2(鬱描写あり)
わからぬ将来のことを心配しているより、まず目前のことをする 伊達政宗
幼馴染が私を庇って死んでしまった。
私の最愛の人だった。未来に結婚すると思っていた。付き合ってはいなかったが、斗真も私も愛し合っていたと思う。言葉にしなくてもよかった。
私が好きになったのは三年前の中学二年生のときだった。当時若干鬱と化していた私に救いの手を差し伸べてくれた。きっとあの時から私を愛してくれていたのだろう。あのとき、私を救ってくれなければ私は死んでいただろう。
そんな人が私を残して死んでしまった。即死らしい。人はすぐ死ぬというのは本当だったのか。はは。やる気が全てなくなった。
「ごめんね....」
「結衣ちゃんが生きていればそれでいいのよ。きっと斗真も天国で見守っているわ」
母が真斗のお母様と話している。辛いな。なんで私が死ななかったのだろう。なんで斗真が死んでしまうのだろう。この世にとって斗真は必要だった。この世にとって私は必要がなかった。斗真はいろんな人に愛されていた。私は嫌われていた。
なぜ私なんかが、生きているのだろう。
「結衣、そんなところでメソメソしてないであんたも謝りなさい」
「ご、ごめ..んなさ...い」
「そんな!しょうがないわよ。もう生き返らないんだから」
きっと斗真のお母様は呆れてるに違いないわ。心から謝っても生き返らない。だからこんなことをいっているに違いない。
信頼もなくして、最愛の人もなくして、どうやってこれからを過ごせばいいのだろう。
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あの日から学校に行けていない。裁判がなかなか進まずインターネットやテレビでも連日報道されている。テレビも何も見たくない。きっと誰かが私のことを叩いている。SNSも私を叩いているやつが大半だ。そうに違いない。誰もが私を叩いていて、誰も私の擁護をしていない。そんな世の中だ。そんな世の中であるべきだ。そうでなければ狂っているだろう。
そうだ。死のう。
死んだら何もかもが解決する。斗真のところにもいける。
待っててね
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唐突だが、妹ができた。年子だ。かわいいな。
「真斗〜瑠那〜ご飯よ〜!」
「「はぁ〜い!」」
そういえば、一年で疑問に思っていたことがある。男が極端に少ないことだ。テレビを見てもほとんど女性。たまに出てきたと思ったらブッサイクなおっさん。それでももてはやされている。
「おかーさん、なんかおとこのひとすくなくない?」
「そうよ〜。男の人は希少な存在なの!だから真斗はとっても希少な存在なのよ〜」
「へぇ〜」
えっ、マジ?男が希少ってことは最近なろうではやってた男女比おかしいやつ系?
「でも希少だから威張ってちゃだめよ!女の子は大切にしなさい?」
「うん!」
よっしゃ。これ勝ち組だろ。転生してよかった。
そういえば、結衣って今何してるんだろうな。