ぼくの親指にぼくの大好きだった爺ちゃんの魂が宿る!
___ぼくは、ある時。
親指が急に、痒くなってそこからかぶれるように膿が出はじめた。
これって? 一体に何!?
まあ、ぼくはね! あんまり気にしないようにしてたんだ。
取りあえず、膿が出るところに包帯を巻いて、普通の生活を
していたからだ。
・・・でもね?
なんだか、親指がおかしいんだよ!
もぞもぞしたり、勝手に親指だけ動いたり、僕の意思で動かなく
なりつつある。
ぼくは、こんなところにケガもしていないし、カミソリのような
モノで切った覚えもないのに急に、なんでこうなったのか不思議
だったんだ。
・・・今思えば、そう思うけど、、、?
*
___そして! 遂に親指に異変が起きたんだ!?
『___おい! 数馬瑳、起きろ! 朝だぞ!!!』
『・・・えぇ!? まだ、時間より早いよ! もう少し寝かしてよ!』
『いかん! 起きろ、数馬瑳! 朝は、男を磨く一日だぞ!』
『___えぇ!? 誰が喋ってるの?』
『___ワシじゃ! 爺ちゃんだよ、数馬瑳!』
『・・・じ、爺ちゃん!? なんで? 爺ちゃんが!?』
___爺ちゃんとは?
父方の方の爺ちゃんで、ぼくは、物凄く爺ちゃん子だった。
何処に行くにも、何をするにも、ぼくは爺ちゃんの後ろをついて
回ったぐらい、ぼくは爺ちゃんが大好きだった。
優しくて、男らしくて、強い爺ちゃんが大好きだったんだ。
でも? ぼくが10歳の時に爺ちゃんは、老衰で亡くなったんだ。
当時、87歳だった。爺ちゃんは、眠るようにみんなに看取られ
て亡くなったんだよ。まるでぼくには、眠っているように見えたんだ。
とても、爺ちゃんの顔は穏やかだったよ。
・・・その爺ちゃんがなんで!? ぼくの親指に!?
『___ワシはな! 数馬瑳がどうしているのか? 心配で心配で!
寝ても覚めても、ワシは数馬瑳! お前の事だけを考えていたんだ。
だからなのか? 【信天来行神様】がワシにお前のところに行ける
切符をくれたんだよ!』
『・・・切符って? ぼくの親指に爺ちゃんの魂が入ったって事?』
『・・・まあ? そうなるな!』
『___爺ちゃん、なんで!? ぼくの親指なんだよ!』
『・・・そんな事を言われても、爺ちゃんにもよく分からんのよ!』
『・・・・・・』
___ぼくの親指は?
絵で指に顔をつけたように、顔面は爺ちゃんの顔だ!
そこには、目も鼻も口も耳もあるし手も生えてきたように両方あるよ。
ただ、足はないかな。
・・・爺ちゃんは?
昔から、豪快な人で! 酒好き、ギャンブル好き、女好きと
三拍子揃った、昔ながらの人だよ。
怒ると? めちゃめちゃ怖いし!
説教になると? 正座して足がしびれるぐらいまで説教される。
それでも、ぼくがいい事をすると?
頭を撫でてくれて、これでもかというぐらい褒めてくれたんだ。
そんな爺ちゃんが、ぼくは大好きだったけど、、、?
・・・今は、めんどくさい。
___奇妙な爺ちゃんとの共同生活は?
何をするにも、爺ちゃんがぼくの傍にいるから。
毎日、何かしらで喧嘩したり言い合いになるんだよ。
生活は一転、酒好き、ギャンブル好き、女好きでもなかったのに、、、。
お酒も爺ちゃんは、おちょこを親指から生えてきたような手でグビグビと
飲み干すぐらいの大の酒好き!
ぼくも、爺ちゃんにつられてグビグビと生ビールを飲み干す。
バカ笑いして、無邪気にはしゃいでいるぼく自身はいつぶりだろう?
爺ちゃんが好きだから、毎日、お酒も付き合わされるようになった。
ぐてんぐてんになるまで、爺ちゃんとお酒を朝まで飲んで二日酔い。
それに、競馬場にも足を運ぶようになったな。
初めての馬券は、ぼくが勝った日でもある!
それと? 居酒屋で一人でお酒を飲んでいたら? 爺ちゃんが
女の子2人が飲んでいるのを見て? 爺ちゃんに【話しかけてこい!】
と言われ。ぼくは、しぶしぶ話しかけたんだ。初めての時は、まったく
タジタジで何を言っているのかも分からず! 女の子の方から、【キモイ】
と言われ、ぼくが落ち込む隙も与えず直ぐに次の女の子たちの所へ行かさ
れて、ナンパみたいな事をさせられる。
・・・はじめは嫌だったけど?
だんだんと慣れてくるのか? ぼくが女の子たちに話しかけただけで
上手くいくようになったんだ!
『___数馬瑳! お前は、ワシの自慢の孫じゃ! お前なら、何だって
出来るとワシは信じてる! ずっとお前と居たいが、時間が来たようだ!』
『・・・えぇ!? 爺ちゃん、居なくなるの?』
『・・・・・・あぁ、』
___爺ちゃんと一緒に居れたのは?
“1年間”だけだったけど? 凄く楽しかったよ爺ちゃん。
また、いつでも! ぼくの親指に乗り移ってもいいから!
また、ぼくに会いに来てほしいんだ!
___爺ちゃんとは? いっぱい喧嘩も言い合いもしたよね!
だけど、最高の時間を! ありがとう爺ちゃん。
ぼくもだよ、自慢の爺ちゃんだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。




