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路地裏の錬金術師 〜魔境のような村から出てきた錬金術師〜  作者: Ruqu Shimosaka
二章 後編

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王都への帰還−2

 以前はトレイシーだけだったが、今回はドラゴンが三体いるので結界が壊れないか心配だった。

 騎士団も同様だったようだが、結界が壊れたとの報告は無いようなので壊れなかったのだろう。

 そのまま王城に入る前の門の前に辿り着く。


 門を通れば王城の結界内となる。

 オーウェン将軍が指示をすると門が開かれた。

 門を通って中に入っていく。


 皆が入ったところで一度止まり、オーウェン将軍が何か確認をしているようだ。

 少しするとオーウェン将軍とキャサリン殿下が話をし始めた。


「結界は無事のようです」

「良かった。これで今後も問題がないと分かりました」


 どうやら王城の結界を確認していたようだ。

 壊れていたら話し合いの場所が次回からアレックスの家になるかと思っていたので、結界が壊れていなくて良かった。


 再び空を飛んで移動を開始する。

 王城に着くと騎士団とは上空で別れる事になった。

 アレックスはキャサリン殿下に続いて王城へと降りる。


 ジョシュは一緒に行動していたので、上空で騎士団が別れた理由は大鳥を預ける場所が違うからだと教えてくれた。


「王城内に入れば安全だからな。キャサリンの近衛だけで十分だ」

「なるほど」


 大鳥を預け終わったところで王城内を移動し始める。

 ジョシュから迷子にならないように注意された。

 三回目の王城だが入り組んでいて分からなくなる。

 ジョシュの言う通りにしっかりと皆の後をついてく。


 トレイシーが気にいるような綺麗な物が展示してあるので、時々止まりつつも王城内を進んでいく。

 案内された先は最初に国王陛下に会った部屋でも、国王陛下の私室でもなく、全く別の場所にたどり着いた。


 オーウェン将軍が部屋を警備していた騎士らしき人に声をかけると扉が開く。

 中は大きな円卓の机があって椅子が用意されている。

 会議室に使うような部屋のようだ。


 座る位置はおおよそ決まっているようで、指定された場所にアレックスは座る。

 皆が座ったところで国王陛下が共を連れて入ってきた。

 アレックスは立とうとしたが、国王陛下が手振りで止めた。


「家臣でもなく国民でもない隣人のドラゴンを向かい入れている。身分を考えず円卓とした」

「配慮を感謝する」


 国王陛下とダニー長老の会話から名前を名乗った。

 キャサリン殿下がドラゴンについての報告をした後に、話し合いが始まった。

 ドラゴン側が魔物を操る魔法が増えている事に懸念を示すと、国王陛下も同様の懸念を持っていると共通の問題だと確認し合っている。


 問題が解決するまで、ドラゴンとオルニス王国は連絡を取り合うことで決まった。

 王都に滞在するのはトレイシーとケニーで、ダニー長老や他のドラゴンが定期的にオルニス山から連絡を取りに来る事になったようだ。


「滞在が長期化するであろう事を考え、王都内でもドラゴンに戻ることができるよう魔道具を開発していく」

「それは助かるが、王都の外で変わっても問題はない」

「緊急時に変わって結界を壊されると大変だ。開発できるか分からないが試作しておく」


 ダニー長老が一瞬ケニーを見た後に頷いた。

 ケニーなら緊急時であれば躊躇せずにドラゴンに戻ると思っていそうだ。

 アレックスも同じ意見なので魔道具を開発するのには賛成だ。


 国王陛下は続いて家について用意するかどうかを尋ねている。

 トレイシーがアレックスの家で十分だと言うと、ケニーもトレイシーと一緒がいいと言う。

 国王陛下は頷いた後に、アレックスにエリック殿下を担当にすると伝えられた。


「アレックス、必要な物があれば用意する。なんでも気軽に相談して構わない」

「エリック殿下、ありがとうございます」


 急に担当にされたエリック殿下は驚いた様子だったが、アレックスに声をかけてくれた。

 キャサリン殿下は忙しいのでエリック殿下に役目が回ってきたのだろう。

 エリック殿下とは何回も会っているので話しやすく、相談に乗って貰いやすそうだ。


「それでアレクシア伯爵とモイラ伯爵が王都に来た理由はドラゴンと同様かな?」

「そう」

「魔物を操る魔法が増えていると聞かされてはね。王都でも長生きしてる亜人の方が慌ててるんじゃないかい?」

「モイラ伯爵の言う通りだ」


 母が倒した操られた魔物について話す。

 国王陛下は想定より数が多そうだと言って、顔を顰めている。


「アレクシア伯爵とモイラ伯爵が来た理由は分かった。国から何か指示するつもりはない。情報は渡すので好きに動いて欲しい」

「助かる」


 相手が国王陛下なのに母もモイラおばさんもいつも通りだ。

 国王陛下は気にした様子がないし、国王陛下を補助している人たちも気にした様子がない。


 国王陛下は母とモイラおばさんにも家を用意するか尋ねている。

 母とモイラおばさんは、とりあえずアレックスの家にでも滞在すると返事をしている。

 国王陛下が再びアレックスを見て、何かあればエリック殿下に相談するようにと言う。


 とりあえず家具やベッドが足りないので後で貰っておこう。

 今日の寝る場所がなくなってしまうので、先にお願いをするとエリック殿下がすぐに指示を出してくれた。


「アレックスの店は王都、いや、オルニス王国で一番安全な場所だな」

「そうかもしれません」


 母とモイラおばさんが居る上に、ドラゴンが滞在しているのだから戦力は過剰だ。

 エリック殿下は担当になったし、用事を聞きに行くついでに、また遊びに行くと笑顔で言う。


 母とモイラおばさんがどうするか決まったところで、キャサリン殿下の始祖鳥についての報告が始まった。

 始祖鳥が見れたと報告をした後、始祖鳥を何故見に行くかについての話をしている。

 国王陛下はダニー長老に確認をして納得した様子だ。


「友誼を得るための課題だった。今は無理にやる必要はない」

「ではドラゴンと友誼を得るために会いに行く方が良さそうですな」

「その方が良さそうだ」


 国王陛下はダニー長老との話を記録するようにと控えている人に伝えている。

 キャサリン殿下の要点をまとめた報告が終わったところで、国王陛下から協力してくれた事のお礼を言われた。


 国王陛下は旅から帰ってきた直後なので、詳しい話は後日にしようと言う。

 皆が同意すると、国王陛下はダニー長老に挨拶をして部屋を出ていった。

 アレックスも家具を受け取って帰る事にする。


 王城から出て皆で路地裏に帰る。

 大鳥が三羽で人が七人なので二人乗りはできても三人は不可能だ。

 ジョシュが帰りは送ってくれた。




 アレックスは家に帰ってきた。

 モイラおばさんが店を見上げている。


「ここがアレックスの店かい?」

「そう。元々宿屋だったらしいから中は広いよ」

「それは泊まるには良さそうだね」


 鍵を持っていないので、ニコルに鍵を返して貰おうと蘭の館に向かおうとすると、店の扉が開いた。

 中からニコルが出てきた。


「おかえり。帰ってきたようだから待っていたよ。しかし随分と人が多い……アレクシア伯爵にモイラ伯爵!?」


 王都への帰還は目立っていたようだ。

 ニコルが出てきて出迎えてくれたが、母とモイラおばさんを見ると、目を見開いて大声を出して驚いている。


 これ以上目立つと大変なことになりそうだ。

 驚いて固まっているニコル含めて皆を店の中に入れる。


 店の中に入ると、ニコルが母とモイラおばさんに挨拶をしている。

 母はリリーが住んでいる家の主人と覚えており、モイラおばさんは母の説明で思い出したのか蘭が綺麗な家かと頷いている。

 ニコルに帰還の報告をしつつケニーとダニー長老の紹介をする。


「更にドラゴンが増えるのかい……」


 ニコルへの紹介が終わった後は、部屋を決めて貰うために空き部屋を案内する。

 部屋が決まったところで貰ってきた家具を取り出して配置していく。

 旅の疲れもあるだろうと、ゆっくりとする事になった。

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