表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4章 モデルどうでしょう・・・?


今日は月曜日。

昨日の撮影は3時まで続いた。

中学生3時まで働かせるのって違反だよな?

よって俺は今日眠くてしょうがないです・・・。

顔も化粧のしすぎで疲れてる気がする。

「おはよっ。太田くん疲れてる?」

俺が眠気まなこで時々あくびをしながら登校すると突然愛ちゃんにそう声を掛けられた。

愛ちゃん!!

俺愛ちゃんに声掛けられるの始めてかも!

「だ、大丈夫だよ。おはよっ!」

そう笑顔で返した。

やべっ・・・

今のモデルスマイルしちゃったじゃん。

俺がそう思い焦っていると愛ちゃんが真っ赤になって向こうに走っていった。

えっ・・・?

「あ〜あ、逃げられちゃったなぁ・・・」

この声は・・・

「龍一かよぉ〜なんで愛ちゃん逃げたのかなぁ?」

俺は焦って声を掛けてきた龍一に尋ねた。

「さぁな?でも脈ありなんじゃね?」

俺は龍一の言っている意味が分からなかった。

龍一に聞いてもあいつ「さぁな?」しか言わねぇし・・・

なんなんだ・・・?


テスト範囲が発表されもうすぐテストだぁ〜と焦っているころ俺『香山アリス』のモデル初デビューの雑誌が発売された。

表紙はあの西山あおいと宮野梨沙の2人だ。

こいつらを見てると又ムカついてきたよ。

そう思いつつページをめくった。

「あっ!!」

1ページ大きく載っている。

これ最後に撮った写真だ。

俺があいつらに色々言われてムカついて・・・

次のページには色んなポーズ色んな服の『香山アリス』のカットとインタビューが載っている。

「よく撮れてるでしょ?魅力的じゃない。」

そう母さんが後ろから言った。

「この雑誌明日発売されるのよ。きっと香山アリスに話題騒然よ。」


翌朝母さんの予想は当たったのだ。

後日聞くとその日の事務所の電話は鳴り止まなかったらしい。

それくらい『香山アリス』の問い合わせが止まらなかったという。

もちろん俺の学校でも『GALAXY』が話題にあがっていた。

女の子たちの間でだが。

「お姉ちゃんの『GALAXY』見たんだけど、すっごいキレイなモデルさんいてさぁ。」

「あっ!見た見た。『香山アリス』でしょ?新人らしいね。」

「うん。超可愛いし。今まであおいちゃんとか梨沙ちゃん可愛いと思ってたけど絶対それ以上よね。」

「うんうん。私も思った。あんなキレイな人今までモデルじゃなかったなんて信じられない!」

「そうよねぇ。今20歳よね。私も20歳なったらあんな感じなれるかな?」

「いやぁ〜絶対無理っしょ?」

そう笑うクラスの女の子たちが今までうるさくてたまらなかったのだが今日の俺は聞き耳をたてていた。

そのお前らが噂している『香山アリス』が俺だって知ったらみんなどう思うだろ?そう思って一人ほくそ笑んだ。

「いつもいつもあいつらうるせ〜!」

龍一がそう言いながら近づいてきたので俺は焦って表情を隠した。

「まじうるせぇ〜!!」

いつもそう同調してるのでしょうがなく今日もそう言った。

それが女子に聞こえたのか話していた女子が俺らに近づいてきた。

「絶対太田くんと村井くんだって『香山アリス』見たら可愛いって思うってばぁ。」

そう言ってその女子は俺らに雑誌を見せた。

それは俺が1ぺージ大きく載っている写真だ。

どんな反応を示すか気になって俺はこっそり龍一を見た。

「き、きれぃ・・・」

龍一は顔を真っ赤にしてそうつぶやいた。

「でしょ?太田くんはどう思う?この子キレイって思わなかったらおかしいわよ。」

そう言って今度は俺に振られたので焦った。

「う、うんキレイだね・・・」

しょうがないのでそう答えた。

ってかこれ俺だぞ!!なんで分かんねぇんだよ。

俺はそう言いたかった。

まぁ分かられても困るけどよ・・・


「マジでさっきの子綺麗だったよな。」

放課後いきなり龍一にそう言われた。

「え?」

俺は突然のことに何のことか分からなかった。

「女子が見せてくれた雑誌の子だよ。香山アリスって子。」

「あ〜・・・」

あ〜俺のことね・・・

「絶対そこら辺のアイドルよりも絶対可愛いって。」

そんな褒められても俺あんま嬉しくないよ・・・

しかも俺は愛ちゃんが一番可愛いと思ってるんだけど・・・。

そんなこと口に出して言えない。

こいつまさか『香山アリス』が俺だとは思ってもいないだろうし・・・

「龍一のタイプって香山アリスみたいな子?」

俺はさりげなくそう聞いた。

良く考えたら俺が愛ちゃん好きだってのは結構前にこいつにバレてるけど龍一の好きなタイプとか好きな子とかって知らない。

「う、うん・・・でも香山アリスなんて絶対手に届かないし。20歳なんて年上だし。」

そう顔を真っ赤にしていっている。

マジ笑いそぉ〜。

でもこういう気持ち抱く奴らもいるんだよな。

本当は男だって知らずに・・・

そう考えるとちょっと悪く思えてきた。


それをその夜、博也に話した。

母さんに話しても笑い話にするだけだろうから。

「うん・・・まぁでもそれはしょうがないよね。でもそのことで翔也くんは『香山アリス』として夢を売ってるわけだ。

 それに憧れる女の子や男の子がいるお仕事なんだ。だから翔也くんはファンの子が思ってる『香山アリス』像を壊さないようにこれからも仕事していかなきゃいけないよね。」

確かに博也は正しいことを言ってるんだろう。

もし『香山アリス』に憧れてるクラスの女子や龍一に実は『香山アリス』は男でしたぁとバレてしまったらどんだけショックを与えるだろうか想像しただけで申し訳ない。

でも親友だし龍一には本当のこと話しておきたかったな・・・

『香山アリス』の本当のファンになる前に。

でももう既に遅かったな・・・

そう思い、俺は後悔していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ