと、勇者を残し存在していた

「ぁああああ・あ・・あ・・なんじゃこらーぁあーーーあ」

勇者の叫びが、あたりに響く

まさか、いや、魔王や、その幹部の連中の術は、すべて遮りしかも残ってなど・・じゃあ、じゃあ、なぜ私は

勇者は思う、なぜ移転させられたのかと

どうして

そんな絶望の中、勇者は、剣を握り、ひざを折った

どうして

辺りには、自分が放った、剣げきと、わずかに空中を漂う魔力が、伺わせ

焦げた赤い高級庄名じゅうたんが、ぼろぼろと、足元にひかれれいる

「きっきさま、おっ・・国王様を、なんて言う事を」

駆け付けた、魔法使いであろう、一群の中

勇者はうなだれたままだった

帰らなくては、元の世界に

しかし、必死に、蘇生を、試みる魔法使いたちの言葉の中

勇者は、それが、決して、誰も生き返らない魔剣 妖刀 道覚めだと、ぽつりと、思っていた

帰らなくては

その言葉は、詰め寄る、私兵により、かき消される

何万の命を、引き換えに

もう、自分では・・・勇者は

「こんなはずでは、魔王を、倒してもらうはずだったのに

こんなはずでは」

という喧騒の中、うなだれ続けるが、誰も、その彼を動かす力を持ち合わせてはいなかった



「しかい、大犯罪人勇者様、あなたは、この国で、魔王を倒おさなければならないのです

それにより、先のあの大犯罪を、帳消しにしてもいいと、大臣は、かんがえて居ります」

何をしても動かない勇者を、仕方なく彼の周りに、檻を設置し、その前で、先ほど可決された、洋紙を、前に、魔法使いが、喋る、しかし、うつむいた勇者は、ちらりと、こちらを、見て

「いや」と、首を振ると、魔法使いを、見据えて

「帰るんだ、俺は」と、断固として曲げない意思を、漏らす

しかし、それは、平行線錠を、行きかねない話であったが、勇者は思考していた

「いや、待て、この状況を、打破できる一つの案がある

俺は、あの魔王を、倒せるし、この国は、国王及び大事な家臣を失わず、なおかつ城の上がなくなることもない・・俺を、あの、魔王に、剣を、突きつける、お前らが、召喚なんて馬鹿みたいな邪魔をしていない、その先に、俺を、おくり返せば、全てはなかったことに・・・

そう、そうなれば、全ては解決じゃないか、というか、どうやって、俺を、特定して、この場所に送ったんだ」

魔法使いは、おずおずと

「はい、この星から感知できる範囲で、選ばれる、その世界で、最も強いエネルギーを持つ人間の召喚です、ですから、連れてくることはできましても、戻すことは」

「この世界だって、魔力の残念は、のこっているだろう」

「ああ、そういう事ですか」

何やら魔法使いは納得がいったように、うなずいた

「ええ、この国でも、もう、近年著しく魔法捜査が、発展していまして、それを使用した残留が、一年ほどは、確実に、追うことが可能であり、なおかつ、それによる、個体識別の制度は、99・9パーセント以上となります・・・確かに、そうなりますと、それを、追えば・・あるいは」

「そうだろう、迷路というものは、入口から

行くとめんどくさいが、案外反対側から行くと、そうでもないこともある

なあ、そうだろ、それを、使って戻せないか

魔法とは、言葉だ、最近では、機械を使用するが

しかし、古来より、言葉により空間を、歪ませる

振動し、その場所を、変化させる、それを、特殊な発音で、なおかつ、明らかな変化として

もしくは、具現化に強く影響を及ぼす

本来の言葉による感情に、訴えかける洗脳魔法と違い、物理法則にまで、影響を及ぼすのを

世間一般的には魔法と呼ぶのだ、つまり、その可能性を考えれば、できるに違いない」

「うむむ、しかし、この国の魔王が」

「お前は馬鹿だな、何も、知らんぷりすることもない

わざわざ戻せば、わざわざ、そのあとに、わざわざこの時間まで、戻って、また召喚されようというのだ」

かくして、国家の一大プロジェクトは、東西南北の大魔法使いを、大招集し

北は、大錬金術師バイコ

南は、不死王 ゴブダリ

東は、天空図書館 マリザリ

西は、西国浄土リンジュウ

を、呼び、それぞれが、長年培ってきた真名を、使用したり

その技術は、戦時中では、到底、賄いきれなかったであろう一致団結を見せた

それはまさに人知を超えた、感覚と言ってもいい 

そして、それは、来た時と、いや、消えたときの逆を示すように、勇者は、跡形もなく消えた

かくして、約束通り、その日から、一週間後

彼らはまた、あの魔法を、執行した

それは、何一つ間違いを起こさず、そして、また、あの時と同じ部屋同じ空間

ただ、人々は、できるだけ離れて、そこにいた

皆が、術を終えて、帰ってみると、奇妙なことに、そこには、だれも・・・

いや、大きな王座のまに、小さな籠が一つ

急いでそこに駆け付けるとつぶらな瞳の赤ん坊が、そこには、寝息を立てていた

「どういうことだ」

王は聞くえがい 

魔法使いは首をひねり答える

「もしかしますと、勇者は、あの一撃を携えたとき、最も力を持った人間だったのではないかと

つまり、今現在、魔王にすべて、ぶつけて、その次点で、次の最も魔力を持った人間は・・・」

皆の目が、籠の中で、手を振る

その赤ん坊に、視線が、向けられていた

これが、のちに、神卸し消失事件と名付けられるものである。

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