表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

お久しぶりです!!お待たせしました!!

 学校についた。自転車が幾らか既に留めてある。もう何人か来ているようだ。

「ありがとね」

 涼華はそう言うと先に走って行った。

 乗せてもらってそれは無かろう。

 そう思いながら自転車に鍵をかける。

「あっ~!!」

「んだよ」

 見なくてもわかる。こんなに五月蝿いのは倉吉だ。

「お前!! 俺の涼華ちゃんと二ケツだと!?」

「いつからアイツ、お前の所有物化したんだ」

「阿呆!! 生まれた時から赤い糸で結ばれてるんや!!」

 清水は無視して部室に向かった。

 初めての朝練だ。何をするのか検討もつかない。まあそれなりだろう。あの平等院がいるから。「まてい!! お前!! 涼華ちゃんが後ろって事はだな…む…フゲ!!」

「おは、清水」

「泉か」

 倉吉の頭をシバき、泉が自転車で来た。軽く挨拶する。

「朝から下ネタ言おうとするな馬鹿」

 そうだったんだ、と俺は思った。

「…うるせーな!! 先行くぜ!!」

 倉吉は走って行った。

「俺等もいこうか」

 泉はそう言うと歩き出した。清水も続いた。










「みんな、おはよう」

 九十九監督がそう言うと皆おはよう御座いますと返事をした。

 清水は大きな声では言わなかった。言えなかったと言う方が正しい。「今日から野球ができる人数が揃い、念願の甲子園を目指し…頑張れる!! 目標がちゃんと出来たんだ。気合い入れてくぞ!!」

 ハイッ!! と野球部らしい返事。清水には少し面倒に感じた。

 今まで自分の場所は自分で掴んできた。監督は勝ちたい。勝つためには俺を使わねば勝てない。勝てても中学の場合、全国には行けんかったな。

 清水は息を吐いた。白い吐息が舞う。

 今、自信はないが、これは過去の事実だ。別に自意識過剰ではない。今回も三年間、自分で自分の居場所を掴む。いや、九十九監督に俺を使わさせる。自意識過剰ではない。所詮は寄せ集め、偶々平等院や泉が来ただけで後は大した奴らじゃない筈だからな。 清水は心の中で呟いた。

「じゃあまずはランニング行け」










 ランニング、柔軟、ダッシュ、キャッチボール――此処までは全体メニューだ。

「集合!!」

九十九監督が集合をかける。朝練は後15分位できる。

「今日の昼からポジションをキチンと分けてやってくからな。清水、お前はブルペンに入れ」

「はい」

 清水はキチンと一応返事をした。

 投げられる。

清水は少し嬉しく思った。

「じゃあ解散!」

有難う御座いました。

 部員が返事をした。














 ――部室

「授業ダリイな~」

倉吉が声を挙げる。ここばかりは同感だ。

「お前等、赤点はとんなよ」

「マジそれ。監督は学校生活も五月蠅いから」

 源が優しく言う。平等院が続く。

「まあ…せめて問題は起こすなよ」















 清水は教室に入った。まだ、2日目だから授業は少ない。こういう期間はどの生徒達にとっては至福である。勿論、野球部のメンツ(涼華も含め)も例外ではない。

 清水は自分の席の周りを見渡した。見事に野球部男子は窓側で同じ班、涼華は真ん中だ。

「同じなんだな…」

「知らなかった?」

 泉が前の席から振り向き訊ねてきた。

「昨日寝てたし」

「ああ…そうか」

「なんや? 嬉しいんか!?」

 倉吉が後ろから割り込む。

「何が?」

「俺と一緒で」

「死ね」

 清水はぶっきらぼうに呟いた。

「お前…会って2日目の奴、しかもお前の後ろを守る奴にんな事言うか、普通」

「まあ…確かにそうかも」

 泉も躊躇いつつ言う。

 ――ウザイ――

 清水は心の中で呟く。歯を食いしばる。

 感情を出してはならない。投手は感情を出してはならない。淡々と冷静に1試合が終わるまでマウンドから投げ続けるのだ。

 話題を変えよう。

 清水は思った。

「…試合とかはまだ決まってない…か?」

「そらそーだわ。まだ全員の能力も未知数だし…第一、新生のチームと試合してくれるトコなんてそう無いわ」

 泉が冷静に言う。そうだなと清水も納得した。

 チャイムが鳴る。教室の空気が変わった。

 ――寝よう。

清水は顔を伏せた。

感想やらお願いします!!


試合はもう少し待って下さい(^_^)v

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ