信頼
更新遅れスイマセンm(_ _)m
さっすが。良い球投げるな〜。さーて、今の球でコイツに動揺を誘えた…伊達が好きなのはインコース…次は…
――インローにシンカー!――
コレでカウントを稼いで外の球で打ち取る!
そして清水が頷いた。振りかぶる――そしてボールが放たれた――。
何だよコイツ…コレが高一の投げる球かよ…
俺は朱雀のミットを思わず覗き込んでしまった。
でも、打てなきゃカッコ付かねえな…
朱雀は俺の苦手コースを知っている…外角…それが俺の苦手コース、だから次は最後を外角で決めるために…インコースに来る!
ピッチャーが振りかぶる…そしてボールが放たれた――。
インローだ!貰っ…
?!シンカー!?
手元でボールが内側に食い込んで来る。
ガキン
鈍い金属音がし打球は三塁線から切れファールになった。
あれを当てるんだ…伊達さん…結構やるじゃん。しかも内角の速球の後なのによくビビらなかったな…
さて、次は…
――アウトロー、ボールにスライダー――
振ってくれたら儲けものって感じか…まあこの人振りそうだけどね…。
そう思って俺は振りかぶる…そして…ボールを平等院さんのミット目掛けて投げた!
「ボール!」
監督の声が響く。まあ今のボールは振ってくれたら儲けものだったからな…
さて、伊達…やっと集中し始めたようだ…つり球は通用しないな…
これまでの配球、ストレート、シンカー、スライダー…伊達が嫌いなのはアウトコースだけどそこに投げたら面白くない。此処は…まだ投げてないフォークで行く!
チッ!朱雀のヤロー俺の苦手コースにつり球投げさせやがって…振りそうになったじゃねーか!
次は何で来る?まあさっきの見せ球なら…インコースにストレートかシンカーだな。さっき球筋見たし…残念だが勝たしてもらうぜ!オラァ!
――フォークを真ん中低めに――
ドクン、ドクン!
緊張か恐怖か分からないが自分の鼓動が聞こえる。この球はあの試合、ホームランを打たれた球だ…
怖い…いくら野球をもうしないと思っていても…あの恐怖の呪縛は解かれない。野球を捨てた日から…あの日のことを忘れた事はない。
投げたくない…やっぱり、こんな誘い乗るんじゃなかっ…
「タイム!」
平等院さんがタイムを掛けこっちに向かって来た。
こんな一打席勝負でタイム掛けるなんて…よっぽど俺を部に引き込みたいんだな。
俺はそう思ったが平等院さんの告げた一言は予想外だった。
「お前、別に部に入らなくて良いよ」
「は?」
思わず馬鹿みたいな声を出してしまった。
「てゆーか野球部入りたく無いのになんでビビってるんだよ?」
「…」
返事が出来ない。図星だ…。それを承知で平等院さんは続ける。
「――真ん中低めにフォーク――はサヨナラ打たれた球だろ?」
俺は頷く。綺麗に打たれた…俺の決め球。
「お前、よく考えろよ?あの試合は炎天下だった。だから自分では分からないだろうがスタミナや握力は無くなっていたんだ。だが、今はスタミナも握力も有る。ただの一打席勝負だ…だからビビる必要無い!だから次はフォークだ」
それだけ言って平等院さんは帰って行った――。
不思議と先程までの恐怖は無くなった。しかし、まだ胸の鼓動が聞こえる。しかし先程までとは違い、期待感から来るものだ。
投げられる…俺は…投げられる!
さーて、さっきまでと違い良い顔してるじゃねーか。やっぱり…お前心の中では野球が好きなんだな〜。
俺はそう思い、ミットを構えた。
これでキメる――。
俺はそう思い振りかぶる。
今は入部するしないなどどうでも良い。
ただあの人を信用し、伊達さんを打ち取る!
腕をしならせ、ボールをあのミット目掛け投げた――。
!真ん中ストレート!もらった!
俺はそう思いスイングした。
が、次の瞬間、視界からボールが消えた――。
「!トライーク!バッターアウト!」
監督の声が響く。周りの奴らも驚きの表情をしている。伊達に関してはバットを叩きつけた。
なかなかの落差だった…やはりコイツすげーわ!
そう思い、俺はマスクを取り清水に歩み寄った。
〜ストリームの野球講座〜
※つり球
『打者が振ってくれたらラッキー』または、次の球の効果をおおきくするみたいな感じで投げるボール球。追い込んで、まだボールが少ない時に投げる。
高めの速球やストライクからボールになる変化球。他には外角のボール球。
※ファール
打者がフェアゾーンに打たなかった打球。ストライクにカウントされるがいくら打っても三振にはならない。