僕の彼女は露出狂
更新ペースは気まぐれです。
「信寺君、今日も一緒に帰ろ!」
突然だが僕こと音坂信寺の彼女は露出狂である。
藤崎高校二年B組、花露出美。
シルクのように滑らかな黒髪を背中まで伸ばし、クリッとしたアーモンドのような目が特徴的。
身長も女子の中では高い方で引き締まった体型に小さな顔が乗っていて僕も始めて見た時はモデル?と思ってしまった。
また成績も常に学年十番以内に入っており、
そんな容姿端麗、成績優秀の才色兼備な彼女。
その美しさと綺麗な黒髪を称えて周りの男子からは密かに「大和撫子の鏡」なんてあだ名も付いている。
それに対して僕は見た目平凡、頭脳平凡な何処にでもいるモブノーマル男。特にこれと言った才能もなく普通の男子高校生だ。
そんな僕は去年の夏、高嶺の花だった出美さんにダメ元で思い切って告白した。
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時は戻って去年の夏。
「出美さん!あなたの美しすぎる容姿に惚れました!僕と付き合ってください!」
「うん、いいよ」
「あははっ、やっぱりダメですよねーってぇええ!!良いんですか?!」
「うん、いいよ。あなたの……信寺君の彼女になってあげる」
勢いに任せた告白だったがなんと彼女は僕の告白に二つ返事でOKしてくれた。
動揺を隠せないまま理由を聞いて見ると出美さんは。
「それは私の事を知ってくれたら教えてあげる」
と言われてはぐらかされたような感じになった。
そうしてその日は憧れの出美さんと一緒に帰ることとなった。
今でも思い出す、緊張で出る手の汗が煩わしくて何度もズボンでバレないように拭きながら出美さんと話しながら帰ったあの日を。
彼女は僕の下手くそな話に耳を傾けてくれて、そしてその綺麗な顔で笑ってくれた。僕はそれが嬉しくて普段は余り話さない方なのにその日はやけに饒舌に喋った。
途中途中、何故か暑い振りをして出美さんが襟元を開けてその健康的で白い肌を見せつけて来たりしたので僕は慌てて視線を外したりしたけど。
おそらく僕の人生で一番楽しい下校だった。
そして楽しい時間はあっという間に過ぎて遂に出美さんの家に着いてしまった。正直もっと話していたかったが「何事にも終わりはある」とけじめをつけてお別れの挨拶をした。
「出美さん、今日は本当に楽しかったです。それじゃあまた明日」
「ま、待って信寺君!」
「えっ?」
帰ろうとして自転車に跨ごうとした僕をサユリさんは服の袖を掴んで止めた。
「何事か?」と思って振り返るとそこには顔を紅潮させて何か言いたげな出美さんがいた。
そして二人の視線がからまり合った時、出美さんが口から言葉を紡ぐ。
「信寺君、今日は私もとっても楽しかった。いつも教室では少し距離が遠い信寺君とこんなに近い距離で見られながらお話出来て楽しかった」
「う、うん?」
見られながら?何か引っかかる言い方だな。
「だ、だから私ね。信寺君にだけ言おうと思ったの」
「そ、そ、そ、それは何を?」
え、もしかして「私ずっと前から貴方の事が好きだったの!」て言われる流れかこれは?!
嘘だろ?!まさかこの「村人A」で有名な音坂信寺がかの「大和撫子の鏡」花露出美にそんなこと言われるわけ……。
頭の中でそんな妄想を展開する中、出美さんはその小さな唇をキュッと紡いだあと熱っぽい息を吐きながら言葉にした。
「わ、私ねずっと前から貴方のーー」
えぇええええ!!マジでこれはマジで言われる流れなの?!
「貴方のその舐め回すような視線が好きだったの!!」
「…………はい?!」
全く意味の分からない回答が返ってきて僕の妄想議会は一瞬で閉会された。
そんな僕のことはいざ知らず、出美さんは紅潮する頰に手を当てながら語り出す。
「それに気づいたのは入学してすぐの頃。私が見た貴方は窓の景色を見ていたわ」
「そ、それがどうかしたの?」
「それを見て私は気づいたわ。天性の舐り視線を持っているという事に!」
「僕その時どんな視線してたの?!」
「それからと言うものいつも考えていたわ。「あの視線に見つめられたらどうなってしまうのか」と。そして今日やっとその願いは叶った。もう想像通りの視線で私!はぁはぁはぁああ」
そう言った出美さんは息を荒っぽくして自分の体を抱く。
もーう、いったい何がなんだか分からなくなって来たぞ。
えっと一旦話を整理しよう。
出美さんはどうやら僕の顔や性格が好きって事じゃあなくてこの「天性の舐り視線」?ってやらが好きって事なの?
「あのー、出美さん。なんで僕の「天性の舐り視線」とやらが好きなの」
「ああ、それはね私ーー」
その時、凄い勢いの風が通り抜けた。
俗に言う神風かその風は正面にいる出美さんのスカートを思いっきり捲し上げた。
そしてスカートの中身が露わになる。
始め僕は視線を晒そうといた、だけどそれは叶わなかった。
「パンツが可愛い」とか「白いふとともがエロい」とかそんなチャチな理由じゃあない。もはや爆弾と呼べる問題がそこにはあった。
なんとそこには何もなかった。
そう何もあるべき下着もなく本当に何もなかった。
つまりこの状況を言葉にすると出美さんはノーパンだと言う事だ。
そうして出美さんは「見られたものは仕方ない」と言うふうに顔を赤くして恥らしく言った。
「実は私、露出狂なのっ!」
そんな衝撃の事実をカミングアウトされた高校一年の夏だった。ちなみに僕にはそんな彼女が良いという性癖は残念ながら持ち合わせていない。
綺麗な薔薇にも棘があるとは誰が言ったんだろう。きっとどこかの天才だな。
そうして俺はその日決心した。
薔薇に棘があるなら抜けばいい。
そう僕の彼女となった花露出美を理想の彼女にする為の脱露出狂計画を!
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そうして現在に戻る。
「いいよ出美さん。今日はどこか行くの?」
「うん、この間いい公園を見つけたんだ」
「いいってどんな風に?」
「周りの視線を気にしながらコッソリ信寺君にパンチラ出来そうな公園っ」
「絶対に行かないしパンチラは辞めなさい!」
「ええー」
「「ええー」じゃない」
こんな感じで花露出美の脱露出狂計画はあまり進んでいなかった。
彼女は事あるごとに僕に露出攻撃を仕掛けてくる。
例えばこの間は僕に勉強を教えるという口実で制服の第二ボタンまで外してブラチラを仕掛けて来た。
僕と二人だけならいい……いや良くないのだがまだ教室に何人もいる中での強行である。正気の沙汰ではない。訳を聞くと。
「スリルがあった方がより興奮を味わえる!」
だそうだ。全くもって理解できない。
果たして僕は花露出美を理想の彼女にする事は出来るのだろうか。
戦いはまだまだ長期戦になりそうだ。
第一話を読んでいただきありがとうございます。
読んでみてどうでしたか?
「結構ありがち?」「全然ときめかない?」
そう思いになった方々、すみませんでした!
この作品は作者の「バトル物書くの疲れたからラブコメ書きたい」と言う思いつきで出来た物なので結構荒が多いと思います。
でも、息抜きだとしても本気で書いているので少しでも楽しめて頂けたら幸いです。
なお、本腰を入れて書いてある「プロフェッショナルズ!!!」はほぼ毎日更新を目指して頑張っていますのでこの作品が面白いと思った方は「プロフェッショナルズ!!!」もお願いします。
では次は気まぐれで書いたときに!