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3章 ドキドキのモデルデビュー

今日は日曜日。

『GALAXY』初の撮影日だ。

今日はもちろん俺を男だと知らない人たちと合うのだから事務所に行き化粧して女の子っぽい服を着てきた。

もちろん優ちゃんが化粧をして母さんセレクトの服を着たのだが。


この数日でこの2人のことも分かってきた。

博也は見た目仕事が出来る大人という感じだが実際はアホだ。

だが俺とバカ話しとかも出来るし楽しい奴だとは思う。

優ちゃんは美人だけど男っぽいさばさばした性格なので結構付き合いやすい。

優ちゃんとも普通の話が出来る。

なんだかんだでこの2人が気に入ってきたのだ。


スタジオに到着するともう撮影は始まっていた。

今日の朝は早かった。

5時起きだったのだ。

「はい。OK!!」

なんて声が響きプロの現場だなぁと思い緊張が高まって来た。

俺らは控え室に行った。

3人で話しているとスタッフがやって来た。

今日のアリスさんの服は・・・と言いながらいくつか服を並べていった。

そしてポーズを鉛筆書きした紙を置き説明を始めた。

ってかこんなに服着るのかよ・・・。

愕然とした。

「インタビューもするらしいよ。」

そう言い博也は笑った。

笑い事じゃねぇよ・・・。

早速喋り方気をつけなきゃいけねぇじゃん・・・

一方優ちゃんは着る服を見ながら自分の持ってきたメイクボックスを見ながらメイクを考えているようだった。


「じゃぁ早速着替えて。」

そう言われて俺は1着目の服を着た。

そしてメイクに入った。

優ちゃんは

「この服だからこの色ねぇ〜」

とメイクの色を選び俺の顔に塗っていく。

博也は母さんからインタビューの聞かれるようなことの答え方が書いた紙を貰い俺に渡した。

「アリスの設定だからこれを参考に答えるようにって。」

そう小さな声で俺に言った。

ってか実際のインタビューの時はこの紙見れないわけだし覚えなきゃいけないってことだよな・・・

難しいよ。

俺が頭を悩ましているとメイクが完了したようだ。

顔を上げると鏡の中。

俺、太田翔也ではなく『香山アリス』がそこにはいた。

「香山さん、お願いします。」

そう声が聞こえた。

「よし!香山アリス初仕事だな。」

そう博也が言い、俺の肩をたたいた。

そして博也と共にスタジオに向かった。


「はじめまして。香山アリスです。」

スタジオに入って俺はそう言い、頭を下げた。

母さんに言われた。

香山アリスのこの仕事は新人モデルとしては大きすぎる仕事らしい。

普通最初は他のモデルの脇役としてデビューを飾るのが一般的だ。

だから他のモデルや一部のスタッフからは良く思われていないみたいだ。

「だから挨拶はちゃんとするのよ!」

母さんに口すっぱくそれを言われた。


顔をあげるとスタッフやそこにいたモデルは俺の方を見ていた。

一瞬静かになったが一部のモデルがこそこそと話している。

俺の悪口でも言っているのだろうか。

俺を睨んでいるモデルもいる。

母さんの言ってたことは本当だな・・・

そう思っているとポンと博也が肩を叩いた。

「あんま、気にするなよ。」

そう小さな声で言った。

「分かってるよ。」

俺は博也にそう返した。

ぶっきらぼうに見えるが実は落ち込んでいたので結構感謝している。


そして俺の撮影が始まった。

小物が並んでるところで撮るらしい。

「アリスちゃん、次目線こっちで・・・」

なんてカメラマンが言いながら色んなポーズで撮っていった。

「よし、OK!!」

「ありがとうございます。」

そうにこっと笑って俺はその場を離れた。

うわぁ〜!やっぱ緊張するなぁ。

そう思い博也と控え室に戻った。

そこにはもう優ちゃんが次の服を用意してスタンバっていた。

「お疲れ!次こっちの服。」

そう言われ着替えさせられると又メイクを変えた。

その繰り返しが4、5回続き俺は一時休憩となった。

というか俺の前の撮影がトラブったらしく俺はスタジオで待つことになったのだ。


「あんた?香山アリスって。」

そう言いながら2人の女性が近づいてきた。

それは俺がスタジオの椅子に博也と並んで座っているときだった。

「あ、はい。はじめまして!」

俺はすぐさま立ちあがり頭を下げた。

「ふ〜ん。」

その人たちは俺を舐めるように上から下まで見た。

俺はこの人たちを見たことがある。

そうだ。

勉強よ。と母さんに見せられたこの雑誌で見たんだ。

モデルの西山あおいと宮野梨沙だ。

『GALAXY』のトップモデルのはずだ。

なぜこいつらが?と思っていると西山あおいが口を開いた。

「あんた太田事務所でしょ?うちらもなのよ。」

その言葉に驚き隣の博也を見るとニコニコ笑っている。

こいつ知ってたなぁ〜。そう思い俺は博也を睨んだ。

「社長のお気に入りでしょ?なんであんたなの?」

そう宮野梨沙が言っている。

語尾が怒っているようだ。

俺、トップモデルに嫌われてるんだ・・・

そう思っていると又言われた。

「まぁ、あんたが私たちくらい売れっ子になるには当分時間かかるとおもうけどね。

 もしかしたらなれないかもしれないしね。」

そう言いながら笑って2人は歩いていった。

悔しい。

なんで俺がこいつらに馬鹿にされなきゃならないんだ。

俺だって負けない!

そう思い次の撮影は今までのポーズや表情の中で一番良かったと思う。


そしてインタビューだ。

さすが母さん・・・

あの紙に書いてたこと中心に聞かれた。

伊達にモデル事務所の社長してるだけのことはあるな・・・

そう思い感心した。


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