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路地裏の錬金術師 〜魔境のような村から出てきた錬金術師〜  作者: Ruqu Shimosaka
二章 後編

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ドラゴン−1

 アレックスはのんびりと店番をしながらポーションなどを作っていく。

 国王陛下との初めての謁見から二ヶ月ほどが経ち、徐々にオルニス山の雪も溶け始める頃になってきた。

 そろそろ故郷のスプルギティ村へ行く準備をする必要がありそうだ。

 前回は襲撃されているので、装備はしっかりと用意する必要があるだろう。


 二ヶ月の間にエリック殿下は何度もアレックスの店に来て、アレックスやトレイシーと話をしている。

 アレックスとだけではなく、トレイシーとも随分と仲良くなった。

 やはり最初はトレイシーに緊張していたが、徐々に慣れていったのか回数を重ねる毎に楽しそうに話すようになっていった。


 キャサリン殿下は忙しくしていたようで、アレックスは会う機会が殆どなかった。

 忙しかった理由の一つにキャサリン殿下が真珠布の服を着て、真珠粉の化粧をしたことで大変評判になったらしい。

 何故らしいなのかというと、アレックスは評判になったところや姿を見ていないからだ。


 メグは何だかんだと引っ張り出されて、忙しそうにしている。

 以前はアレックスが大変だったが、今はメグが大変な忙しさのようで毎日のように出掛けている。

 考え事をしながら作っていたポーションが完成した。

 作り終えたポーションを魔法鞄にしまって次は何をするかと考えていると、玄関の扉につけた鈴が鳴った。

 来客のようだ。


「ただいま。アレックス」

「メグ、おかえり。今日は少し早いね」

「うん。キャサリンから伝言があるの。先に着替えてくるわ」

「分かった」


 メグは真珠布を使ったドレスと真珠粉を使った化粧をしているので、先に着替えを済ませるようだ。

 どちらも今は値段がすごい事になっているらしく、真珠布のドレスを着ているとゆっくりと休めないとメグが以前に行っていた。

 最もメグが買ったのではなくて、キャサリン殿下が用意した物なので気にしなくても良いとは言われているようだ。


 お茶を用意しながら待っていると、メグが化粧を落として着替えたのか二階から降りてきた。

 ランドルフさんが残していったソファーにメグが倒れるように座り込んだ。

 アレックスはソファーから一番近い位置の机にお茶を入れたコップを置いた。


「ありがとう」

「随分と疲れているようだけど、大丈夫?」

「うん。そろそろお茶会とかの回数も減るから大丈夫」

「減るのはやっぱり始祖鳥を見に行くため?」

「そう。キャサリンからいつ頃王都を出るのが良いか聞いて欲しいって」


 メグが帰ってくる前も考えていたが、例年通りならそろそろ雪が溶け始める頃だ。

 しかし毎年同じように雪が溶ける訳ではないので、一ヶ月前後はずれがある。

 一緒に居たトレイシーに今年の雪について尋ねてみるが、例年通りではあるが溶ける時期までは分からないと言う。


 メグに例年通りであれば、もうすぐ溶けはすると言う。

 雪が溶けていなかった場合は待つ事になる。

 メグにスプルギティ村では大人数を長期で受け入れるのは不可能なので、どこか待てるような場所はあるかと尋ねた。


「キャサリンはゲラノス侯爵だからゲラノスで待てると思うわ」

「それなら王都を出ても良いかも」

「キャサリンに伝えておくわ」


 メグが更にエリック殿下も一緒に連れていく可能性が高いと言う。

 どうやらエリック殿下の願いは叶えられたようだ。

 以前にどうしてもモイラおばさんに会いたいとエリック殿下は話していた。キャサリン殿下に交渉してみると言っていたが、どうやら交渉は成功したようだ。


 エリック殿下を連れていく為、今回は陽動なしで騎士団からかなりの数の人員を連れていくとメグが教えてくれた。

 騎士団の中からジョシュを連れていくのは決定しているともメグが言う。

 人数を増やすなら男性も入れる必要があり、キャサリン殿下の婚約者であるジョシュが必要になるようだ。


「今回はワイバーンが襲ってきても問題のない人員を用意するみたい」

「そうなのか」

「釣り出すより安全を重視するって」

「その方がいいけど、今回はトレイシーがいるからワイバーンだったら襲ってこないと思うよ」

「……そうだったわ」


 人の姿で綺麗な物を作っては喜んでいるトレイシーは、忘れそうになるがドラゴンだ。

 ドラゴンを襲うワイバーンなど存在しない。

 操られていたら襲ってくる可能性が多少あるが、トレイシーが一撃で倒してしまうだろう。

 ワイバーンとドラゴンは力の差が大きすぎる。


 トレイシーは行きは居るが帰りは居ない可能性がある。

 元々トレイシーが王都に来たのはお祝いついでに暇つぶしだったからだ。

 トレイシーのツガイであるケリーが帰ってきている可能性もなくはない。もしケリーが帰ってきているようならトレイシーはオルニス山に残るだろう。

 帰りの安全を考えるなら多くの騎士がいるのは悪いことではないかもしれない。


 メグに可能性を説明すると、同様の意見となったようだ。

 キャサリン殿下とキンバリーには説明するが、騎士団の人数は変わらない可能性が高そうだとメグが言う。


「当たり前だけどドラゴンって強いのね。トレイシーは楽しそうに綺麗な物を集めたり作ったりしているから忘れてたわ」

「それはトレイシーの性格だから。オルニス山でも強いのはドラゴンかな。ドラゴンと戦える魔物はいるけど、勝てるのは居ないかも」

「アレックスもドラゴン相手は無理なの?」

「ドラゴンと一人で戦えるのは母とモイラおばさんくらいだよ」


 アレックスではトレイシーに勝つことは不可能だ。

 そんなトレイシーは母とモイラおばさんと戦うのは絶対に嫌だと言っている。

 ドラゴンでも戦いを嫌がる相手、それが母とモイラおばさんだ。


 旅に出る前にアレックスの装備は一通り確認しておいた方がいいだろう。

 メグは最近ギルド員として動いていないので、武具を使ってはいないが一度預かって確認しておいた方が良さそうだ。

 メグから装備を一式預かって確認しておくと伝えると、装備を渡された。


 そういえば旅に出る前に作っていた魔道具を渡さないといけない。

 アレックスが持っている魔道具と同じもので、前回メグがワイバーンに使って一撃で倒した魔道具だ。

 アレックスが魔法鞄から魔道具を取り出してメグに渡す。


「これはアレックスの魔道具と似ているけど少し違う?」

「新しく作ったんだ」

「え? キャサリンに国宝って言われてた物だよね?」

「トレイシーに追加の鱗も貰ったから大丈夫だよ」


 トレイシーも鱗は生え変わるので持っておくと良いとメグに言っている。

 何だかんだトレイシーとメグは、一緒に化粧品を作っている時間が長かったので随分と仲良くなったようだ。

 トレイシーは仲良くなった人に甘い。

 アレックスもトレイシーに言われて色々と身を守る魔道具を持っている。魔道具にするための素材はトレイシーが殆ど取ってきてくれた物だ。


 アレックスとトレイシーからの贈り物だと伝えると、メグは困ったような表情をしながら受け取ってくれた。

 アレックスの魔道具も魔力を回復させて使えるようにしてあるので、よほどの事が起きない限りは問題ないだろう。


「でもこれいくらになるのかしら。キャサリンに貰った服とは比べ物にならないわ」

「売り物にしたことなから分からない」

「そもそも買える人いるのかしら?」


 それこそ買えるのは王家くらいかもしれない。

 国王陛下やキャサリン殿下が欲しがるのであれば作っても良いかもしれない。

 国王陛下とは謁見以降一度であるが私室に呼ばれて話をしている。

 話した内容は父の事が多かっが、アレックスに困った事があれば言うようにと言っていた。

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