表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

えき

作者: たでんだた

とある町の、とある駅。


大きな地震が町を襲った。

揺れはしばらく続き、人々は恐怖した。


駅前のロータリーでは液状化現象が発生し、地面がドロンドロンになった。


この駅があった場所にはかつて、(みや)があった。

大規模工事により(みや)を廃し、駅としたのだ。

年若い宮司(ぐうじ)は言った。

この地には古来より疫神(えきじん)様がお住まいだ。

疫神(えきじん)様の怒りに触れる、と。

駅建設は住民達が長年にわたり待ち望んだ夢であった。

議員選挙、町長選挙では、町民のほとんどが駅建設推進派の候補者を()した。

交通の利便性の向上。

駅前の開発、整備。

人口流出に歯止めがかからぬ町にとって、駅建設は希望であり救いであった。

誰が年若い宮司(ぐうじ)の話などに耳を貸そうか。

(いな)

誰も耳を貸す者などいなかった。

宮司は疫神(えきじん)様のために、工事の間、ずっと祈祷(きとう)し続けた。

(しず)まりたまへ、鎮まりたまへ。

雨の日も、カンカン照りの日も、雪の日も、ずっと、ずっと、毎日、毎日……。

住民達の協力もあり、駅は一年半で完成し、駅周辺の道路は綺麗に整備された。

宮司は町長と駅長に言った。

疫神(えきじん)様への供物(くもつ)は決して()やすな。

(そな)える水は毎日取り替えろ。

年に一度、疫神(えきじん)様をお(なぐさ)めするために、(にぎ)やかなる祭りをせよ、と。


神棚は駅長室に作られた。

駅長は供物(くもつ)を絶やさず、毎朝水を入れ替えた。

駅長の代替わりにはきっちりと引き継がれ、供物は絶やされることなく、水も毎日取り替えられた。


大地震が起きた。

駅前のロータリーでは液状化現象が発生し、地面がドロンドロンになった。


(しず)まりたまへ。鎮まりたまへ。

五十年前疫神(えきじん)様のために祈祷(きとう)し続けた老宮司、地震で折れた巨木(きょぼく)の下敷きになり、亡くなった。


ドロンドロンの沼底から、得体の知れぬ何かが顔を出す。


ドロンドロン、ドロンドロン。


ドロンドロン、ドロンドロン。


復興が最優先されたため、年に一度、駅前で行われる町をあげての大きな祭りは中止となった。


ドロンドロン、ドロンドロン。


ドロンドロン、ドロンドロン。


ドロンドロン、ドロンドロン。


疫神(えきじん)様がお怒りだ。


ドロンドロン、ドロンドロン。


そうして、その町では正体不明の疫病(えきびょう)が広まったとさ。



「……どうっすかね? 監督」


「お前なぁ、こんなので映画作れるわけないだろう。利益出せないような作品、無理に決まってるだろ」


「そっすかぁ。そっすよね。ゴホッ、ゴホン、ゴホン。すいません」


「もっとさぁ、売れる映画作りたいなら足使え、足。街の若い子の声、聞いてこい」


「ゴホンゴホン、はいっ、ゴホッ、ゴホン、ゴホン」


「お前、大丈夫か? 早めに病院行けよ」


「ゴホンゴホン、ゴホッ、はい。駅前の病院が遅くまで開いてるらしいんで、帰りに行ってみます」


ゴホンゴホン、ゴホンゴホン。

ゴホンゴホン、ゴホンゴホン。


疫病が広まる。

それはもう、貴方のすぐそばまで……。

(えき)」で、ただ駄洒落たかっただけのこの作品。←やたら「た」が多い。


駅、液状化現象、疫神(えきじん)様、疫病、利益、声聞いて


上記の「えき」を含む語を頑張って入れました。


疫病……新型コロナと重なります。


京都の祇園祭はもともと疫病を鎮めるための祭りだそうです。旦那が祇園祭中止のニュースを見て「本来ならば今こそしなければならない祭りなのに」と嘆いていました。


悪ふざけのつもりはありません。

新型コロナの終息を願っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こんにちわ! 不思議な作風のホラーですね(^^) なるほど~、至るところ「えき」が潜んでいたのですね? 改めて読み返すと、驚きと発見があり2度楽しめる作品でした!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ