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人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている 伊集院静
今日、俺は死んだ。人を庇って車にはねられた。死んだときが人生で一番気持ちのいい瞬間と聞いたが、そんなことはなかった。結構期待してたのだが。てか、童貞のまま死んじまったよ。あ〜...もっと頑張っときゃ良かったわ。悔いありまくり。童貞卒業してバイトして親とちゃんと会話して親孝行してゲームして...上げ始めたらキリないわ。
脱線したがとにかく、俺は死んだはずだ。死んだはずなのだが、今、俺の体は生まれたての赤ちゃんである。今から吾輩は赤ちゃんであるって小説書こうかな。
「元気な男の子です!おめでとうございます!」
「よかった...元気に生まれてきてくれて...この子の名前決めたわ...真摯な男に育ってほしいから真斗にするわ..!」
「良い名前ですね!この国で57016人目の男の子なので大事に育ててあげてください!」
「ええ!」
俺の名前は真斗らしい。名字は何だろうな。てかこのお母さん美人すぎだろ。二次元を具現化したみたいな感じじゃないか。マジ最高。
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どうやら入院期間が過ぎ、家に戻ってきたみたいだ。なんか入院期間が二週間くらい長かった気がするが気のせいだろう。
「ただいま〜!」
二歳くらいの女の子がよってきた。これは俺の姉になるのか?
「おかーさん、おかえり!そのこがわたしのおとーと?」
「そうよ。真斗っていうの。瑠那、呼んでみなさい?」
「しんと!」
元気がいいな。かわいいし将来有望株だな。
「よくできました。久々に今日は私がご飯作るよ〜!」
「わーい!」
あれ、そういえばお父さんが見えないな。この女の子を一人おいていったわけじゃあるまいし..お父さんは忙しいのか?それともお祖母ちゃんがなんとかしてたとか?そんなことを考えていると、一人の女性が覗き込んできた。
「おー、可愛い男の子やな」
「そうでしょ?真斗って名付けたの」
「柳真斗..ええ名前やな」
「でしょ!お母さんも抱っこしてみる?」
え、この人お祖母ちゃんだったのか。40代くらいに見えたが..もっといってるのか?てか関西弁の癖が強いな。
「いや、うちはええわ。もうそろもどらんなあかん。」
「そっかー。まぁいつでも来てよ!」
「そんなん無理やがな。京都から東京どんだけかかるおもとんねん」
「あはは。そんなの出すよ。私社長だよ?」
えっ、社長なの?人生イージーで勝ち申した。
「まぁそんときは貰うかもや。じゃあもう行くわ」
「じゃ〜ね〜!」
そういってお祖母ちゃんは帰った。